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〚blue world〛
歩けば薔薇
微笑めば生き仏
座れば百合
そんな誰もが憧れる高嶺の花
そんな彼女は先日
死んだ
2018年8月31日4時44分
自宅の自室でカッターナイフで首を切り刻んだ後ロープを使用して首を吊り死亡
暑い夏の日の事だった
それはとても虚しく
儚い死だった
誰にも自殺理由は分かっていない
ただ彼女の顔は笑っていた
「高嶺沙羅(タカミネサラ)」
変わらぬ事実があるとするならば天女と崇められた彼女は永遠に僕達の目の前に姿を現さない
永遠にだ
その事実が僕にとってメリットかデメリットかは今のところ分かっていない
とりあえず今の状況を考えてみればどうでもいい
今世間で起ころうとしている事、それは何よりも恐ろしかった
高嶺沙羅の父親は国家的に見てもかなり権力のある奴だ
そんな奴の一人娘が死んだらどうなるか
切れ散らすかはたまた国民へなんなかの手口で嫌がらせをするのか
そんな訳あるかと思っている人が多いだろうが実際奴はそんな人間だ
そんな奴が考えたあり得ない提案
[高嶺沙羅クローン計画]
これは同年代の身体成分を組み合わせ、高嶺沙羅のクローンを作り出すという頭のぶっ飛んだ計画だ
高嶺の身体はとても調べる気にはなれなかったんだろう
だからって国民にも手を出すのか…？
哀れな事にその提案は国によって認められた
彼…高嶺連太郎は国家から居なくなっては困る人物だったのだ
残酷な話だ
そして今「赤坂瑠夏(アカサカルカ)」こと僕はその実験の為連行されている
大きな鉄筋コンクリートの実験施設には一人1つの部屋が与えられた
この施設は戦時中に戦いに使う為に生ける化け物を作ろうとした施設らしい
僕達は数カ月で施設を出された
結局、高嶺沙羅のクローンは失敗に終わったそう
そりゃそうだろう…
だが事件は起きたその数年後の2025年
そこに居た計15人の人々に国からの招集が掛かった
『実験施設を見てきてほしい』
との事
瑠夏)めんどくせ…
とりあえず実験施設の扉の前でスマホをイジリながら待つ
すると
由香)あ！もう人が居るぅ…早ぁい！
世良)由香、待って…
「渡邉由香、世良(ワタナベユカ、セラ)」
この双子は僕と同じく以前研究施設に隔離されてた仲間だ
