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リクエストありがとうございます。
※第1話の [必読] を必ずお読みください
※エセ関西弁
※誤字/脱字 あり
ミーンミンミンミーン
教室の外から蝉の鳴き声が複数も聞こえて、鬱陶しいと思うつつももう夏だなと感じる。教室には冷房が入っているというのに、換気のために窓を開けられて冷房の意味を成してない。窓際の席だからか、夏場は熱波が凄くて目眩がするが、授業中の暇つぶしに外を見れるため百歩譲って許した。
教壇には猿山先生が教科書を片手に何か喋っているようだが、頭に入ってこない。というより、そもそも授業を聞く気は一切なかった。黒板の上にある時計に何度も目線を入れ、授業が終わるのを今か今かと待っていた。
自分の机にはくしゃくしゃになったしわだらけのプリントと、数週間も削り忘れていた鉛筆が転がっている。教科書とノートは開いておわず、ただ渡されたプリントだけを頬杖をつきながら見ていた。消しゴムは角を使わず、綺麗な状態で使っていたが先日大先生に角を使われたため少し削れている。さすがに許せないため、今度仕返しでもしてやろうと考えた。
さすがに授業が退屈でグラグラと立て付けの悪い椅子を揺らしながら暇つぶしにプリントに落書きをしていると、目の前に影がかかる。何だと思い顔を上げると、呆れ顔を浮かべた猿山先生がいた。周りの生徒もこちらに視線を集めており、少し気恥ずかしい。
「ゾム〜〜??」
「なんやさる」
「先生を付けろ」と猿山先生からのツッコミが好きで、敢えて猿呼びを続けていた。何度も先生から注意を受けているが、毎度毎度つっこんでくれる猿山先生が悪い。本当に嫌なら三者面談の際に、俺の親に言うはずだ。
そんな生意気な態度はもう見飽きたのか、先生は特に呼び方について言及せず、「ちゃんと授業を受けろ」とだけ言って教壇に戻って行った。求めていた回答が返ってこなかったことに、俺は先生に嫌われたのかと勘違いした。
なんでや、いつもはツッコミしてくれるのに。
もしかして、呆れられた?
そこから授業は再開され、また猿山先生は黒板に手をつけながら話し出した。だがさっきの出来事がショックだったあまり、授業の内容は耳から通り抜けていく。せめて鉛筆だけは握っていたが、ノートには何も記されてないままだった。
呆然としていると、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。猿山先生から号令の挨拶が入り、そのまま生徒たちは短い休み時間を堪能した。グランドに行く人や、中には教室でゆっくりする人もいる。俺はいつも通りグランドでドッチボールでもしようと思ったが、変に元気が出ない。
すると友達である豚平達が俺の席に近づてきた。一緒にいた捏島はボールを脇に抱えており、ドッチボールで遊ぶ気満々だった。
t「あれ、ドッチボール行かんの?」
「あー…、ごめんちょっと体調悪いからパス」
元々体調を崩しやすい体だったため、豚平達から心配の声を掛けられる。豚平達は俺に対して心配性というか、どこか過保護な場面がちょくちょくある。心配してくれるのは嬉しいが、心配性を相手にするもの疲れる。
捏島には保健室に行くかどうかを聞かれたが、ゆっくりしてればマシになるとだけ言った。まあ、ゆっくりしてるだけでショックが抜けるとは限らないが。
心配の眼差しを向ける豚平達に「気にせず行ってきてええよ」と言い、俺は次の授業がくるまでに机に突っ伏して寝たフリをした。
‐
六限目が終わり、気づけば下校の時間に。
結局ショックが抜けきれておらず、いつもはおかわりしていた給食も今日は食べ物がうまく喉を通らなかった。周りからは「珍しい」や「明日雪降るな」と言われたが、俺はその場を笑って誤魔化した。
