dreamer

みんなが消えゆく夢を見る

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荒い呼吸に、頬をつたう涙

暑くなった身体の汗がひやりとする感覚に襲われる

〈nakamu side〉

Nk「っはぁ、はぁ、、、。

またこの夢かぁ、、」

決まった時間になる鬱陶しいアラームも

夢から戻してくれると思うと今ではほっとしてしまう

ベランダで朝の空気を匂いながらお気に入りのマンデリンのコーヒーを飲む。いつもと変わらない景色に、ただ眩しいだけの夏の朝日。

そうやって繰り返される日々に安堵しつつ

時にどうしようもない孤独感に苛まれる

Nk「んーーっ」

そんな孤独感を愛でる暇もない忙しない日々に

伸びをして誤魔化した

Nk「 そろそろいくか」

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俺はVVT学園という魔法学校に通っている。

魔法学校とはいっているが、魔力がない人でも通うことができる唯一の魔法学校だ

しかし魔法が使えない分、知識で補っていく能力が求められるため勉学の秀才たちのみに入学許可が降りる。

そのため生徒の大半は魔力のある人が占めており魔力のないものは片手で数えられる程度であった

そんなこと言っている俺も

魔力をもっていない

俺には仲良くしてくれる友人が5人いる

俺はみんなと一緒に戦いたかった

その方法を探るためにも魔法学校で実際に学ぶことを決意した

ただ、学校関係者と親しい人を除き

俺は魔力がないことを隠しながら、魔法を使える生徒として生活している

みんなにとっては気にしないことだとしても

俺にとっては魔法が使えないことは

やはりコンプレックスなのだ。

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Kr「ふぁ〜〜っ、はよ」

Kn「なかむおっはよ」

Nk「おはよ

きりやんはいつもより眠そうだな笑」

家の真ん前に住んでるきりやんときんときと挨拶を交わす

それだけでさっきの孤独感はほんのり和らぎ、辺りが透明感のある暖かい朝日に彩られるのを感じる

Sm「、、くぁ〜っ」

Sk「うぃっすー」

Nk「うぃー

スマイル寝癖えぐくね？笑」

Sm「うるせっ寝起きなんだよ」

途中でシャークんとスマイルと合流する

この挨拶にも満たない脱力感のある登校時がたまらなく尊い時間と感じるのは、さすがに俺は日々に酔っているのだろうか

なんて考えながら朝から笑みをこぼしている

タッタッタッタ、、、、

ドカッ

Nk「ぁでっ」

Br「何ニヤニヤしてんだよぉ」

Nk「っおまえさぁ、、、」

朝から心臓に悪い、、、 ともならないほど

これも日課になってしまっていた

後ろから飛びついてきてそのままおんぶ

もぉー暑いし、ただでさえ背が高いんだから重いったらありゃしない。

おかげさまでぶるーくは俺のリュック代わりになってそのまま登校する

俺たちの通っている学校は明確なクラス分けはなく、自ら受けたい授業を選択していく形式である。

魔法が使えないから実技とかができないこともあるが、俺にとってはこの座学の時間が最高の楽しみだ。新しい知識に触れるとなんだかみんなのことがわかった気がして少しだけ心が踊る

みんなはというと、きりやんとスマイルは科学系の授業をよく受けてそれを治癒魔法や薬の配合などに反映している。

スマイルは他にも哲学に興味があるらしくて個人的に受けにいっては得た知識や考えたことを俺と一緒に討論したらしている。なんだかんだいってこの時間が彼にとってはいちばん楽しそうにみえる

他3人はあまり勉強が興味があるわけではないからか俺の行くとこ行くとこについてきて暇そうに授業を受ける。

ぶるーくに関しては今日も寝てるし、、、

きんときはこんな知識大人になったらいつ使うんだよなんて不貞腐れながらシャークんにちょっかいを出してる

あ、そろそろしゃけキレるな。

ﾊﾞｼｯ

Kn 「いでっ」ｺｿｯ

ほーらいわんこっちゃない

Kn 「なかむぅー」

Nk 「自業自得だろ」

Kn 「ふぇーん」

そんな顔でこっち見ないでほしい

吹き出しそうになって授業へと意識を向ける。

しかしこのおじいちゃん先生の授業、さっきから同じ事ばっか言ってるなー、

暇だな。

最近はこういう時によく考え事をするようになった

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俺にとってみんなは大事な存在だ

古代ギリシャのアリストテレスは友人をこう定義した

『あなたの秘密を絶対に他言しないし、涙した時はそばにいてくれる。あなたを悪く言ったりせず、いつも信じてくれる人だ』と

俺もみんなをそんな存在だと思っているが

なんだかもっと特別な、それ以上の感情。

これは『友情』であり『愛』である

それは他人愛であり、隣人愛であり、フィリアであり、言葉という記号で定義してしまうにはなんだかもったいないような神秘的な深いものだ。

でも俺は

守ることができない

魔法なしに人を守れる方法を今まで探し続けているが、魔法が生活の一部と化している今では

それといったものは見当たらない

魔法が使えないから、みんなを守ることができないこの無力さに疎外感を抱く

俺はいつも守られてばかりだ

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☆他人愛→自分のことよりも他人の幸福や利益を優先すること。

☆隣人愛→聖書に記された自分のようにあなたの隣人を愛しなさいという愛の心

☆フィリア→ギリシア語で友愛、愛情を表す