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コメント
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いや…これ、めちゃくちゃ刺さった。 「恐竜の血が流れてる」って自分に言い聞かせるしかなくなる瞬間、わかる気がするよ。実際に爪が硬いとか頭が固いとか、全部が現実から逃げるための作り話で、でも最後の「心までは強くしてくれなかった」で全部崩れた感じがした。 手紙の宛名、上履きの罵詈雑言、水で台無しになった弁当…どれも具体的すぎて、読んでて胸がぎゅっとなった。それでも笑って「美味しかった」って言える主人公が切なすぎる。 途中までは「復讐か…」って思ったけど、読み終わったあとはただただ「続きが気になる」って思ってる。この感情のまま突き進むのか、それとも誰かに止められるのか…。次の話が待ち遠しいよ🌙
驚く事を教えよう。僕には恐竜の血が流れている。それは僕の内なる内に潜んでいて、いつ牙を剥くものか知れたものじゃない。
だって僕はヴェロキラプトルの様に強靱な爪を持っている。鉄製の爪切りやナイフなんかじゃないと、滅多に傷つかない。
それに僕はアンキロサウルスの様に固い頭を持っている。昔キャッチャーをしていた時にバッターが振りすぎたバットが直撃しても、軽く割れた程度だった。
さらに僕はオビラプトルの様な声帯を持っている。風呂で失恋ソングを歌っていた所、まだ幼い妹に「変な声で叫ばないで」と言われた。
極めつけに僕はティラノサウルスの様な顎を持っている。ある食卓で手羽先の骨に思い切り噛み付いてみたら、バキバキ割れてしまった。
以上で分かって貰えたように、僕にはほぼ確実に、間違いなく恐竜の血が流れている。
僕はこの事を、知人にも、友人にも、親族にも、家族にも言っていない。別に教えてもいいかもしれないが、周囲から見える決定的な証拠が無いから今はよそう。
そういえば一昨日、同じクラスの奴らに面白いことをされた。
下駄箱の中にやたらハートばかりの汚い字が綴られている手紙があったから急いで屋上へ行ったというのに、待ち受けていたのは一緒によく遊ぶ男子たち。
皆ケラケラ笑って、僕の肩に手を置いた。
僕も合わせて、笑った。
その前は上履きにかわいいイタズラをされたこともあった。
確か教室の隅っこにあるゴミ箱の中に、ベチャベチャの雑巾と共に放り込まれていた。
あれは少しひどいと思ったが、皆堪えきれないくらい面白かったのか、僕をみてクスクス笑っていた。
僕も一応、笑った。
今日はさらに変な事が起きた。
昼にトイレの個室で弁当を貪っていたら、考えられない量の水が上から振ってきたんだ。
当然、母が作ってくれた冷凍食品ばっかりのおかずと、均一にふりかけがかかった冷えた米は箸で掬っても食べられなくなった。
その後、何人かの男子が笑いながらトイレから出ていった。
僕は滴る水滴の中、口角を震わせて笑った。
大丈夫さ、僕には恐竜の血が流れているもの。
少しくらい肩を叩かれたって、靴下で冷えた廊下を歩いたって、冷たい水でびしょびしょになったってへっちゃらなんだ。
でも、恐竜の血が流れているからといって全部が全部平気な訳でも無い。
手紙には僕が好きだった女子生徒の宛名があった。
拾った上履きには数え切れない罵詈雑言が乱雑に書かれていた。
濡れた弁当は全部捨てて、母親に美味しかったよと伝えた。夜勤明けの母親は濃いクマを拭い、朗らかに微笑んだ。
そう、僕は強いんだ。恐竜の血が流れているから。
でもその血は、心までは強くしてくれなかった。
きっと僕に恐竜の血が流れているから、彼らは僕を恐れて、軽蔑して、虐めているのだろう。
確かに、そんな奴怖いよな。
そんな奴本当に居たら、嫌でも突き放すよな。
じゃあ
じゃあなんで
僕にこんな事をするんだ?
恐竜の血。
そんなもの何万年前とかそこらに絶えていて、図鑑を眺めて想像を膨らませる事しか出来ない。非現実的な妄想をいくら熱烈に信じようと望もうとそんなものは無いのだ。
僕には恐竜の血が流れている。
そう思うことにした。そうしないとやってられなかった。
だから僕は恐竜になる。
鋭く爪で、固い頭で、耳を割る程の声で、骨を砕くほどの顎で、彼らをぐちゃぐちゃにしてやるんだ。
どうせ簡単には殺せない。いいさ、楽しんでやろう。
殺す、食い殺すなら生け捕りだ。死骸を食うのは芸がない。
満たすために涎を垂らすんじゃなく、ただ生命を摘むために牙を研ぐんだ。
古代の生物たちは生きるために強者を落とし、死骸を貪り、己の地位を確立してきた。そしてまた、己も落とされてきたのだ。
気概は十分だ。準備しよう。
こんな柔い爪より鋭く伸びた包丁を持って、銃弾も防げるだろうバイクのフルフェイスヘルメットを被り、イヤホン越しに一番ノレる歌を流し、食べやすいようにカトラリーとバーナーをカバンに詰める。
誰かに相談?馬鹿馬鹿しい。馬鹿馬鹿しかった。
いの一番にそうして、誰も信じてくれなかった。こんな突飛な考えをする僕なんだから、もともと周囲からどう思われているのかなんて考える由も無い事だったのだ。
言葉で、態度で、意思でどうにも対処できないなんて、本当に恐竜みたいなニンゲンだな。
それなのに復讐なんて、本当に曖昧だ。
闇夜に飛び出した。全速力で駆け出した。
情も、法も、しがらみも。
すべてを振り切れるくらいの脚力を僕にくれ。
奴らを食い殺す。弱肉強食だ。
#読み切り
ruruha
201
#ドラマ
柘榴とAI

92
#異能力バトル