TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

BIRDドクター《2》

一覧ページ

「BIRDドクター《2》」のメインビジュアル

BIRDドクター《2》

2 - 第2話 手術の出来ぬ環境 #1

♥

124

2023年02月20日

シェアするシェアする
報告する

「よし、まだまだ仕事が残ってるぞ。」

先生が立ち上がる。

「仕事?そんなのあったけ?」

サーフィーがとぼけた顔で言うと先生が

爪でサーフィーをペシッと叩いた。

「物理的に俺とクルルが入れ替わっている。

これは魔界からしても重大事件だ。」

「ってことで今からこの事実を隠滅する!」

先生が大きい声で言った。

「隠滅なんて出来るのですか?」

「これって契約ですよね。

魔王契約から逃れた肉体契約ってやつ。」

俺が言うと先生が指を鳴らした。

「そう。そこだ。だがよく考えても見ろ。

魔界の医学や科学はとても発達している。

なら”入れ替わりの薬”もあるんじゃないか?」

先生の言うことに深く納得した。

魔界で発達している科学では

『周囲を腐らせる薬』や『脳を支配し操る薬』までもが

すでに出来ている。これを考えると

“入れ替わりの薬”があっても不思議ではない。

「つまり、魔界に変装して行くんですね。」

「そうだ。」

「…変装?クルルと兄ちゃんは良いとして

俺の変装はどうするの?」

サーフィーが聞くと

先生が鼻で笑った。

「カエルの変装でもしてろ。」

「は、はぁぁぁぁぁ?!」

「あっははは!なら、サーフィーは蛙で充分ですね!」

俺が笑うと拗ねたサーフィーが翼でベシッと俺の頬を打った。

「もういい!蛙で充分だもん!ふん!」

「待てよサーフィー〜ちゃんとあるから。」

先生がそう言うと古いタンスから何やら

王冠と赤色の豪華な服を出した。

俺の推測ではあるが

サーフィーの父であるサーガラの衣装だ。

「サーガラの服と王冠のレプリカだ。」

「えぇ!サーガラの?」

サーフィーが興味津々で服を羽織る。

そして鏡を見ながら王冠を被った。

「王様みたい!カッコい〜」

サーフィーが鏡に向かって身を乗り出している間に

先生が言った。

「こうしている間に日が暮れる。

ペストマスクを着け、手術道具を持っていけ。」

「は、はい!」

そう答え、俺は床に放り出された鞄を拾い上げ

ペストマスクを急いで着けた。


やっと部屋から出て慣れない大きな翼で空を羽ばたいた。

飛びにくいかと言われるとそうでもない。

逆に飛びやすく、勢いが出る。

走るより楽かもしれない。

鳥になった気分だ。

下には緑色の草原に明るい都市が広がっている。

ここまでは地上界。人の住まう世界だ。

ここからある穴のあるところまで進む。

「ねぇ兄ちゃんとクルル。あの穴って魔界道?」

サーフィーが言うと先生が走りながら答える。

「そうだ。あそこまで一気に走り抜けるぞ。」

心なしか先生は笑顔だった。

俺だったら疲れてヘトヘトなのに

先生はどこか嬉しそうだ。

「そうですね…というか先生疲れてないんですか?」

「疲れてない。逆に気持ち良いな。」

「マジですか?!」

「兄ちゃん変わってるね〜。俺疲れたよ。」

意外に気持ち良さげな先生と同じく

俺は空を飛ぶ快感を味わっていた。

実に愉快で気持ちが良い。

「よし。もう魔界だ。行くぞ。」

「はい!」 「うん!」

こうして三頭で魔界に入った。


炎の燃える音が響き渡る魔界道。

魔界に入るまでは門番がいる。

「オメェら魔物かぁ?」

4本の手を持つ鬼神が話しかけてきた。

「はい。しばらく出掛けておりましたが

今回は用事があり戻って参りました。」

俺が言うと鬼神が金色の目でじっと見つめてきた。

「うぅん。」

しばらく悩んで鬼神が言う。

「分かった。通してやろう。」

鬼神が魔界門を開けると

俺等は一礼して本格的に魔界に入る。

BIRDドクター《2》

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

124

コメント

3

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