最近、大和と千奈、なんかちょっと近くない?
あたし、真田有紗。意外と鋭いときがあるんだ。大和のことを気にしてるわけじゃないけど、何かが気になったんだよね。
放課後、学校を出たとき、あたしは大和と千奈が話してるのを見かけた。普段、あたし達にはあまり見せないような表情で、大和が千奈と楽しそうに話してる。
あたしのカンが言うには、これはどう考えてもただの「普通の友達」じゃない。なんか、すごく違う気がしたんだ。
「何だ、あたしだけじゃないのか…」って心の中で呟きながら、そのまま二人を見てたけど、やっぱり気になるのはやまない。
家に帰ってきたとき、大和がリビングでテレビを見てるのを見かけた。あたしは、心の中でちょっとため息をついて、勇気を振り絞って声をかけた。
「おーい、大和。」
大和が振り向いた。「なんだ、ありさ。」
「千奈と、何かあったの?」あたしは、普段ならこんなこと聞かないけど、今日はどうしても気になった。
大和が一瞬だけ表情を固くした。でも、すぐに何でもなさそうな顔をして「別に、何もないよ。ただ、最近ちょっと話しただけだ。」って言った。
「あー、そう。なんか、最近二人、ちょっと楽しそうじゃん?」
大和がそれを聞いて、ちょっと顔を赤くした。あたしはその様子を見逃さなかった。
「いや、だから…何でもないって。」
「ほんとに?なんか、怪しくない?」あたしはぐいぐいと問い詰めてみた。
「お前、なんでそんなに千奈のこと気にしてんだ?」大和が少し照れくさそうに言うと、あたしは急に焦った。
「気にしてるわけじゃないけど!ただ、なんか、あたしのカンが働いてさ…。」
大和が「あー、もううるさい!」って、テレビのリモコンを手に取って、明らかに話を切り上げようとしてる。その姿が、少しだけかわいげに見えたけど、あたしは心の中で「まあ、今はこれ以上言わないほうがいいな」と思った。
その後、部屋に戻って、あたしはスマホを手に取った。ふと思い立ち、俊哉にメールを送ることにした。
「俊哉ー。元気?最近どうしてる?もしよかったら、今度遊びに行かない?友達とか誘ってさ!夏祭りとかどお?」
文章を打ちながら、急に顔が熱くなった。どうして、こんなことにドキドキしてるんだろう?
あたしが送信ボタンを押す前に、ちょっとだけ迷ったけど、やっぱり送ることに決めた。
「送信!」
送った瞬間、なんだか胸の中がすっきりしたけど、逆に不安も募る。俊哉からの返信が来るのを、ドキドキしながら待っている自分がちょっと恥ずかしい。
メールを送った後、あたしは少しだけ放心して、スマホの画面を眺めていた。その時、また大和と千奈のことを考えてしまった。もしかして、大和の気持ちは、あたしが考えているよりもずっと複雑なんじゃないかな?
自分でそう思いながら、俊哉からの返信を待っていたけれど、その気持ちがすぐに落ち着くことはなかった。
大和と千奈、そして俊哉。あたしの周りで、どんな恋が動き出しているのか、少しずつわかりかけてきたけど、それを理解するのは、まだ時間がかかりそう。
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