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『総統の審判、偽りの差出人を排せよ!』
ライの「リボルバーの差出人を妻にする」という宣言から数日。 噂に尾ひれがつき、「リボルバーの差出人だと名乗り出れば、あの美しくて強い総統ライと結婚できる」という話がハイカラシティの裏通りにまで広まってしまっていた。そして今日、ついにその「偽物」がライたちの前に現れた。「フッ……君がライちゃんだね? 探したよ。その二丁のリボルバー、実は俺が君にプレゼントしたんだ」カフェのテラス席にやってきたのは、いかにもキザでチャラそうな見た目のインクリングの男だった。その言葉を聞いた瞬間、隣にいたリンの背後からドス黒いオーラが立ち上り、アールもトレードマークのおちゃらけ笑顔を完全に消して男を睨みつける。ユキは(うわ、絶対嘘だろ……)と頭を抱えていた。しかし、当のライは至って冷静だった。フンスと鼻を鳴らし、愛銃をテーブルの上に置く。「ほう……お前がこのブキの主か。よくぞ現れてくれた。だが、我が軍の大切な家宝だ。引き合わせる前に、いくつか製作者としての質問をさせてもらいたい」「あ、ああ、もちろんさ! 何でも聞いてよ(適当に合わせりゃいけるだろ)」男が鼻で笑ったのを見て、ライの目がスッと冷たく光る。「では第一問。このリボルバーのシリンダー(弾倉)部分に使われている特殊合金の金属材料、および耐久性を上げるための表面処理(コーティング)の名称を答えよ」「えっ? ええと……普通のインクが詰まらないような……アイアン、とか? コーティングは……ピカピカ塗装、かな?」男の冷や汗が流れる。ユキは(そんなわけないだろ。マスクが作るブキだぞ、もっと変態的な技術が詰まってるわ)と心の中でツッコんだ。「ふむ。では第二問。この銃身のライフリング(腔線)を削り出す際、お前が使用した専用工具の型番、および職人の手による最終調整のバフ研磨の工程を述べよ」「こ、工具!? いや、それはその……海外のすごいやつで、ガガガって削って、仕上げに布でキュキュッと拭いたっていうか……!」男は完全にしどろもどろになり、後ずさりした。ライは愛銃を愛おしそうに撫でながら、ため息混じりに首を振る。「……愚かな。このブキのシリンダーは最高峰の超々ジュラルミン製、表面には極薄の低摩擦セラミックコーティングが施されている。そして銃身の内側は、市販の工具ではなく、緻密に計算されたオーダーメイドの超硬エンドミルでなければこの滑らかなスライドは実現できん」ライは最初から、この男が真っ赤な偽物だと普通に気づいていたのだ。彼女は誰よりもそのリボルバーを愛し、構造を調べ尽くしていた。「我が至高のブキを侮辱し、軍の最高機密である伴侶の座を騙ろうとするとは……不敬極まりないな」ライは冷徹な表情のまま、パン、パンと小気味よく二回、手を叩いた。それが、我が軍の「処刑」の合図。ライは冷たい視線を男に突き刺したまま、アールとリンに向かって言い放った。「r、リン。――我が視界から、その不浄な者を叩き出せ(追い出せ)」「イエッサー、総統閣下ァ!!」待ってましたとばかりに、アールが狂気に満ちた満面の笑みでドライブワイパーr1を引き抜く。「ライの隣に立とうだなんて、一億年早いのよ……!」リンの目が完全に据わり、ドライブワイパーカスタムから凄まじい殺気が漏れ出す。「ひ、ひええええええ! 悪かった、悪かったから!!」戦闘狂二人に凄まれた偽物の男は、腰を抜かしながら全力でハイカラシティの広場へと逃げ出していった。それをアールとリンが「逃がさないよ〜?」「ちょっとお話しようか?」と笑顔で追いかけていく。「やれやれ……。気づいてたなら最初からそう言ってよ、ライ」ユキがホッと息を吐きながら言うと、ライはリボルバーをホルスターに収め、いつもの気さくな笑顔に戻った。「当然だ、書記長。私の伴侶となる者は、私以上にこのブキへの愛と知識がある者に決まっている。……ふっ、まだ見ぬ我が妻よ、一体どこで私の訪れを待っているのだろうな!」その頃、カフェの植え込みの陰では、一部始終を見ていた本物の差出人・マスクが、ガタガタと震えながら限界を迎えていた。「ライちゃん……僕のこだわりを……全部理解してくれてる……っ。でも妻とか婚姻届とか言われたら……僕、本当に心不全で死んじゃうよぉぉぉ……!!」本物の差出人が名乗り出る日は、まだまだ遠そうであった。(終)
ひより✩.*˚DESIRE
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コメント
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うわあ、今回最高に面白かったです!偽物が来る流れは読んでて「いやそれは無理があるだろ…」と思ってたけど、ライのブキ知識で完璧に論破するシーンが気持ち良すぎました。シリンダーの素材とかコーティングとか、設定が細かくて世界観に引き込まれます。そして本物のマスクが震えて隠れてるの、早く出て行けばいいのに笑っちゃいました。次回も楽しみにしてます!