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「ちょ、待って待って。何の話…?」
「は、話があるって…っ、別れ話なん、だよね……ひっ、ぐ…」
「え……俺、ひろに別れ話なんかするつもりないよ?」
「…っ、?」
「ていうか逆だよ。もっと前向きな話」
敦は僕の頬にそっと触れて、涙を拭いながら続ける。
「…てかまず、どうして別れ話だと思ったの……っ?」
状況が理解できなかった。
でも、どこか命拾いした感覚もあった。
「だ、だって…最近、喧嘩…しちゃったし…しゅんの声も、冷たい気がして…」
「あと、昨日帰ってきたときも、お酒の匂いしてた、から…その……僕と一緒の空間にいることが嫌になって、他の人と飲んで帰ってきたのかなって…っ」
僕がそこまで言うと、敦は困惑した様子で言った。
「え、違う違う!ちゃんと言えばよかった、かも」
「…違う、の?」
「昨日はその…恥ずかしいんだけど、兄貴のバーに行ってたんだよ」
「兄…って、ハルさんの……?」
確かホストを卒業したと言っていた、敦のお兄さんだ。
「でも、恥ずかしいってなにが…」
僕が尋ねると、敦は頭を掻きながら言った。
「…ひろとの向き合い方とか、どんな言葉掛ければ信じてもらえるかって……相談しに行ってて。そのときに酒飲んでたから、多分それ」
「…っ、え、そう、なんだ……」
「いや、ごめん。ちゃんと誰に会いに行くのか伝えとくべきだった」
「不安にならないように、いつでも連絡できるようにはしてたけど、余計不安にしたよね…」
まさか、ハルさんのバーに行っていたとは思わず、僕はぽかんとしてしまった。
「で、でも、よかった…別れ話じゃなくて……」
緊張が一気に解れたのか、安堵した途端ボロボロと涙が溢れ出た。
そんな僕を見て敦は苦笑すると、ゆっくりと僕の身体を抱き寄せてきた。
「…ん、ひろ。少し落ち着こう」
「…しゅん……っ」
「よしよし」
「ごめ、なさぃ……っ、ひっ、ぅ」
「ううん…俺もごめん」
◆◇◆◇
ソファに並んで座り、敦に背中をさすってもらった。
しばらくすると落ち着いたのか、呼吸も整ってきた。
そうして部屋が静かになると、先に口を開いたのは敦の方だった。
「俺さ、ただひろと話し合いたかっただけなんだよ」
「話し合い…って、この前のこと、だよね?」
恐る恐る敦の顔を見上げると、敦は続けた。
「…うん。ひろに言われた言葉が心に残っててさ」
いざそう言われると、再び罪悪感が押し寄せてきた。
「ご、ごめん。酷いこと言ったの、分かってる…しゅんのあんな怒ってるところ見たことない、から…後から、後悔して…っ」
「俺ね…怒ってたってより、悲しかったんだよね」
「え……?」
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莉乃ちゃん
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