自分のランドセルに教科書やノートなどを詰めて帰る準備をしていると、猿山先生に呼び止められ、少しの時間残ってほしいとお願いされた。もしかして今までの行いについてのお説教何だと思い、俺はクラスに残ることにした。他の生徒は次々と帰っていき、少し経つと教室には俺だけが残っていた。先生は職員室に行かないといけないらしく、でもすぐ戻るとは言っていた。
俺はお利口に座って待っていると、ぜぇぜぇと息を荒らげる猿山先生が来た。俺の帰りが遅くならないよう、急いで教室まで走ってきたようだ。
「先生、なんですか…?」
「いやゾム…なんかあった?」
「別に、なんも…」
猿山先生から目を逸らし、あさっての方向を向いた。小さい声で「体調が悪い──」みたいなことを言っていたが、体調は元々悪くない。
そんな俺に嫌気がさしたのか猿山先生は俺の頬を手で掴み、無理やり顔を合わせようとしてくる。真剣な眼差しを向ける猿山先生と目が合い、その目を見た瞬間どんどんと涙がこみあがってきた。潤んだ目からは涙が流れ、頬にまで伝っていく。次第にそれは掴んでいた猿山先生の手にまで伝っていき、さっきまで真剣な眼差しを向けていたのが一変して、猿山先生はびっくりした表情を浮かべて、必死に大丈夫かと何度も聞いてくる。恥ずかしいまで見られた俺は、もう訳が分からず掠れた声で変なことを口走る。
「ぐすっ、ぅ、先生に嫌われたくない…ッごめんなさい、せんせぇ…ぅ、ぐっ……」
嗚咽を混じえながら、必死に言葉を紡いだ。
本音は猿山先生は嫌われたくない。文句は言いつつも、いつも生徒のために頑張っている姿が好きで惚れたのが発端。教員になったからにはそれが当たり前かもしれないが、俺のために色々考えている事実が嬉しかった。そんな猿山先生のことが大好きで、構って欲しいがために毎日ちょっかいをかけていた。他の生徒や先生に目移りなんかせず、猿山先生の目には俺の姿だけを映ってほしいかったから。
「嫌いにならないよ」
「ッ、ぅぐっ…ほ、ほんま…?」
「本当本当。ほら」
猿山先生は手を広げ、まるでハグを待っているかのような姿勢をとった。俺は吸い寄せられるように猿山先生の腕の中に入り込んで、泣き顔を見られてないよう胸元に顔を埋めた。そんな俺を猿山先生は何も言わず、ただ温かくて優しい手つきのまま頭を撫でてくれた。猿山先生の温かい腕の中にいると、安心感で涙腺がボロボロになり目から涙が止まらない。
満足するまで泣ききった時にはもう外は暗くなっており、さすがに親に怒られないか心配になってきた。目元は擦りすぎて周りが赤くなっており、次の日は腫れているかもと心配した。先生もこの後仕事があるだろうし、このまま一人で帰ろうと思った矢先。
「さすがに家まで送るよ。外暗いし」
「え。でも先生仕事とか…」
「ゾムはそんなこと気にしなくていいよ。もうゾムは素直じゃないんだから〜〜笑」
腹の立つ言い方に引っかかったが、ここは猿山先生の言葉に甘えようと思う。教科書やら入った重たいランドセルを背負い、あまりの重さに背中が曲がりそうになる。猿山先生は自転車をひいて送ってくれるようで、辛いでしょと重たいランドセルをカゴに入れてもらった。
変に優しい猿山先生に調子を狂わされるが、もう少しだけこうしたいと心の中で願った。
最後まで閲覧して頂き、誠にありがとうございます。
最近暑くなってもう夏も近いなー、と感じたのでそれに因んで書かせて頂きました☀️
ちょっと突き放されただけで不安になっちゃう受け可愛いね😌
rdzお久しぶりに書きましたがやはり良いcp
コラボなどで、rdさんのふわふわした喋り方につられて、zさんもいつもよりのんびりした雰囲気になるの大好き
[2025/6/26投稿]
コメント
8件
ひ ぉ … ゎ … ふ , ふ な か ッ … も … , と け ち ゃ ぃ そ ッ … 、(
チーーーん😇 最高すぎる、 この世に悔いなし߹ㅁ߹)♥︎ 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )
不仲組最高!! zmさん可愛いぃぃ!!