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#山中柔太朗
Freesia
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春雨
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#さのじん
らむ
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※アフヌン回がホテルの一室だったらどうなんの、のお話。(ラウンジじゃないらしいからどっかのフロアの一角より部屋がいいなという願望。
※吐息表現あり。自衛して下さい
「はあ〜〜お腹いっぱい幸せー!」
「食べたねぇほんと」
太智が腹をさすりながら大きな声をあげた。
とあるホテルの一室でアフタヌーンティーを楽しんだ俺たちは、椅子に座ったまま和やかな空間の中にいた。
動画の撮影は機材のトラブルはあったものの順調に進み、十分な取れ高はあったはず。
太智との掛け合いはお互い気を使うことがないからテンポも良いし、なにより心地良い。
いくつか機材を片付け、数人のスタッフたちが部屋を出ていこうとしているのをドアの方まで太智が掛け寄り、なにかを話しているようだ。
まだ時間かかるかな、と俺は自分たちのカメラや荷物をまとめようと床にしゃがんでいた。
んー。
バッテリーなに買おうかなぁ…
「うわっ!」
「んふふー、よっしーと2人きり」
戻ってきた太智が勢いよく背中にぴったりと抱きついてきた。体温高いのな。
声からしてご機嫌な様子が伺える。
呼び方もそう。分かりやすいヤツ。
「ちょっと、重い。片付けもう終わるから」
「ふあ〜い」
2人きりになるとふわふわになるその声も背後にすり寄る体温も、どちらも心地良くて。
穏やかな空気を肌で感じる。
「あ、そうだ。あれ美味しそうやない?」
「?あぁ、それ」
テーブルに置かれたものを見て言う。
太智が最後に頼んでいた桃のジュースがついさっき届いたのだ。
お洒落なグラスに入った淡い桃色が甘い香りを放っている。
「吉田さん好きそうやなー思って」
「俺?」
「うん、」
テーブルへ駆け寄りそのグラスを手に取ると嬉しそうにこちらに笑顔を向けた。
「見てー美味しそう。飲んでみて」
普段騒いでるくせに、時間をちゃんと気にしていたり周りを見て行動したり、時にはこうやって好きなものをと気を遣ってくれる。
そんなところが支えであり優しさも感じられるから、俺はどうしても太智を甘やかしてしまう。
この子の笑顔は守らなければいけない、と。
「いいよ、じゃあ飲ませて」
床の荷物を離れ、すぐ横のベッドの端に軽く腰掛ける。
「ん、」
顎をくいっとして、瞑った口で合図すると太智が顔を覆い隠すように声もなく笑った。
「あー吉田さんこういうとき男らしいよね」
「いや?」
「ううん、いやじゃない」
なんとなくだけど、お互いドキドキして少し焦ったい気持ちでこの空間に居ると思うと、なにかを仕掛けたくなってしまうのは相手が太智だからであって。
「ねぇ、早く」
「はーもう、しゃあないなぁ」
頭をくしゃりと掻いて持っていたグラスを傾け口に含み、近付いてくると自然と太智を見上げる形になる。
ばちりと視線が合うと、
〈ごくん、〉
「あ!飲んじゃった…!!」
「ふはっ、なんでだよっ」
一瞬でぶち壊された空気にケラケラと笑い合う。
そうそう、これがいいの。
太智が笑っててくれたら、それでいい。
「なに、俺の顔見て?ドキッとしたの?」
「うん、した」
「いつも見てるのに?」
「だって吉田さんの顔カッコいいから…!」
いつも言うよねそういうこと。
ふざけているのか、なんなのか。
まぁ別にどちらでもいいのだけど、円滑に進みそうにない事案に途端に機嫌が悪くなる自分も本当に面倒くさい。
だが、僅かに赤くなった耳を見つけニヤリ、と。
俺の中で悪い顔したヤツがいいぞもっとやれと囁く。
「もう一回飲ませてよ」
「はっ?」
「早く」
「ズルいってもぉー」
やけくそかのようにもう一度口に含み、ずいっと太智が近寄ってきた。
笑ってぷは!って吐くなよと願いつつ、少しだけ挑発的な言葉で誘う。
「今度は耐えろよ?」
導くようにそっと手を伸ばす。
「んっ…」
甘い甘い、キスが降ってきた。
ベッドの端に座ったままの、俺の頬と後頭部にそっと手を添えて。
