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ピザを食べて、龍聖君の連絡先を聞いたら帰るなんて、私達の関係はいったい何なのか?
「涼香姉さん、連絡先は教えられない。あの人は絶対にダメ。鳳条グループの大切な御曹司に迷惑はかけられないから」
何度言えば理解してもらえるのだろう。だんだんムキになっていく自分がいて、自然に言い方がキツくなっていくのがわかった。
「迷惑? 私が龍聖さんに会うのが迷惑だっていうの?」
「そうだよ。龍聖君は私達が近寄れるような人じゃないの。私はたまたま同級生だったけど、でも……ただの友達なの」
――そう、ただの友達。
側にいることが許されない関係。
「琴音、あなたは私の幸せを願うんじゃなかったの?あれは嘘? 本当は私が幸せになるのが嫌なんじゃないの? あの時、龍聖さんと私が話してるを見てヤキモチ妬いたとか? だから私達を遠ざけようとしてるんじゃないの?」
「……姉さん」
色々質問が飛んできて、頭が混乱してきた。確かに私は、龍聖君から姉さんを遠ざけようとしている。
それを全く否定はできないけれど……
「いいから早く教えなさいよ!」
涼香姉さんは、突然、私のスマホに手を伸ばした。
「やめて! 返して」
そのスマホを奪い取り、私は姉さんからすぐに離れた。目力の強い姉さんに睨みつけられると、背筋が凍り、すごく怖かった。
パスコードを知らなければスマホの中身が見れないことくらい、姉さんだってちゃんとわかっているはず。なのにどうしてそんな荒っぽいことをするのか。
ひとつひとつの行動の意味がわからなくて、とても切なくて、情けなくて、悲しくなる。
私は、ただ、家族として姉さんを大切に思いたいだけなのに……
心の中に、涼香姉さんに対するずっと言えなかった思い――いや、不満がどんどん溢れ出してくるのがわかった。
泣きたくなんてないのに、勝手に涙が流れてしまう。