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長〜い1日が終わった。
「お疲れ様でした。先に帰るね」
「うん」
誰も居ないと思って言ったのに、
後ろから、井上と山本がついて来てた。
「先に帰るね♡だって〜」
「あ! ヤダ聞いてたの?」
「全然知らなかったんですけど……」
「あら、ごめんなさいね」
「俺たちには、言えよな!」
「だって言えなかったんだもん、ごめんって……」
「山本くん、井上くん、今日、時間大丈夫?」
洋平が追って来た
「あ、はい」
「はい、大丈夫です」
「美優、今日、皆んなで外食しようよ」
「良いけど、洋平は大丈夫なの?」
「うん、もうすぐ終わるから、焼肉屋で待っててよ」
「うん、分かった」
「焼肉でイイかなぁ?」
「はい、ありがとうございます」
「嬉しいです、ありがとうございます」
「先、やっててよ、すぐ行く!」
「じゃあ、お先に失礼します」
「失礼します」
「洋平♡だって〜」
「何よ、《《夫婦》》なんだから当然でしょう?
ていうか、以前付き合ってた時もそう呼んでたわよ」
「まあ、そうだけど……」
「ひゃ〜ニヤニヤしちゃう〜」
「ちょっとバカにしてるでしょう?」
「そんなことないよな〜」
「あんな超エリートイケメン、ゲットして羨ましいだけだよ」
「貴方達も早く器量のいい可愛い子をゲットしなさいよ」
「まだ、運命の人が現れてないんだよなあ」
「俺も……」
「新入社員もいっぱい入って来たでしょう?」
「う〜ん、どうもビビッと来ない」
「何を贅沢なことを……あっという間に30超えるわよ」
「杉野さん、いくつだっけ?」
「昨日32歳になった」
「すげ〜誕生日に入籍したの?」
「うん、洋平が絶対に忘れないように〜ふふ」
「お前さすがだな」
「でしょう? そんなことで揉めたくないし……」
「なるほど、俺もそうしてもらおうかなあ〜」
「しかし、32に見えないよなぁ〜若いしイケメンだし、仕事は出来るし……」
「でしょう? ウチのダーリンは、完璧よ」
「あ〜ハイハイ、でも本当のことだから、言い返せない」
「着いたよ」
「3名様ですか?」
「4人で……あとから1人来ます」
「あ、ハイ分かりました」
「先にやっててって、言ってたから、ビール頼もうか?」
「うん」
「2人とも生?」
「うん」
「お肉食べたい物、選んで!」
「うわ〜何にしようか? 盛り合わせにする?」
ピコ〜ン
〈今から行く〜〉
「あ、今から来るって、良かった」
「じゃあ、待ってようよ」
「あ、大丈夫だよ」
「すみません!」
「はい、生ビール4つと、枝豆2つお願いします」
「え? もう頼んだの?」
「ちょうど良い頃に来るんじゃない?」
「タンは、外せない」
「お前タン好きだよなぁ」
「うん大好き、なんならタンだけでイイ感じ」
「ハハ、俺はカルビとロースとハラミも食べたい」
「そうだね」
「お待たせ〜」
「あ、早かったね」
「はい、お待たせしました〜」
「うわ〜マジ、タイミング、バッチリ!さすが〜」
「ね!」
「ん?」
「生、注文するの待ってよう! って言うから、大丈夫じゃない? って注文したの」
「さすがだね、ウチの《《奥さん》》は……」
くっ
ニヤッ
「ちょっと、何笑ってんのよ?」
「いや、2人とも同じこと言って、ラブラブだなぁと思って……」
「そうなの? ふふ、とりあえず乾杯しよう! お疲れ〜」
「お疲れ様です。おめでとうございます」
「お疲れ様です。おめでとうございます」
「お疲れ様〜!ありがとう」
「ありがとう〜」
「はあ〜旨っ」
「旨っ」
「いや〜今日は、ホントに驚きましたよ」
「そうですよ」
「ふふ、すまないね、《《奥さん》》がどうしても、籍を入れるまでは、言っちゃダメって言うから……」
「交際宣言かと思ったら、まさかの結婚発表!」
「ホント、ビックリしましたよ」
「ごめんね〜」
「いや、でも良かったです。憧れの杉野課長と、
《《この人》》が結ばれるなんて、夢みたいです」
せっせと、お肉を注文する美優
「この5年間ずっと2人には、お世話になってたみたいで、ありがとな」
「いえいえ、まあ、毎回、杉野さんの話でしたけどね」
「ちょっと、そんなことないでしょう?」
「いや、あるよ。杉野さんの話か、会社辞めようか?って話」
「え? 会社辞めようと思ってたの?」
「うん、だって同期が皆んな結婚して辞めちゃったし……」
「でも、ずっと杉野さんのこと待ってたんですよ」
「……」
「そうですよ、どうして電話しなかったんですか?」
