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__次は、桜星駅。
__次は、桜星駅。
車内アナウンスが流れる。
その瞬間。
こさめ「うわぁ……」
こさめが思わず声を漏らした。
窓の外の景色が変わっていた。
夜空いっぱいに咲く桜。
薄桃色の花びらが宇宙を漂っている。
星々の間を流れ、
銀河そのものが春になったみたいだった。
尊琴「綺麗やねぇ…」
尊琴が目を細める。
捺「こんなん反則だろ」
捺も窓に張り付いていた。
ただ一人。
蘭だけが静かだった。
こさめはその横顔を見る。
どこか寂しそうだった。
列車はゆっくりと停車する。
ホームの名前は__
桜星駅
やっぱり。
全員がそう思った。
ここは蘭の駅だ。
扉が開く。
六人はホームへ降り立った。
すると。
風が吹く。
桜の花びらが舞い上がる。
そして景色が変わった。
こさめ「ここ……」
こさめは目を見開く。
学校だった。
見慣れた校舎。
見慣れた教室。
だけど少し違う。
校内に誰もいない。
静まり返っている。
まるで卒業式が終わった後みたいに。
廊下の先に一人の人物がいた。
今より少し幼い蘭。
中学生くらいだろうか。
『高校生になったら楽しいこといっぱいあるかな。』
その声は明るかった。
期待に満ちていた。
そして景色が流れる。
生徒会。
文化祭。
天文部。
たくさんの思い出。
たくさんの笑顔。
そして最後に映ったのは__
卒業証書だった。
『卒業かぁ。』
蘭が呟く。
『まだしたくないな。』
その声に。
今の蘭が目を伏せた。
「……。」
誰も何も言わない。
代わりに風が吹く。
桜の花びらが舞う。
こさめ「らんくん。」
こさめが呼ぶ。
蘭は少し笑った。
蘭「バレちゃったね。」
いつもの笑顔。
でも少しだけ無理をしているように見えた。
蘭「怖いんだ。」
ぽつりと蘭が呟く。
蘭「卒業するの。」
捺も。
いるまも。
尊琴も。
黙って聞いていた。
蘭「今まで頑張ってきたことが終わるみたいで。」
「みんなと離れるみたいで。」
蘭「大学に行ったらどうなるんだろうとか。」
「ちゃんとやっていけるのかなとか。」
蘭は苦笑した。
蘭「俺、部長なのにね。」
その言葉に。
こさめは首を振った。
こさめ「部長だからじゃないよ。」
蘭「え?」
こさめ「部長でも不安になるでしょ。」
こさめは真っ直ぐ言う。
こさめ「だって人間だもん。」
蘭が少し目を見開く。
蘭「こさ……」
こさめ「らんくんだって悩んでいいじゃん。」
静かな声だった。
今度は尊琴が微笑む。
尊琴「らんらんは頑張り屋さんだからねぇ。」
蘭「みっちゃん。」
尊琴「でも頑張りすぎなくてもいいんだよ。」
優しい声だった。
いるまも口を開く。
いるま「卒業しても終わりじゃないだろ。」
蘭「いるま。」
いるま「会おうと思えば会える。」
捺「そうそう!」
捺が頷く。
捺「らんちゃん卒業しても天文部来ればいいやん。」
蘭「それ不法侵入じゃない?」
捺「確かに。」
思わず全員が吹き出した。
笑い声が響く。
蘭も笑った。
心から。
久しぶりに。
蘭「そっか。」
空を見上げる。
桜の花びらが流れていく。
まるで時間みたいに、止まらない。
でも。
だからこそ美しい。
蘭「終わるんじゃなくて。」
蘭は呟く。
蘭「次に進むんだね。」
その瞬間。
夜空の桜が一斉に輝いた。
花びらが星へ変わる。
無数の光が空へ舞い上がる。
須千はその光景を見上げていた。
__変わること。
__前へ進むこと。
それもまた、
ほんとうの幸いなのだろうか。
発車ベルが鳴る。
銀河鉄道が待っている。
次の駅へ向かうために。
六人は再び列車へ乗り込んだ。
窓の外では桜の星々が遠ざかっていく。
そしてアナウンスが流れる。
__次は、鏡星駅。
__次は、鏡星駅。
尊琴が静かに窓の外を見つめた。
次の駅が、自分のための駅だと分かっていたから。
next→♥2500
コメント
3件
なんか、蘭くんの気持ちめっちゃ分かるかも! 卒業って怖いし、寂しいもんね… ♡2500にしといたよ! でも、2500はちょっと厳しいかも(時間あるときならいけるんだけどね… )ごめんねぇ( ´ඉ _ ඉ ` )
おお…「桜星駅」、本当に綺麗なエピソードでしたね。夜空いっぱいに咲く桜と銀河が春になったような描写、一瞬で心を持っていかれました。 蘭くんが「卒業するのが怖い」って打ち明けるシーン、すごく胸に来ました。部長だからって強がらずに、素直に不安を口にできる仲間がいるって尊い。こさめちゃんの「人間だもん」って一言が、あったかくてじんわり沁みました。 それにしても「終わるんじゃなくて次に進むんだね」って気づき、読んでる私まで救われた気持ちになりました。次の鏡星駅、尊琴さんの回ですよね…もう楽しみでたまりません。