残り20分_
病院と家を行き来するには、最速でも約40分は必要だ。
、、、まさか、それを理解しての上で残り30分の時にヒントを出したのか、、、?
「どっちか選ばないと、どっちも無くなるよ〜」
「え、、、」
白石さんは、そう言った後相変わらずニコニコしながらその場を去った。
確かに、白石さんの言う通りだ。
早く選ばないと、時間が来てとあねぇは死ぬ。
まだ、助かる可能性がある今なら、、、。
「、、、始まり」
確かに、私達は病院で産まれて人生の〝始まり〟
だけど、、、。
私達の人生が狂い〝始めた〟のは、両親が死んでから。
もし、とあねぇの自殺がやらせで私達姉妹が記憶で一番苦しくなるのは家だ。
「い、え、、、?」
私は、スマホで地図を開く時間も勿体なく感じてとにかく走った。
幼い頃の記憶を辿りに向かう。
残り_10分
ーー
ーNOsideー
「14年前の芸能人夫婦心中事件_雪梅杏珠。雪梅利斗」
フードを深く被った人物が、書類に目を通す。
それは、14年前に起きた心中事件だ。
「、、、隠し子_雪梅杜嗚。雪梅李菟」
とある人物たちの名を口にした後、ニヤリと口角を上げる
〝雪梅李菟〟の名を見ながら、、、。
ーー
ー李菟sideー
ーブルッ
走っている最中、寒気と嫌な予感がして顔が強張るのが分かる。
だけど、それよりも今は目の前のことに集中しないと。
「はっ、は、、、」
全力疾走で走り続けている為、警察官といえど息が上がる。
だけど、ここで立ち止まる訳には行かない。
人の_とあねぇの命が懸かってるんだから、、、‼
「と、あねぇ、、、っ」
大丈夫。
絶対に助ける、、、この選択が私にとって合ってるんだから。
ーpurururu purururu_
タイミング悪く、電話が掛かってきた。
走りながら、通話ボタンを押す。
「もしも、し。雪梅、です」
息が上がっているが、ちゃんと喋る。
「雪梅課長っ、あの〝雪梅杜嗚の現在地〟が特定出来ました‼」
「、、、それ、ほんと、?」
私は、立ち止まり部下の話に耳を傾ける。
場所を教えてもらい、私は踵を返す。
さっきまでの不安や恐怖とは打って変わって安心や喜びを胸にまた走り出した。
ー‹新宿:廃ビル›ー
私は、言われた場所に来た。
周りには何人か警察官が居た。
恐らく、この中の誰かが見つけてくれたんだな、、、。
そんなことを考えながら、久しぶりに姉に会える嬉しさで涙が出そうだ。
ーカツカツ
私の足音が鳴り響く。
中に入り、気付いた。
何階にとあねぇが居るか聞いていなかった。
一階から、一室ずつ扉を開けて中を確認していく。
ーピピツ
スマホから通知が鳴った。
私は、少し邪魔されたような気分になりながらもスマホを開いた。
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