彼が僕の目の前に現れてから数日が経った。 突然現れた彼は未だ眠り続けている。
生憎この教会にはベッドがひとつしかないので、最初は(神父としてはどうなのかと思われるかもしれないが)僕は聖堂にある長椅子で眠って彼をベッドで寝かせていたのだが、聖堂の長椅子は如何せん硬く、情けなくも僕は一日で音を上げた。不可抗力だとも思う。
それからは何も知らない彼には申し訳ないが僕と同じベッドで寝てもらっている。
同じベッドで寝るようになってからはなんとなく、目が覚めた時と眠る時には必ず彼に挨拶をするようになった。
もちろん、返事はない。
「おはようございます、リリー」
あの日から特に変わったことはないが、強いて言うのなら僕が彼を”リリー”と呼ぶようになったことだろうか。
確か、彼を保護してから三日目くらいだったと思う。
“君”や”あなた”と呼ぶことに不便さを感じて、勝手にあだ名を付けることにしたのだ。
リリーの由来は安直だ。
彼の綺麗な白銀の髪が、この協会の周りに咲く白百合に似ていたから。
シンプルすぎると言われるかもしれないが、 僕は存外この呼び名を気に入っていたりする。
可愛いし、響きが綺麗だし、なにより呼びやすい
コメント
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急に自分の名前が出てきて びっくりしましたがknkz最高 です!