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晴れた日曜日。
大学のキャンパスには、屋台の香ばしい匂いや学生の笑い声が響き渡り、まさに祭り日和だった。
「こさめの大学、すごい賑わってんな……」
「うちのとこより全然活気あるな……」
「そうだな。って、どこにいるんだ……って、え?」
目の前に現れた人物に、5人は一瞬、時を止められた。
「らんくん〜! みんなー! 来てくれてありがとーっ!」
軽やかに駆けてきたのは、水色のフリルたっぷりのメイド服を着たこさめだった。
膝上まであるスカート、ふわふわのパニエ、白いニーソに白のリボン。
水色のヘッドドレスと、笑顔がこれ以上ないほどにマッチしている。
「ど、どう? 似合うでしょ!?」
言われる前からわかってる。
が、しかし──
「…………」
らんは、一言も発さず、ただその場に立ち尽くしていた。
目は真剣、でも顔は完全にフリーズ。
微動だにしないその姿は、まるでタイムストップを喰らったNPCのよう。
「らんくん? あれ? ……え、固まってんの? うそ、似合いすぎて???」
「…………」(無言で頷く)
周囲の客も、ちらちらとこさめの姿に視線を送っていた。
その後、こさめの案内で5人はサークル棟の一角にあるコスプレ喫茶へ。
「ここがうちのサークルのカフェ!
今日のテーマは“異世界カフェ”! いろんなジャンルの服でおもてなししてる!」
中は大盛況。
だが、案内している最中、さらにこさめの可愛さに引き寄せられて次々と客が来てしまい──
「やばい、人手足りない! ってことで、みんなも着替えてっ☆」
「え? ちょ、こさめ?」
「問答無用〜! こっちこっち!」
案内されるがままに着替えさせられた5人は──
らん:黒のタキシードに白手袋、完璧な執事スタイル。
すち:白衣に黒シャツ、緑の聴診器を首から下げた医師。
みこと:ミニ丈ナース服、白ストッキング、でも中はちゃんとショートパンツ。
ひまなつ:ボタンを3つほど開けたポリスシャツに、ホットパンツスタイル。
いるま:白スーツに金チェーン、グラサンかけて堂々ヤクザ風。
「え、えええ……みじか……なにこれ……」
みこととひまなつは顔を真っ赤にしながら、スカートの裾や服を引っ張っては悶絶中。
「こさめのやつ……なんでこんなもん用意して……」
「……しかも、ぴったりサイズ」
その様子に、すちといるまが悪い笑みを浮かべながら接近する。
「お? そこの姉ちゃん、オレとお茶しない?」
いるまがひまなつの腰をがしっと抱いて引き寄せる。
「い、いるま…っ! は、はずい……!」
「なつ、顔真っ赤。かわいい〜」
一方のすちも、ニコニコ顔でみことに接近。
「可愛い看護師さんだね、食べちゃいたいなぁ……♡」
「す、すち……そ、そんな……」
みことは両手で顔を隠し、耳まで真っ赤に。
その光景に、さらにカフェは大混雑。
「写真撮らせてください!」
「写真! ペアでお願いします!」
声が次々と飛び交うが、すちといるまは即座に断る。
「撮らせねーよ」
「ごめん、それはNG」
──が。
「……ポーズくらいなら、ペアで少しだけな」
いるまはぼそっと言いながら、ひまなつの腰に手を回す。
「……ちょっ!」
「おまえが見えないとこで人気出ると面倒だからな。俺のだって見せとく」
同様に、すちはみことの肩を抱き寄せ、
「俺の看護師さんです、ってちゃんと見せてあげないとね」
「う、うぅ……」
らんも同じように、こさめと隣に並ぶ。
「……こさめ」
「なに?♡」
「その服、反則」
「えへへ〜♡」
ぎゅっと腕を組まれ、らんはまたしても無言になる。
そんなふうに、コスプレ喫茶は大盛況となった。
終わったころにはみんなぐったりしていたが、それでも──
「たのしかったねぇ♡ またやりたいなぁ〜!!」
「……次は衣装確認してから手伝う」
「それな」
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