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第48話 波乱の合同会議
el side
エルフとドワーフ、両種族の合同会議の日がやってきた。年に数回やるこの会議は、エルフとドワーフとのわだかまり解消も兼ねている。だが上層部は厄介なことに、お互い牽制しあう。そのため何か1つ話題を挙げる事に激しい口論、挙句の果てには実力行使になる。けれど私やクリスがいる時は口論に留まってくれるが。私もクリスも常にこの会議に出れる訳ではないので今日は比較的平和的な会議ができるのではないかと思う。それに今回はガイストも呼んでいる。エルフでもドワーフでもない彼がここにいることによって新たな話題が展開できるかもしれない。口数は多くないが、物事を正しく理解して受け取る能力があるため、今回の合同会議では何としてでも出てもらいたかった。
会議室までくるとクリスが扉の前で待っていた。
エレナ・シュレイザー(el)
「クリス。」
クリス・エル・セリスト(ch)
「よぉエレナ。今日の会議、どう見る?」
el
「…比較的平和的な会議、だと思いたい。私達やガイストがいるとはいえ、今回の議題は互いの関係にさらにヒビが入るかもしれん。」
ch
「そんなに深刻な問題か?」
el
「我々一般の民からして見れば問題ではない。だが上層部は素直に了承してくれるとは思ってない。」
ch
「いざとなれば実力行使か?」
el
「そうなるだろうな。そうなればクリス、君が頼りだ。」
ch
「それはそっちも同じだろ。」
el
「そうだな。…行くぞ。」
そう言い会議室の扉を開ける。中に入ると毎回の光景なのだが、相も変わらず口論していたようだ。だが私達が中に入ったのを見ると口論を辞め、不服そうに互いに険しい顔をしながら静かに席に座る。そして私達も席に座る。ガイストには部屋の隅に置いてある椅子に座るよう指示してある。ちゃんと座っているようで。そして会議室に置かれた長机には互いの種族の代表7名が互いを見つめあって座っている。
el
「それでは、両種族合同会議を始める。今回の議題は、大魔災害についてだ。」
ch
「大魔災害、エルフ側はトロプフェンの地底湖、ドワーフ側はゾンネの塔が由縁となってるのは知っての通りだと思うが。」
「大魔災害に関しては以前各国代表会議より既に通達があったはず。我々エルフも粒ぞろいを選出している。」
「それはドワーフも同様だ。」
el
「だが我々のその場所はベスティエのような言い伝えがあまり残ってはおらず、各種族の上層部より通行が制限されているため、中の詳しい情報はほぼない。それは両者が互いが無干渉、いやお互い大魔災害由縁の場所に入れたくない。そうだろう? 」
私がそう言うと図星をつかれたかのように両者沈黙する。
ch
「そこでエレナと俺で互いに情報共有を行い、1つの決断をした。…互いの場所を攻略する。」
クリスのその一言で全体が騒ぎ出した。驚きや戸惑い、ありえないと口にする者と、開いた口が塞がらずにいた。
el
「またトロプフェンの地底湖はドワーフが、ゾンネの塔はエルフが攻略する。」
「またれよ!いくら攻略すると言ってもエルフの聖地とも呼ばれる場所にドワーフを入れるなど…」
「それはこちらのセリフだ!ドワーフの聖地にエルフは必要ない!」
やはりか。トロプフェンの地底湖もゾンネの塔も聖地として扱っている。そのため他種族を入れることを禁忌のように忌み嫌う。実際禁忌ではないが。ではなぜ大魔災害の由縁である場所が聖地と呼ばれるのか。それこそが、両種族がいがみあう最大の原因ともなっている。
ch
「攻略は俺とエレナが行う。」
el
「誰にも手出しはさせん。」
結局実力行使か。私とクリスが行くと言えば互いに手は出しにくいだろう。勝てる見込みがないからな。軽い足止めはしてくるかもしれないが、それは私もクリスも織り込み済みだ。
「なぜそこまでする必要がある!それこそ互いに無干渉でいればいいだろう!」
el
「各国代表会議でもベスティエに起こった大魔災害の再来は重く見るべきだと結論は出たはずだ。こちらが所有する由縁の場所も我々が調査しなければ民に被害が出る。同種族を、無関係な民を見殺しにするつもりか?」
「そ、それは…せめてエルフの聖地はエレナ様が行かれては……。」
「ドワーフの聖地はクリス様に…。」
el
「それでは結果が見えている。今回はあえてこの方針を取っている。互いの聖地に他種族が赴けば新たな考えや対策案が立てれるかもしれない。今はお互い争っている場合ではない。」
ch
「それは俺も同意見。いい加減終わりにしよーや。」
最終的には異論を唱える代表はいなくなり、私はドワーフの聖地ゾンネの塔へ、クリスはエルフの聖地トロプフェンの地底湖へ向かうことになった。
To Be Continued………
コメント
1件
古書研究してると、こういう「聖地=他種族立ち入り禁止」の設定って自然界の生態系のテリトリー争いを思い起こさせるんですよね。エレナが「新たな考えや対策案が立てれるかもしれない」って言う場面、染みついた偏見をどう乗り越えるかって話で、すごく現実味があって惹き込まれました。 ガイスト、まだ出番控えめですが、第三の視点として会議の空気を変える存在になりそうで楽しみです。次、どう動くんだろう。