私は、今抱えてるプロジェクトが終わったら、会社を辞めることを決めた。
本当は、すぐにでも辞めたかったけど、任された仕事を投げ出すわけにはいかなかった。
次の日、柊君にそのことを伝えた。
柊君はそれを受け入れ、お互いに何も無かったように仕事に専念した。
昨日のことには一切触れないようにして、柊君と樹さんも普段通りに会話してる。
ただ、結婚式のことはみんなには言わないといけない。会社のみんなも二次会の準備をしてくれてたから、丁寧に謝らないと……
柊君は結婚が破談になったこと、どうやって話すんだろう?
私も、どうやって言えばいいのか……
そんなことを考えていたら、真奈が話しかけてきた。
「柚葉、今日は付き合ってよ」
「……うん、そうだね」
「良かった。じゃあ仕事終わったらね」
真奈にはちゃんと話さなきゃ。
いつも柊君とのこと、聞いてもらってたんだから。
仕事が終わって、私は真奈と2人で食事した。
個室で落ち着いた雰囲気のお店、話しやすい環境で良かった。
ある程度食事が終わってから、真奈が少し聞きづらそうに本題に入った。
「あのさ……柚葉。昨日の夜に社長から連絡があって。一斉メールだったんだけど……」
私は、うなづいた。
「結婚式を取り止めにするってことと、二次会もやらないからって。本当に申し訳ないって……」
「そっか……。メールしたんだ。突然、びっくりしたよね、ごめんね」
「やっぱり本当なんだ」
「うん、本当。真奈には、いろいろ二次会の準備してもらってたのに。本当、ごめんね」
「そんなこと全然いいよ。ただ、柚葉、大丈夫なの?」
真奈が、心配そうに聞いてくれた。
「他は何も聞いてない? 私達が……結婚式を辞めた理由とか」
「それは何も聞いてないよ。だから心配でさ。柚葉、社長と何かあったの? あんなにラブラブだったのに」
「真奈……私……私ね……」
そう言った瞬間、我慢できずに号泣してしまった。
真奈の顔を見ていたら、いっぱい抱えていたものが溢れだしてしまった。
「柚葉……」
真奈は、急いで私の横に来てくれて肩を抱いてくれた。
私は、そんな優しい真奈に甘えて、ひとしきり泣いた。
そして、その後、真奈に全てを話した。
「つらかったね。そんな状況で柚葉は頑張ったよ。よく別れる決心したね、偉いよ」
真奈の言葉に心から救われた気がした。
「まさか社長がそんな奴だったなんてね。正直、幻滅だよ」
「……私もまだ信じられないんだ。だけど、結婚式があったから、中途半端にしてられなくて。すぐに決断しなきゃって」
「そうだよね、わかるよ。本当に……つらいね」
「ありがとう。私はダメになっちゃったけど、真奈は良介君と仲良くしてね。真奈には、私みたいな思いしてほしくないから。2人には、絶対に幸せになってもらいたい」