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コスプレ喫茶の手伝いを終えた6人。
ひと段落し、ようやく自由時間となったが──
「そのままの格好で大学祭回るって……正気か……?」
「もう慣れたって!ね、せっかくだし楽しもっ」
と、こさめが満面の笑みで言い出し、ノリで決定。
しかし──6人並んで歩くと、とにかく目立つ。
「いや、通れねぇな。視線がヤバい」
「……分散しよう」
結果、3組に分かれて構内を回ることに。
構内の廊下を、執事らんとメイドこさめが並んで歩く。
らんは黒のタキシード姿。
身長差のあるこさめは、嬉しそうにらんの腕をぎゅっと組んで歩いていた。
「ふふ、なんかデートみたいじゃない?」
「……そうかもな」
「らんくん〜、さっきは手伝ってくれてありがとね」
「いや、おまえの格好のがインパクトありすぎて大変だった」
「え〜、かわいいでしょ?」
「……うん。かわいいよ」
こさめは、にっこりと嬉しそうに微笑む。
光を反射するようなその笑顔に、らんは目を細めた。
「大学、みんなバラバラだから、こうして6人で集まれるの、すっごくうれしいんだ。
やっぱ高校の時が一番たのしかったなあ。みんな好き。みんなの大学祭も行きたい!」
ぴょこぴょこと跳ねるように話す姿。
水色のフリフリが揺れて、明るい声と合わせて小鳥のように愛らしい。
「──」
らんの歩みがふと止まる。
「どうしたの……?」
「…………可愛すぎる」
「へっ──」
言葉の直後、廊下の隅。
らんはこさめの頬に手を添え、一瞬の隙に唇を重ねた。
「──っ!」
一拍置いて、周囲から、
「うおおおおおお!?!?」 「今の見た!?」 「なにあのイケメン執事と天使メイド……!」
歓声とどよめきが沸き起こる。
真っ赤になったこさめは、瞳をぱちぱちさせ、ぽかんと口を開いたまま。
「……やば……らんくん……、ひと前……!」
「悪い。でも、限界だった」
らんはこさめを抱き上げるようにし、腕の中に収めた。
「──すみません、お騒がせしました」
周囲の声に軽く会釈し、そのまま人混みをすり抜けて歩き出す。
こさめは、顔を真っ赤に染めながら、
でも腕の中でうれしそうに、らんの胸にぎゅっと頬を寄せた。