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#バレンタイン
ヴォックス「何が目的だ?アラスター」
アラスターは小悪魔のように煽る口調で、にやりと笑った。
アラスター「ほんのちゃちゃいな可愛らしい要件でちゅよ〜」
ハスク「何言ってんだ…」
アラスター「まずその連中――」
ハスクとニフティのことを指す。
アラスター「――をホテルに返して差し上げなさい。
そしてチャーリー・モーニングスターに指一本触れさせないこと。
そしてシャットの魂を一時的に貸します」
ヴォックス「…は?」
シャット「……」
アラスター「それを守れば、囚われの身にもなりましょう」
ヴォックス「ちょっと待て!シャットの魂を?」
アラスター「もしチャーリーに指一本でも触れたら、その瞬間契約はパーです」
ヴォックス「…それだけ?」
アラスター「それだけ、ね?魅力的でしょう?」
ヴォックス「本当か!? 素晴らしい!契約する!」
二人は握手した。
ヴォックス「ではシャル!契約書にサインを!」
シャット「えぇ」
ペンを握り、サインを書く。
シャット「これで満足でしょ?
アラスターを手に入れ、私の魂を手に入れた。
これで契約は成立したように見えるでしょうね」
ヴォックス「人生は最高だ!!!」
シャットは無言でアラスターと目を合わせる。
アラスター「…どうやら考えてることは同じみたいですね」
本当につまらない男だ。
アラスターはヴォックスの手を離す。
ヴォックス「シャル!サインを確認するぞ!」
シャット「えぇ、どうぞ」
契約書には「シャット」と書かれていた。
ヴォックス「おお…完璧だ!最高だ!」
喜びに浸るヴォックスを、シャットは無表情で見つめる。
地獄ではニュースになっていた。
ケイティ「速報です!みんなのセックスアイコン、ヴォックスがラジオデーモン、アラスターとラジオのクレオパトラ、シャットを捕まえたそうです!」
トム「俺もシャットちゃんとセッ…」
ケイティはトムを蹴り飛ばす。
ケイティ「早速今どんな気持ちなのでしょうね!聞いてみます?」
ヴォックス「いやーもう過ぎたことですし、そんな大きいことじゃないですし!
地獄で悪い悪魔を倒したくらいで!」
一方シャットは心の中で呟く。
シャット「…何を考えているのか…」
アラスターは軽やかに答える。
アラスター「乗ってくれてありがとうございました。まぁ、単純すぎましたね」
シャット「いきなり私の魂を渡すなんて…」
アラスター「渡してませんよ」
シャット「え?」
アラスター「貸したんです。だから契約の罰はないでしょ?」
シャット「…あぁ…そういうことか」
扉が静かに開く。
ヴァレンティノ「やぁ、シャット」
シャット「どうも」
ヴァレンティノ「相変わらず冷たい挨拶だな」
シャット「そんなことない」
ヴァレンティノ「まぁ、いいや。少し、思い出話でもしようと思って」
シャット「嫌」
遮るようにシャットが言うと、ヴァレンティノは淡々と続ける。
ヴァレンティノ「上級悪魔の会議だった。あの時、君の声を聞いた瞬間、これはシャットだと分かったんだ」
シャット「……声?」
ヴァレンティノ「そうだ。あの冷たくも澄んだ声、そして芯のある言葉遣い。すぐに惹かれた」
シャット「惹かれた…?」
彼の言葉には、敵意ではない何かが混じっている。
シャットは小さく息をつき、目をそらす。
ヴァレンティノ「その瞬間から、君のことを知りたいと思った。どうしてあんなに強く、冷静でいられるのか。生き方も声も、全てが気になったんだ」
シャット「…だからと言って、ここで話す理由にはならない」
ヴァレンティノ「もちろんだ。でも、囚われた今だからこそ、話せることもあると思ってな」
シャット「私は囚われてない。ヴォックスに魂を貸してるだけ」
ヴァレンティノ「まぁ、いいや。ちょっと来て」
シャット「殺す」
ヴァレンティノ「大丈夫、気持ちいいだけ」
シャットは冷たい目で睨む。
シャット「殺す」
ヴァレンティノ「冗談だよ」
シャット「…さっき、惹かれた、と言いましたね」
ヴァレンティノ「あぁ、もちろん。君の姿も声も顔も、すべて」
シャット「…そうですか…あなたは間抜け“です”」
シャットは静かに立ち去る。
アラスター「ハハッ、惹かれてるなんて嘘つけ。
シャットとセレーネの違いも見抜けないくせに」
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