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「おっじゃましまーす!!」
元貴は勢いよく言うと嬉しそうにリビングに入った
ほんとに失恋したばっかの人なのかと怪しくなったが俺のそばで笑ってくれる元貴が愛おしい
すると藤澤先輩から
「だめだった〜笑これからは若井が元貴を幸せにしてあげるんだよ!! 」 とメッセージが入った
俺が相談に乗ってた時もこんな感じだった
本当だったら元貴を好きになるやつなんて大嫌いだ
でも藤澤先輩は違った
俺は話を聞くうちにこの人が元貴を幸せにするんだろうなと素直に思った
藤澤先輩は嫌いになれなかった
だから本当は俺も別れが惜しい
「そうなんですね、明日お見送り行きますね」
あえて元貴とのことは触れずに返信した
「若井ー?なにしてんの!!お腹空いた!!」
「んーん、なんでもない 」
俺達は元貴が買ってきたカップラーメンを食べた
食べてる途中やっぱり思い出して元貴が泣き出した
「好きだったなぁ、泣」
本当は言うつもりなんてなかった
でも
「実はさ、明日藤澤先輩のお見送り行くんだ 」
息を吸って
「元貴も一緒に行く??」
「…」
「いく…」
やっとライバルがいなくなったのに
また協力しちゃった笑
「明日、元貴もつれてきます」
「本当に最後のチャンスですよ絶対に気持ち伝えてください」
藤澤先輩にそうメッセージを送ろうとした
「ごめん元貴ちょっとトレイ」
俺は送信ボタンを押せずにいた
苦しい
俺は元貴が居れば十分なのに元貴はそうじゃない
俺の胸の穴を埋めてくれるのは元貴しかいないのに
今日だって俺達は相合傘をして
いい感じだと思った
元貴の失恋に付け込もうとした
でもそんなことは胸が痛くて出来なかった
さすがにトイレが長いと怪しまれる
頬から流れる涙をふいてトイレから出た
送信ボタンはまだ押せなかった
「遅いぞ〜!!若井!!」
明日藤澤先輩に会えるとわかった瞬間ご機嫌な元貴
「元貴、明日が最後のチャンスだよ」
「…うん」
絶対に気持ちを伝えると言って
そんな元貴が愛おしくて頭を撫でた
「どうしたの?若井今日は甘えん坊さんだね笑」
まぁ、僕もいっぱい話聞いて貰ったし?
次は僕が聞いてあげるよ
そんな事言うけど俺が本当のことを言ったら元貴は驚くだろう
「なんでもないよ」
そう言って笑って見せた
「若井、無理に笑わなくていいんだよって僕に言ってくれたのに若井は作り笑いするの?」
「え?」
「僕が気づかないとでも?? 」
「今日お泊まりOKしたのも本当はずっと元気がない若井を心配してたんだよ」
誰のせいでこんなになってるか分からないくせに
口より先に体が動いた
椅子に座ってる元貴の顎を掴んで
唇と唇を合わせた
元貴は箸を落として止まってる
「ごめん」
そう言って自分の部屋に籠った
やってしまった
何年も秘密にしてきたこの気持ち
本当に最低だ
元貴が明日藤澤先輩に気持ちを伝えようとしてるのに
そんな時にあんなことして
雨の音が酷くなる
部屋の向こうから声が聞こえる
-大森side-
思考が停止した
急にあんなことをされてびっくりした
若井とはずっと親友だと思ってた
さすがに鈍感な僕でもあんなことをされたらわかる
若井は僕の事が恋愛として好きなんだ
キスも、いやじゃなかった
若井が自分の部屋に走っていく時に一瞬目に涙を浮かべているように見えた
色んな気持ちでごちゃごちゃだ
若井がもし僕のことをずっと好きだったのだとしたら
藤澤先輩のことも相談に乗るのすごい辛いことだったのかな
若井の気持ちを考えると苦しい
こんなことを考えてる暇は無い
僕は若井の部屋に向かった