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「ごめん、私はもう帰るね」
財布から5千円を抜き出してはるかに渡した。
「えええ、雪もう帰るの」
「うん、また誘ってね」
みんなに軽く挨拶をして靴を履いていると、「てか、もう時間だし」という声が聞こえてきた。
敦は過去に私を裏切ったが今となってはもう関係のない人だけど、それでも過去には好きだった人だ。
あんなふうに目の前で過去の事でイジられる姿は見たくなかった。
店の外にでて歩道にあるセーフティフェンスに腰掛け賢一のミニクーパーが来るのを待っていると敦が走ってきた。
「雪、ずっと謝りたかったんだ」
今頃?
「何に対して?」
「その、君を傷つけてしまったこと」
「そんな昔のことはどうでもいいけど、一つだけどうしても知っておいて欲しかった事があるの」
「私はしっかりしてるから、でも美幸はほっとけないって、それが敦の浮気の末の乗り換えの理由だったけど、しっかりしてるって何?そんなわけないでしょ。誰の尺度?自分の都合のいい理由として私がしっかりしてるとか言われて凄くショックで悔しかった。敦は何も私の事をわかってなかったんだって。今となってはどうでもいいけど、一言いっておきたかっただけ。じゃあ」
唇をかみながら話を聞いていた敦は雪の腕を掴んだ。
「何?離して」
「あの時、なんであんな事をしたのか。後悔したんだ。そして、今日再会して雪を忘れることができないと痛感した。オレたちやり直せないか?」
「何を言ってるの?そんなの無理に決まってるでしょ、酔ってる?」
「酔っているのは確かだけど、今言ったことは嘘でもないし勢いでも無い。もう二度と裏切ったりしない、だから」
背後から誰かに抱きしめられる。
驚いて振り返ると賢一が鬼の形相をしていた。
「雪、この方は?」
「えっと、浜田敦さん同窓生です」
賢一は位置を変え隣に立つと今度は私の肩を抱き寄せ、敦に微笑みかける。
「初めまして浜田さん、雪とお付き合いしている大島賢一です。特に用が無いのでしたら帰ってもよろしいですか?」
店からゾロゾロと同窓会メンバーが出てきた。
とりあえず、みんなに向かって頭をさげてから賢一のエスコートを受けて車に乗り込んだ。
が
ミニクーパーでは無かった。