「姉さん、意地になってない? 家族に対してそんなに反抗したいの?」
私は、泣きながら姉さんに突っかかった。
「何よそれ、バカなこと言わないで!」
「私は、涼香姉さんに幸せになってもらいたい。それは本当だよ。だけど、綾井店長にも、龍聖君にも近寄らないで。私には私の生活がある。涼香姉さんが家族を大切に思えないなら、もう私のことに干渉しないで」
大切にしたいのに……
こんなこと言いたくないのに……
でも、これ以上自由にされたら私、おかしくなってしまいそうで……
「ひどいこと言うのね。家族だから幸せを願うなんて、どうせ口からでまかせでしょ? パパと同じように、あなたも私が嫌いなんでしょ?」
「パパが姉さんのこと嫌いなわけないじゃない」
私だって、心から「嫌い」だなんて思えない。
それは姉さんに出会ってから、1度も変わらない正直な気持ち。
「もういいわ! 帰る」
少し頭を冷やしたいと思った……だから止めない。
ドアがバタンと閉まり、カツカツとハイヒールの音だけが響き、そして、消えた。
姉さんが帰った後のテーブル。
数切れだけ残されたピザが虚しかった。
窓から見下ろすと、濡れた服が乾かないうちに出ていった姉さんが、タクシーに乗り込む姿が見えた。
私はいったいどうすれば良かったんだろう……?
ようやく1人になれたのに、ビデオを観たり、クッキーを焼いて楽しむ気分は、残念ながら失せてしまっていた。
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