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五日後……――



シエルさんが地下の部屋にやって来た。



この前、怒らせてしまったから顔を合わせるのが気まずい。


でも、シエルさんは私の顔を見ないで、トオルのもとに真っ直ぐ向かう。



「例の計画のことだが、王都の平民の半数以上がこちらの味方についてくれるそうだ。

上手くいっている」



「敵国で長旅をしてきたというのに、休まずに動いていたんですか。

迅速な行動ありがとうございます。

たまにはすべての仕事の手を止めて、休んでもいいんですよ?」



「休んでいる暇はない。

戦争が始まるまで時間がないからな。

……ところで、そいつの帰りはいつだ?」



“そいつ”とは私のことだろう。


睨むように視線を向けてくるから、まだ怒っているように思えた。




「今描いている絵が完成したら、かけらさんをレト王子とセツナ王子のもとにお返ししようと思います。


半分は色を塗り終わったので、もう少しといったところでしょうか。

だから、出発は数日後になるかなと」




「分かった。絵が完成したら、臣下に伝えてくれ。

それまでトオルの計画が上手くいくように動いているから。……またな」



「ありがとうございます。どうかご無事で」



こくんと頷いたシエルさんは、すぐに背を向けて入ってきたドアの方へ歩いて行く。




レトとセツナのところに帰る時、シエルさんにお世話になるだろう。


このままではいけない。……謝ろう。


肩が上がるほど緊張するけど、勇気を出して声を掛けてみる。




「シエルさん……!

この前はごめんなさい。

私のせいで嫌な思いをさせてしまって……」


すると、シエルさんは足を止めて振り向いてくれた。



「謝らなくていい。……だけど、俺の問題に首を突っ込むな」



スノーアッシュに戻ってからも布で口元を隠しているから、どんな表情をしているかはっきりと分からない。


何を考えているのか、理解するのが難しい。


それ以上言うことがないのか、シエルさんは再び私に背を向けて、地下の部屋から出て行った。




「これでよかったのかな……。

冷たくされている気がするけど……」



「気にするなってことですよ。

でも、今後のためにシエルのことを知ってもらった方がいいかもしれませんね」



“今後のため”っとは、結婚後に関係してくるからだろうか……。



なぜなら、シエルさんはトオルにとって信頼できる兵士だから。切り離せない存在だろう。


それはともかく、紅の地に帰るまで関わるだろうから彼が何者なのか知っておきたい。



「その話、ぜひ聞かせて」



「長くなると思いますから、お茶を飲みながら話しましょう。ボクが用意しますね」



「私がやるよ」



「ボクは大切な人に尽くしたいんですよ。だから、座っていていください」



その言葉に甘えて、椅子に座って待つ。



数分後、トオルが温かい紅茶とクッキーを運びながら戻ってくる。



「紅茶が飲めるくらいに冷めるまで時間がありますね。

話をはじめましょうか」


そう言ってから、ふぅっと呼吸をして重たそうな口を開く。



「実はですね。ボク、本当は第三王子なんです。

……第二王子はシエル。


この世界では、王の子供が生まれた順番に王位を継承するんです。

だから、次のスノーアッシュ王はボクではなくて、シエルなんですよ」



信じられないことを聞いて、目を見開き、ぽかんと口を開けてしまう。



「シエルさんが兵士ではなくて王子……!?

この話の流れだと、つまり……」



「そう、シエルはボクの兄なんです。

産んでくれた母は違うので異母兄弟になりますけど。


今のスノーアッシュ王である血の繋がった兄とは気が合わなかったので、幼い頃からシエルとよく一緒に遊んでいました。


城の中を駆け回ったり、二人で落書きしたり、雪だるまを城内に持ち込んで水浸しにしたり……。


喧嘩をしてもすぐに仲直りして、親友のように仲が良くて、楽しく暮らしていました。


でも、シエルの母とボクの母の間では揉め事が起きていたんです」



「夫の奪い合いとか……?」



「ええ。ボクの母は父を独占したがっていたので、共に暮らすシエルの母をよく思っていませんでした。


父から引き離すため、騎士と浮気をしているとか、財産が目当てだとか、嘘の噂を流していました。


そして、その噂を信じた父は、シエルの母を王家から追い出しました。


シエルも王族の権利をなくされ、住む場所さえ失ったんです」



「それでトオルとシエルさんは離れ離れになったんだね……。

でも、今は一緒にいるよね?」


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