触れた唇の熱さを感じながら、溢さないように僅かに口を開くと甘い桃の味が入り込んでくる。
こくんと飲み込み、お互いが味わうようにふわふわとした感覚の中、何度も唇を押し付けあった。
柔らかい笑顔を滲ませる太智と目が合うと、満足感と共にもっと欲しいという欲が広がっていく。
「ねぇねぇもう一回しよ」
「ふっ、まだするの?」
わくわくしたような無邪気な声。
同じ気持ちでいたみたい。
どうやらお気に召したらしい。
再び太智がグラスを傾け、唇で大きめの果肉を挟んで近付いてくる。
「ん。」
「たべものであそびません」
「はよ、」
少しばかりの笑みを浮かべ、まぁ拒否する理由もないかとそれを受け入れた。
しかし、桃を貰うつもりがグイッと押し込まれそのまま舌を絡められる。
「んんっ、…ッ、んぅ……」
舌と舌の間で桃がぐしゅりと潰されると甘い味が咥内に広がり、同時に高揚感と更なる熱が生まれていくのが分かった。
きっとそれは太智も同じで、抱え込むように後頭部に回された手を離してくれそうにない。
頬にそっと触れてる手の指先からも愛おしさが伝わってきた。
「ん…っ、……ふ、ッんぁ…」
潰れた果肉でザラつく咥内を感じながら、何度も角度を変え舌を絡ませ互いの熱を味わうと次第に息が苦しくなり、吐息と共に上気せた声がこぼれる。
「…んっ、…ぁ…」
「どう、美味しい?」
「っ……う、ん」
「そ、ふふっ可愛い」
ニヤつく太智が、ぱくって食べるみたいな可愛らしい口付けを仕掛けてくる。
頬に触れていた手は耳に伸び、指先で耳の輪郭を撫でるような動きをした。
そっと触れるものだからくすぐったくて肩が少し小さくなる。
「んっ……だい、ち…っ」
堪らず太智の腕に縋り付き僅かな力で抵抗するも、俺を捕らえるその逞しい両腕にはなんの変化も訪れない。
その間にも口付けは深くなり、曇った水音が鼓膜を擽る。
ほんのりと香る桃の匂いに酔いしれて、それが名残惜しくなるくらいには十分溶け合っていたと思う。
「っ、ハァ……ッ、はぁ…」
そっと離れた頃には息が絶え絶えになり、ふたりを纏う空気がすっかり深いものになっていた。
「キス、……甘すぎ…」
乱れた呼吸を整えつつ濡れた唇をぺろりと舐める俺に、ハッとした表情の太智が親指でそっと口元を拭ってきた。
「それ無意識なん?」
「なにが?口べたべたするもん」
「あーもう俺が拭いたげるから!」
テーブルに置いてあったおしぼりを足早に取ってきて口元を拭きとる。
「はい上向いてぇ」
「こう?」
「…っもう!目ぇ瞑ったらまたキスしたなるやん!!」
「いててて!痛いっごしごしやめっ」
「顔良すぎんねん!!」
「なんだよそれ!」
また2人して笑い合う。
いつもの感覚、いつもの距離感。
けど今はどうやら太智を振り回せているらしく、心なしか気分が上がっていた。
美味しいスイーツを頂いた傍ら、ひっそりとこうして密な時間を過ごしているという背徳感。
スリルを掻き立てられ熱で火照ったカラダをどうにかしたいのは、きっと俺だけじゃないはず。
そう信じたかった。
「服、汚したくないんだけど」
あえて回りくどいこともせず、真っ直ぐな言葉を投げつけ静かな視線を向ける。
それは合言葉的な、ふたりだけのサインみたいなやつ。
(さぁ。太智、)
「またそうやって…吉田さんズルいわぁ」
半分笑って、また半分困ったようにそう吐き捨てて。
俺に近付きそして、声色を変えた。
「誘うんやったら、容赦しやんで」
再び重なった唇は先程よりも互いに熱くて、あぁ次は多分シャツのボタンに手を伸ばすんだろうなって。
まるで他人事のように考え、俺はそのまま身を任せることにした。
***
キスだけでどこまで書けるかなと思いまして。
吉田の顔面に弱いだいち。
火つけるだけつけて鎮火しないじんと。
受け側が握る主導権みたいなのが好き。
誘い受けで強気男前なのにきっと始まっちゃうとぐずぐずにやられちゃう(書いたことないくせに
お気に入り台詞は、今度は耐えろよ?と、たべものであそびません
コメント
1件
うわあ…甘い…🍑💕 桃のキス、めっちゃドキドキしました。2人きりになった瞬間の空気感とか、太智くんの無邪気なようで熱っぽい態度とか、吉田さんの余裕そうで実は流されてるところとか…そのバランスがすごく良くて、読みながら顔がにやけちゃった(笑)「たべものであそびません」のツッコミと、そのあとの深いキスのギャップがたまらなく好きです。もっと読みたい…!