「あ、来たわね!花月チャン!」
「遅くなってしまってすみません…。」
「大丈夫よ、時間ぴったりだし。」
「じゃ、食うか。」
「いただき、ま~す。」
見るからに豪華な料理が並んでいる。でも、食欲なんてものは湧いてこない。
「口にできるものがあったら食べてください。無理強いはしませんよ。」
「え…?」
「顔に出ていましたよ。」
「す、すみません…。」
ナイフとフォークで魚のムニエルを切り口元に運ぶ。
口に入れた瞬間、香ばしい香りが広がった。
「お、おいしい…。」
「でしょ?やっぱり泰揮が作った料理は美味しいもん。」
「作ったって…?」
「アタシは料理当番なの。今日は花月チャンのために腕を振るっちゃいましたよ。」
「私のために……。」
ガチャ
パリン
「きゃ!」
手を滑らせて水が入っていたグラスを落として割ってしまった。グラスの破片で指を切ってしまったのか、指の間を血が滴り落ちる。
「ご、ごめんな…」
あわてて皆さんのほうを振り向くと、目線は私の傷ついた指にくぎ付けだった。
「いい香りだね。」
この目は昨日の…気味の悪かった視線に似ている。
次第に舌なめずりする音が聞こえ、彼らの口元から見えてくる細長い牙が彼らの本性を物語っていた。
「血、舐めさせてよ。」
桃瀬さんが目を光らせながら私のもとへ近づいてくる。
この人たちも吸血鬼…?
そのとき誰かに腕を後ろに引っ張られ指先を舐められた。
「血、止まった。」
「え…ありがとうございます…?」
劉磨さんが私の指をくわえている。そのおかげか、さっきまで流れていた血が止まっていた。
「僕が舐めたかったのに…。」
先ほどまでの目つきが嘘だったかのように皆食事を続けている。
私は体の震えを隠しながら食事を続けた。
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