TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する











――崖に着くと私はあの子をいつもの縁に座らせて、その右隣に私も座った。


『…ねぇ』

『なあに?』

『……』

『どうして私じゃ無いの』

『…?』

私は夜明けの予感を乗せて揺れる巨大な海に問いかけた。

『どうして、私じゃ無くこの人じゃ無ければいけなかったのですか 』

『身体の傷は身体を蝕む。その様に、魂の傷は魂を蝕む』

『私、魂が蝕まれることが何にも比べものにならない程…』

『…苦痛です』

『……』

『身体の傷は捨てることが出来ても、魂の傷はそうもいかない』

『…このまま死んでしまえば、私は永久に痛みの無い苦痛を受け続けることになります』

『でももし、傷をこの人に流しているこの罪深い私が社会から逃れたなら』

『今生ではもう傷を受けずに済む』

『その先でゆっくりこの人の傷を治して…』

『また記憶を集める旅に出られる…!』

『だから…!!』

そう言って、水平線の向こうから溢れる光に身を委ねようとしたその時、

『大丈夫』

私は腕を引かれて、

『…ワタシ、先に向こうで休んでるね』

私は背中を地面に打って、

『あなたは家に帰って』

その人は身を投げ出されて、

『じゃあ、おやすみ。』

そして、日の出の中に掻き消えていった。


私はその瞬間、魂を失った。

あの後私は確かに家に帰った。でも、その先の記憶はもう私の中に

残っていない―――――





この作品はいかがでしたか?

7

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