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間柄に名前をつけるなら

215 - 第10章 聖夜に灯る想い 第215話

2025年09月05日

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家の前にたどり着くと、自然に二人の足が止まった。

繋いでいた手はまだ温かく、離すのが惜しい。


「……ここまで、ありがとうございます」

咲が名残惜しそうに呟く。


「送って当然だろ」悠真は少し照れながらも、まだ手を放そうとしない。


夜の静けさに、互いの呼吸だけが重なった。

「……帰りたくないな」咲が小さく本音を漏らすと、悠真の目が驚きに揺れる。


けれどすぐに、やわらかな笑みを浮かべた。

「俺もだよ。でも……また会えるから」


ゆっくり手が離れる瞬間、心にぽっかり穴が開くような切なさが広がる。

それでも、胸の奥には確かな約束の灯がともっていた。

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