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んんっ、なんだぁ? 夢か! いや何か違うような……。
これって、俺は死んじゃったのか?
するとここは天国なのか? でもないような感じだな。
まぁ、せっかく目の前に綺麗な方がいるのだから、いろいろ聞いてみましょうかね。
「確かに俺は高月 玄 (たかつき げん) だけど。あなたはどちら様ですか?」
と率直に尋ねてみた。
すると、その女性はニコニコと微笑みながら、
「これは大変失礼いたしました。わたくしは、こちらの世界を管理しております女神の ユカリーナ・サーメクス と申します。これからのことも含めお話しさせて頂きますので、どうぞ そちらにご着席ください」
再度、座るようにと笑顔で促された。
まぁ、立っていてもしかたがないか…… あれ? 俺って今、立って歩いてるよなぁ。
えっ、なんで? 魂の状態だからなのか? ――まあ、今はいいか。
そして、俺はテーブルまで歩き椅子に腰掛けた。すると女神のユカリーナさんも向いの椅子へ着席する。
改めて、女神のユカリーナさんを見てみると、何というかすごく綺麗なお方だ。
髪は透き通るような銀髪で顔は小さい。鼻筋が通っており目は薄い金色、まさに女神さまって感じだ。
少なくとも俺は、今までこんな美人と出会ったことなどない。
しばらくお見合いよろしく、ぼーと女神さまを眺めていると、
「えっと、よろしいでしょうか」
困り顔でユカリーナさんが告げてきた。――おっといけない。
「あっ、はい! すいませんお願いします」
何をお願いするのか知らないが、そう答えてしまった。
困り顔からにっこり笑顔へ変わった女神さまは静かに語りはじめた。
「まず、薄々はお気づきでしょうが、高月様はすでに亡くなられております」
『あ~やっぱりなぁ』
「このままでいますと、アース (地球) において魂の浄化がおこなわれ、輪廻して新たな者に生まれ変わるという流れになります。 ここまでは宜しいですね?」
「はい、理解はできます」
と俺。そうなのかぁ、天国とかはないんだなぁ。
まぁ、それほど悪い人生でもなかったよなぁ。心残りもほとんどないしなぁ。
……って『パソコン』! ――あっちゃ~。
いろいろと拙いが……、見られることもないだろ。うん。
「たっ、高月様。高月様!」
おおっと、いけない。ついつい物思いに耽ってしまった。
「す、すいませ~ん」
――頭をポリポリ。
「それでなのですが、今回 高月様には地球での輪廻か、こちらの世界での転生か選択する権利がございます。もちろん、どちらを選ばれるのもあなたの自由です。そのあとのことに関しても何の支障もございません」
「えっマジで!」
「ええ、本当 (マジ) です」
「なんで? 皆そうなんですか?」
「いいえ、今回はかなり特殊なケースです。そうですねぇ……、魂が選ばれたと申しましょうか、召喚に応じてくれた魂がございまして。そちらの方の影響なのです」
「えっ俺、俺のことですか!?」 ――自分を指差す。
「残念ながら、あなたの事ではございません。高月様が亡くなるまで、あなたを守護されていた『シロさん』の影響です」
「し、しろ? 何だそれ……。えっ、それってもしかして、犬のシロですか!」
「その通りです。このたびシロさんは聖獣フェンリルへと昇格転生なさいます。こちらからの召喚に応じて頂いたのです」
そうだったのかぁ。シロは俺の守護霊として、ずっと傍で見守ってくれていたんだな。
ああぁ、なんか泣けてきたよ。
ありがとうシロ。碌な飼い主ではなかったろうに、ごめんなぁ。
「じゃぁ、シロはどこですか? どこに居るんですか?」
そうってキョロキョロと周りを見回したが、ここには雲のような霞のようなものが漂っているだけ……。
すると女神さまは笑顔で、
「もう、シロさんはすでにこちらの世界へ転生されております」
そしてさらに、
「シロさんは……、ここを発たれる最後まで高月様のことを心配しておいででした。そして、『願わくば、またお会いしたい。一緒に暮らしたい』と、わたくしに懇願されていたのです。今度こそは最後まで守り通すと仰っていましたよ」