テラーノベル
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黄色い勇者 side――――――――――
店主
「とりあえず入りな、疲れたでしょ」
赤色の弓使い
「お邪魔しまーす!」
黄色い勇者
「…お邪魔します」
店主
「なんだよ、いつも来てるくせに」
黄色い勇者
「いや、まぁ……」
店主
「ほら、座ってていいぞ。なんか飲む?」
赤色の弓使い
「じゃあお茶!」
黄色い勇者
「俺も」
店主
「はいはい」
店主はそう言って、カウンターの奥へ消えていった。俺たちは椅子に座り、店の中を見回した。
黄色い勇者
「…」
赤色の弓使い
「勇者?」
黄色い勇者
「ん?」
赤色の弓使い
「またぼーっとしてる」
黄色い勇者
「…悪い」
赤色の弓使い
「大丈夫? 本当に無理してない?」
黄色い勇者
「してないって」
赤色の弓使い
「ならいいけど」
ちょうどそのとき、店主が飲み物を持って戻ってきた。
店主
「はい、お待たせ」
赤色の弓使い
「ありがと!」
黄色い勇者
「ありがと」
店主
「で、今日はどうしたんだ?他2人は?」
黄色い勇者
「あぁ、俺らは薬の材料を取りに来たんだよ」
店主
「薬の材料?」
黄色い勇者
「この辺に生えてあっただろ回復薬に使うやつ」
店主
「あー、あれか」
店主
「確か奥にまとめたんだよこないだ、それ使っていいぞ」
赤色の弓使い
「ありがとう…!じゃあ取ってくるね」
店主
「悪いな、ちょっと重いかもしれないから気をつけろよ」
#実況者イラスト
#らっだぁ運営
くろだんご
286
赤色の弓使い
「はーい!」
弓使いは店の奥へ向かった。
……あ、今なら聞けるかもしれない。
黄色い勇者
「……なぁ、店主」
店主
「ん?」
黄色い勇者
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
店主
「何?」
俺は言葉に詰まった。何から話せばいいんだろう。森で見た景色、街で見た時計塔、それから店の前に立っていた店主。
全部話したら変な奴だと思われるだろうか…。
黄色い勇者
「……最近さ」
店主
「うん」
黄色い勇者
「変な映像が頭に浮かぶんだよ」
店主
「映像?」
黄色い勇者
「そう。見たことないはずなのに、見覚えがある景色とか」
店主
「……へぇ」
黄色い勇者
「あと、店主が出てくる」
店主
「俺?」
黄色い勇者
「うん。なんか悲しそうな顔してて……」
黄色い勇者
「……店主ってさ」
店主
「うん?」
黄色い勇者
「俺たちと、どこかで会ったことある?」
店主
「……何言ってんだよ」
店主
「毎日のように会ってるだろ」
黄色い勇者
「そういう意味じゃなくて!」
店主
「分かってるって」
店主
「……さぁな」
黄色い勇者
「え?」
店主
「お前たちと初めて会ったの、いつだったっけなぁ」
黄色い勇者
「覚えてないのか?」
店主
「毎日顔を合わせてると、いちいち覚えてないもんだろ」
黄色い勇者
「そんなもんか?」
店主
「そんなもんだよ」
なんとなく納得できないがそれ以上聞くこともできなかった。
店主
「それより、ちゃんと寝てるのか?」
黄色い勇者
「え?」
店主
「顔色、あんまりよくないぞ」
黄色い勇者
「…寝てるよ」
店主
「ならいいけど」
そう言いながら、店主は俺の前にあった空のカップを片付けた。
店主
「無理はするなよ」
黄色い勇者
「うん」
赤色の弓使い
「おーい! 取ってきたよ!」
奥から弓使いの声がした。
赤色の弓使い
「……あれ? なんかあった?」
黄色い勇者
「いや、別に」
店主
「勇者が変なこと聞いてきただけ」
黄色い勇者
「変なことってなんだよ!」
赤色の弓使い
「何聞いたの?」
店主
「俺たち、どこかで会ったことあるかって」
赤色の弓使い
「え?」
黄色い勇者
「いや、だって最近変な映像を見るから……もしかしたらお前らと会う前に会ってたのかもって」
赤色の弓使い
「……そっか」
店主
「まぁ、疲れてるんだろ。今日は早めに休めよ」
黄色い勇者
「分かってるって」
俺は立ち上がり、弓使いと一緒に材料を袋へ詰め始めた。結局、何も分からなかった。
店主が何かを隠しているのか。
それとも、本当に俺が疲れているだけなのか。
……分からないな。
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コメント
1件
【リオン】 この「黄色い勇者」の視点、すごく好きです。主人公の抱える既視感と、店主の“さぁな”という意味深な返し…「どこかで会ったことある?」の問いが回収されずに残るもどかしさが、逆に強く心に残ります。弓使いが「そっか」と短く返す間の空気も絶妙で、3人の間にだけ流れている“何か”が気になって仕方ないです。