テラーノベル
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バイトが終わったあと、ふたりは待機室の隅に座っていた。
ギアを外しながら、恒がぽつりと口を開く。
「……今日、霧の中でもひろの位置、ちゃんとわかった。」
「うん。僕も恒の動き、見えてた。」
「見えてたっていうか……感じてた。」
ひろは、少しだけ笑った。
「それ、俺がよく言うやつ。」
「うつったかも。」
ふたりは、少しだけ沈黙する。
でも、その沈黙は心地よかった。
恒が、ペットボトルを手に取る。
今度は、ちゃんとキャップを開けられた。
ひろは、それを見て何も言わなかった。
ただ、静かにうなずいた。
「……今度の休み、また海行く?」
恒の声は、少しだけ柔らかかった。
ひろは、少しだけ考えてから答える。
「うん。行こう。今度は、もう少し遠くまで歩こうか。」
恒は、うなずいた。
その目には、少しだけ光が戻っていた。
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