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#主人公最強
#ハッピーエンド
海の紅月くらげさん
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「何だ、司令官を殺しても止まらないのか」
イクリプスの数百のレーザー光線の砲門が、クレスに向く。
主砲が再び光を放つ。
「もう効かないのは知ってるだろうに」
クレスが空に浮かぶ、イクリプスの外殻へ拳を叩き込む。
衝撃波が王都全体を揺らす。
数十メートルにわたってイクリプスの外殻が裂け、内部構造が露出する。
しかし――。
「ああ、ここに来る前に戦ったエイリアンが自慢してたな。自己再構築有機装甲……だったっけ?」
裂けた装甲が、ゆっくりと動き始める。
金属が液体のように流れ、破壊された部分へと集まっていく。
数秒後。
装甲は、完全に元の形へ戻っていた。
クレスが眉根を上げ、今度は蹴り食らわせた。
音速を越えた一撃が、艦体を横から叩きつける。
しかし、潰れた装甲は再び蠢き、歪みを元に戻していく。
「……面倒な」
絶対防御と再生能力のマラソンバトル。規模は違うが、数刻前にカイルとムーの間で繰り広げられた肉弾戦と同じ様相を呈していた。
ただ一つ、明確な違いは、両者の間に埋めがたい力量差があることだ。
イクリプスは再生に多大なエネルギーを消耗している。やがて力尽きるのは目に見えていた。
クレスは一度地表に戻ってきて、ため息をついた。
「無駄な抵抗……これは、時間がかかるな」
その時、土煙がふわりと揺らいだ。
『「『「困っているようだな、クレス!」』」』
市街地を焼く炎を、黒い人影が潜り抜けた。映画で見るようなヒーローコスチュームに身を包んだ七人の男たちが、瓦礫の上に颯爽と降り立った。
ブレイズ・エリック
――都市を焼き尽くせる炎の能力者。
サンダーボルト・ライアン
――雷速で戦う電撃ヒーロー。
メテオストライク・ブレット
――空の筒から超質量の砲撃を放てる。
ストーム・タイラー
――竜巻を叩きつける嵐の支配者。
ショックウェーブ・コナー
――空気振動を操る衝撃波の使い手。
フロスト・ダニエル
――街区を凍結させる極低温を操る。
ソーラーフレア・アレックス
――太陽エネルギーを吸収しビームが撃てる。
クレスを信奉するヒーロー組織、七本槍である。クレスが無辜の民を殺し世界を滅ぼした後も、彼らはクレスに身を捧げている。本物の狂信者だ。
「今回の敵はあの戦艦か!」
「なんて凄惨な街だ。町中死体だらけだぜ!」
「あと少し早く駆けつけていれば……クソッ、第三皇子の邪魔さえ入らなければッ……」
「……かわいそうに、祈りを捧ぐ姿勢のまま亡くなったらしい」
「ん? あれ、今あの死体、動かなかったか?」
「気のせいだろ。どう見ても死体だ」
「さあクレス、俺たちの手で仇を討とう!」
ヒーローたちが構えて叫ぶ。炎に雷に衝撃波、多種多様なエネルギーが彼らの手元で溜められる。
「さあ、俺たちの力を一つにしよう!」
クレスが薄く笑う。
「ああ、そうだね。君たちの力を一つにしよう」
そう言って、クレスはブレイズ・エリックの心臓を素手でぶち抜いた。
続いて、サンダーボルト・ライアンの首が、肩から滑り落ちる。
メテオストライク・ブレットは、頭から先が消し飛んだ。
ストーム・タイラーの身体が縦に割ける。
ショックウェーブ・コナーの胸が陥没する。
フロスト・ダニエルの首がへし折れる。
ソーラーフレア・アレックスは、頭を握り潰された。
次々と崩れ落ちていく死体たちに目もくれず、クレスが肩を回す。
「助かったよ。日が暮れてしまうところだった」
彼はイクリプスを見上げる。
「ちょうど、遠距離の火力が欲しかったんだ」
「そんなわけで、このままではイクリプスが破壊されてしまうようです」
薄暗い廃墟の中。
ダークヒーローの動向を映したスマホを掲げ、リシェルが言った。
近場のゾンビでマーキングして視座を使ったらしい。
「……戦況は悪くなる一方だな。この場合悪化させたのは俺なんだが……」
顎に手をあてて、カイルが言った。
地下水路に転落したカイルの上半身は、リシェルの手で回収されていた。既に新しい服に着替えている。
「イクリプスとダークヒーローをぶつけて消耗させる計画だったんだが……」
「あの人おかしいよ、強すぎです。今のところノーダメじゃないですか」
「パワーバランスが崩れた今、俺たちはエイリアン側に加勢するしかない。力を合わせてダークヒーローを討ち、イクリプスを守り抜くんだ」
「私たちの考えは大体そんなところですよ、ムーさん」
ムーは五体満足の身体で床に寝かされていた。
「???」
バラバラにされたムーの半死体は、リシェルが回収していた。
精神を乗っ取る特性を失い、身体強化と再生能力に特化させた改造版パラサイト・コア――それを身体に埋め込まれたムーは、一命をとりとめた。
ムーは感覚で理解する。
あと数分安静にすれば、以前より頑丈な身体を手に蘇ることだろう。
カイルが親指を立てる。
「思ったより強い奴を呼んじゃって悪かったな! そんなわけでムー、仲間になろうぜ!」
ムーが叫ぶ。