「……」
いつものように起きる
目の前には見慣れた緑髪の男
『おはようゴざいまス!』
「……悠里マスター?」
『ハイ!ユウリです!』
何故か悠里マスターが来た
何故だ
「何故ですか?私は要マスターの同一体
要マスターが来るはずです、というかいつものように来るはずですが」
『……それについてなんですが』
彼は重苦しい口を切り開いていった
『要さんは、死んでしまって』
気まずそうに目を逸らして、彼はそう言った
「……え?」
『信じられナイとは思いまス
昨日の夜、発作で』
昨日の夜、侵入者
まさか殺しきらなかったから?
余力があったのか?
私の、せい?
「……やっぱりあの時殺しておけば___」
『落ち着いて下さい
アナタのせいじゃないです』
言い聞かせてくる悠里マスター
傍から見れば女神サマに見える
『要サンは貴女の事を嫌っていません
例えそれが生命に関わっていろうと、貴女の事を嫌うわけがありません』
『だから、落ち着いテ?』
「……はい」
耳に浸透する声
尖っていない喋り方
優しい笑顔
きっと、私が”クローンでなければ”彼を完璧に信じきっていたでしょう
だけど何か変
何かは説明できないが、変
言えば雰囲気というものか
この雰囲気、まるで道化師
1人で演じ、一人で観る
そんな感じ
笠山悠里
あなたはいったい、なにものですか
私は少なくとも特殊な立ち位置
だからずっと人を見てきた
だから分かる
『ホントに日本は寒いデスね〜……
凍えてしまいそうデス』
こいつは嘘をついている
目の奥が灰色っぽい
嘘つきの証拠
そんな彼が今
『それで質問なんですが……』
「あ」
私に銃を向けている
『安置室から死体が消えた
死体が消えることは無い、きっと生きてたんだろう』
『この研究所は複雑だ
一発目でわかるわけが無い』
『手引きしたのはお前だな? 岩音要』
その姿に、いつもの姿はなかった
いつも上がっていた口角は下がりきって
高く結んでいた髪は解け、膝下まで伸び
片言だった日本語を流暢に話し
何より目の奥が
『嘘つきの灰色』から
『悪人の黒』へ
「……だから貴方は嫌いなのよ、笠山悠里」
『奇遇だな、俺も正直やりにくいと思っていたところだ』
大人は強い
だから負けたくなかった
私の為に、家族の為に
負けたくなかったのに
『……情報は喋らないか』
「ええ、私貴方嫌いだもの」
『その言葉そっくりそのまま返すぜ嬢ちゃん』
『それじゃ、もう殺していいか?』
「勝手になさい」
やっぱり大人って
大っ嫌い……
銃声が響いた
コメント
7件
イヤァァァァァァァ……、イヤァァァァァァ…… イヤァァァァァァ
オマイガッッ!!!!!
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!! うーん………前半から中盤までがオトメ、 中盤から最後が要視点ね!! でも、手引きね〜 そういう口実で〇してるんだろうけど。 まぁ、どうでも良いよ。 カザリ〜お前も処刑にするけど この事についてどう思う?? 次回も楽しみに待ってるね!!!!