十分後、3人はもう起きていた。
「……ふぁ……ん……」
まどろみの中、私はまだ夢と現実の境界をふわふわと漂っていた。
温かい布団、柔らかなぬくもり……そして、大好きな声たち。
「……◯◯、まだ眠いの?」
涼架くんの優しい声。
「目開いてるけど、完全に寝ぼけてるな」
滉斗くんが笑いながら私の髪を撫でている。
「起きたら絶対照れるやつだ、これ」
元貴くんの低い声が耳に心地よく響く。
私はそんな彼らの気配を感じながら、のろのろと身体を動かす。
そして……なぜかふと、彼ら一人ずつの頬に――
「ん……ちゅ」
「えっ……」
涼架くんの頬にチュー。
「◯◯!?!?」
次に滉斗くんに、ほわんと笑いながら――
「……ちゅ」
「……はい?????」
最後に元貴くんにも、躊躇なく。
「……だいすき……ん、ちゅ」
「ちょ……誰か止めて……俺、もう無理……」
ぱちん。私が目を開けたのはその直後だった。
「……ふぁ……え?」
「……なんかした……?」
3人の顔は、完全にフリーズしていた。
「お、おま、◯◯……今……チューしたよな……?」
滉斗くんが顔を真っ赤にしながら聞いてくる。
「おれ、たぶん今日……死ぬかも……」
涼架くんは手で頬を押さえて、放心状態。
「可愛いとかじゃ済まされないだろ……これ犯罪だよ……」
元貴くんは目を伏せて、肩を震わせている。笑ってるのか、耐えてるのか、もはや判別不能。
「え、え、うそ……!?私、なにしたの……!?」
私の叫びに、3人が同時に叫ぶ。
「「「寝ぼけチュー!!!!」」」
部屋中にこだまする、男たちのリアクション。
「あーもう!だめ!可愛すぎて朝から限界!!」
涼架くんがベッドの上で私を後ろから抱きしめる。
「チューした責任、取ってもらうからね?」
滉斗くんが私の前に座り込み、膝に顔を埋める。
「俺だけじゃ足りないって思ってくれたなら、それはそれで嬉しいけど……正気じゃいられない」
元貴くんは私の手をとって、自分の胸元にそっと置く。
「◯◯……今日、ずっと俺たちのそばにいて。逃がす気、ないから」
その後ーー
「朝ごはん作ってあげる、だからキッチンに来て?」
「寝ぐせなおしてあげる〜、こっち来て〜」
「着替え手伝うよ。あ、別にやましい意味はないよ?」
代わる代わる押し寄せるスキンシップと、止まらない甘やかし。
「◯◯が悪いんだからね?」
「寝ぼけてキスなんかするから」
「だから今日一日、俺たちに全部任せて」
「朝から3人にキスって……どう責任とってくれるの?」
「ぜんぶ、君が好きすぎるせいだよ」
もう、顔も耳も真っ赤で言葉が出ない。
それでも私は――
彼らの「好き」があたたかくて、くすぐったくて、幸せだった。
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