あれから数時間が経過した。
「見て,スカイ。あれが教会よ。」
町の中心に佇む大きな教会,というよりかは宮殿かもしれない。ここには四聖様がいて,毎日のように参拝者などがやってくる。今日は平日。人は全然いなかった。
「四聖様,初めまして。エアリス・クリスティーと申します。」
「スカイ・アーツです。」
四聖様だろうか。誰かの足音が聞こえてくる。
「すみません,初めまして。四聖です。」
四聖様はイケメンに分類される。町や郊外の女子たちは四聖様を拝みに来るのだ。さわやかイケメン四聖様はどんなことにもさわやかな笑顔で丁寧に対応していく。
「どうされましたか…あぁ,そういうことですか。」
四聖様は何も言わなくてもわかったようだ。流石神の子。
「スカイ・アーツ。あなたには勇者の才能があるようですね。そしてエアリスさん。」
「はいっ!」
まさか呼ばれるとは思わなかったから変な声になってしまった。これじゃ笑いものね。
「あなたは聖女の資格があるようで。」
「…え?」
「これは良きチームになりそうだ。ぜひ,魔族を倒してほしい。」
「…え????」
魔族ってあの魔族ですか?あの?しかもそうなったら魔王倒せとかいうんでしょ?やだよ。死にたくないもの。だれがやるもんですか。
「嫌です。」
「そうですか。…ならこの報酬も0ということで。」
「やります。」
物は試しに。あ,お金で動いたわけじゃないからね。
「スカイ,それでいいかしら。」
「うん。」
「ありがたい。では君たちには加護を私から授けよう。この加護はあらゆる場面で活躍するだろう。」
四聖様は何かしらを詠唱した。すると私たちの体にほんのりとあたたかな魔力が通ったのが分かった。これが聖属性。人々にあたたかな力を与え,幸せにする。ほんとうに四聖様は素晴らしい方だと思うわ。
「あの,四聖様。少し聞きたいことが二つほどありまして。」
「ほう,それは何だい?」
「このちょい恐怖心というものなのですが。」
スカイが自分のステータスを四聖様に見せる。四聖様はそれを見てつけている眼鏡をくいと上に上げた。
「このようなものは初めて見た。興味深いよ。」
「私もこの数百年間で初めて見ました。」
「この恐怖心,普通の恐怖心とどう違うのかは分かったりしたかい?」
この恐怖心は普通の恐怖心と違って少しはステータスが上がる,levelは問題なく上がるということを四聖様に私は伝えた。こんなステータス,普通ではありえない。
「ほう,本当に興味深いよ。まぁ,これは何かわかった時に君たちに報告するようにする。もう一つは何だい?」
「はい,それは私の属性のことでして,風属性なのですが子供用の杖を使っても魔法が放たれないのです。」
子供用の杖は魔力消費を最小限にし,魔法が出にくい子の補助の役目を果たしてくれる。しかし私の魔力はステータスで唯一最高レベルに達しているのだが魔法は放たれることはない。
「ほう,そうだね,君はエルフだ。風属性は使えるはずなのに使えないとなるとその属性は君とマッチしていないのかもしれない。」
四聖様はこう話した。もし仮に属性が私に合っていないのだとすれば私の属性は無になる。しかしそうなると私はエルフではないということになる。私の親は両親ともに純粋なエルフだ。そんなことはない。
「君達は何か不思議な存在だ。その件についても報告するようにしよう。さて,君達にはノーアバリスと言うギルドで手続きを仕手ほしい。費用は国が出すから安心してくれ。」
「わ,分かりました。」
ノーアバリス,聞いたことがある。国で一番大きなギルドで世界的にも有名な物。そのギルドの契約人数は万を超えるといわれている。報酬もきちんとしていて設備がいいらしいけど。
「では。」
私たちは四聖様との話を終え,一度宿に戻ることにした。
「スカイ,今日でここは最後になると思うの。親に話したりはする?」
「いや,もう親居ないからいいよ。エアリスさんは?」
「私はもういってある。あとエアリスでいいわ。」
そう言いながら私は荷物をまとめる。荷物と言ってもリュックに入るぐらいのものしかないのだけれど。
「それじゃあ明日,朝一でここを出ましょう。ノーアバリスは凄く遠いから。」
「分かった。」
このホテルで最後になる夜ご飯を食べ,シャワーを浴びて私とスカイはベットに横たわった。明日,起きれるかわからないけど,何とかやっていけるでしょう。
「人間は醜い存在だ。そんな奴らにもう用はない。…だろ?___。」
「…あぁ。」
人間界に吹く風が一気に寒くなった。
to be continued→
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