「最初は、何度もかけようと思ったよ。でも、別れて行ったのに、俺はずっと日本には帰れないし、中途半端に繋ぎ止めておくことが出来なかった。
あの頃、美優の周りには、たくさん美優を狙ってる男が居たし……きっと美優も誰かと付き合うと思ってた」
「酷いでしょう?」
「美優に幸せになって欲しかったんだよ」
「この人は、ずっと杉野さんのことだけを待ってましたよ」
「そうなんだ。ごめんな」
「ううん、もういいよ」
「そのうち、携帯電話を盗まれてしまって……」
「そうだったんですか……」
「そう、だから早く日本へ帰ることだけを考えて、 必死で働いたよ。長かった〜5年は……」
「最初、3年だったんですよね?」
「うん、もう2年頑張ってくれないか? って言われた。最初は断ったけど、帰ったら課長昇進を約束するって言われて、最年少最速昇進も有りかなぁ〜と思って、どうせ帰るなら手ぶらってのも……」
「結局、仕事人間なのよね〜」
「帰って来て、美優が居てくれてホントに嬉しかった」
「杉野さんが帰って来てからは、全く呑みに誘われなくなったのは、そのせいですね」
「あ、ごめん俺のせいだ」
「もう一緒に住んでるんですか?」
「うん、帰って来て、驚かせようと思って、美優の隣りの部屋を借りて、しばらくは行き来してたけど、面倒だから美優んちに転がりこんだ。あ、もちろん、プロポーズしてからね」
「へ〜そうなんですね、カッケ〜」
「美優の父上やお爺様に見つかったら大変だから、とにかく、ひたすら隠して……で、ご挨拶に行った」
「緊張しますよね」
「俺さあ、2年も付き合ってたのに、美優の親父さんが総務部長で、お爺さんが専務だなんて、知らなかったんだよ」
「え〜マジっすか?」
「チャレンジャーだなぁって思ってましたよ」
「そうなんだ……まあ、俺は美優を好きになって、付き合ってたわけだから、親は、後からで良かったから……」
「ふ〜痺れる〜」
「お前ホント幸せだな」
「うん♡」
「ハハハハ」
「美優を一緒に連れて行かなかったこと、ずっと後悔してた。毎日、美優のことばかり考えてた。だから、帰って来てすぐにプロポーズした」
「うんうん、なら良かったです」
「やっぱり、ずっと気持ちは繋がってたんですね」
「そうだな、もう美優が居ないなんて考えられないから……ようやく結婚出来た。だから、キミたちにもお礼が言いたくて、ホントにありがとう」
「いえいえいえ、やめてくださいよ。俺たちは何も……」
「どちらかが美優とくっつくのか? って周りは思ってたみたいだけど?」
「「ないないない」」
「ちょっと!ハモって言うな!」
「ハハ」
「人としては、良い《《奴》》だと思いますが、頭の中は、杉野さんのことしかなかったから……」
「そうですよ、最初から男として見られたことも無ければ、女として見たこともないです。すみません」
「すみません」
「お互いにね〜」
「ハハハ、なら良かった。安心した」
「え?心配してたの?」
「うん、彼らも男だし、3人いつも仲良かったって聞いたら、そりゃあな」
「ふ〜ん、心配してたんだ〜」
「そうだよ……」
「ふふふ」
「何笑ってるんだよ」
「ふふ、ヤキモチ?」
「ふふ」
「……」ニヤニヤ
「あ、すまない」
「もう熱々で、見てらんない」
「うん、何か始まりそう、ハハ」
「お待たせしました〜」
注文したお肉が運ばれて来た
「さあ、今日は、俺の奢りだから……」
「ゴチになりま〜す」
「いただきま〜す」
「おーいっぱい食え食え、5年分の感謝だからな」
「あざーっす」
「いただきま〜す」
4人でお腹いっぱい食べた。
洋平のわだかまりは、すっかり取れて、
山本、井上を可愛い後輩として、見れるようになったようだ。
「ご馳走さまでした」
「ご馳走さまでした。ありがとうございました」
「おー! じゃあ、また明日な」
「はい、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「じゃあね〜また明日〜」
「お〜!この幸せ者〜」
「ハハハ、酔ってるな」
「バイバ〜イ」
堂々と腕を組んで歩ける喜び
「ふふ〜ありがとうね〜」
「ん?」
「私の同期たちと話してくれて……」
「いや、俺の方が話したかったから……」
「ふふ、良かったね、誤解が解けて〜」
「うん、良かったよ」
「ホントに誤解してたんだ〜」
「そりゃあそうだよ、彼らも男だし……」
「洋平、可愛い〜♡」
「美優!帰ったら、覚えてろよ」
「何かな〜? ふふ」
「早く帰ろう!」
──キスしたい!
──抱きしめたい!