夏の終わり、冷たい箱の中で

俺、ユイトはずっとサヤカのことを見ていた。中学生のころから変わらずに。

あの子は普通じゃなかったけど、だからこそ俺はずっと、彼女が普通に戻ってほしいと願っていた。

そして今、同じ職場で再び会った。

俺は無意識に彼女のことを気にしていた。

ある日、偶然、二人が誰もいない部屋でひそひそ話しているのを聞いてしまった。

声は低く、言葉の一部しか聞き取れなかったけど、確かに隠し事をしている。

「証拠を消さなきゃ……」という言葉が聞こえた。

それが何を意味するのかはわからなかった。

ただ、何かが狂っていることは感じた。

俺は迷った。

でも、彼女を取り戻すために動かないといけないと思った。

だから、通報した。

あの時は正しいと思っていた。

でも今はわからない。

俺の行動が、彼女をどう変えたのか。

ただ、願う。

サヤカがまた普通の女の子に戻ることを。