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「最っ悪…」


ベッドシーツに染みた赤を見て、私は朝からため息をついた。


予定よりも少し早い、女の子の日の到来。


汚れてしまったシーツや服は、洗えば済む。問題はそんなことではない。


「…亮平くんに何て言おう、」


そう、今日は久しぶりに亮平くんとデートできる日で、前々から2人とも楽しみにしていたのだ。


亮平くんとは付き合って3ヶ月ほど経つけど、今までは運良く2人で会う日に女の子の日が被ったことはなかった。だからこの問題に直面するのは、今回が初めてなのだ。


「…亮平くん、ガッカリするだろうな…」


呟くと嫌な記憶が蘇ってきて、私は自分を守るようにベッドの上で膝を抱えた。


──生理来た?じゃ、今日は会うの無しな。


これが、こういうときにいつも私が元カレに言われていた台詞。


元カレはいわゆる体目当ての人だったようで、女の子の日で行為ができない時には毎回、会う約束自体がなしになっていた。


その元カレには結局浮気をされて、それがきっかけで別れた。まあここまでひどいパターンはそうないかもしれないけれど、男の人からしたら、デート予定日に女の子の日が被るなんて、少なからず萎えるものだろう。


…亮平くんにも同じことを言われたらどうしよう。


亮平くんはそんな人じゃない。わかっているのにそんな考えが頭を過ぎってしまい、私は怖くてたまらなくなった。


とはいえ怖がっていても仕方がない。こういうことはなるべく早めに伝えるのが礼儀だ。


私は重い腰を上げてスマホを取りに行き、亮平くんとのトークルームに「女の子の日が来ちゃいました。今日会えなくなっちゃってごめんなさい」と送信してから、汚れた服とシーツを洗いに立ち上がったのだった。



「ん…やばい寝ちゃってた…」


着替えて汚れ物を洗濯した後、どっと疲れてベッドに倒れ込んだところまでは記憶がある。

気がつくと私はまた眠ってしまっていたらしい。


あれ、私布団かけたっけ。まあかかってるってことは寒くて無意識に自分でかけたんだろう。


女の子の日特有の怠さはまだあるけれど、いくらオフだからってこんなふうに惰眠を貪っていてはダメだ。


そう思って一つ伸びをして起き上がった時、バタバタと誰かがこちらに走ってくるような音がした。え?何?


『〇〇っ…!』


「…え?亮平くん…?」


寝室に顔を出した人物は、紛れもなく亮平くんで。


私ったら、亮平くんに会いたすぎてこんなリアルな夢まで見てるのか、末期だな。そう思っている間に亮平くんは更に近づいてきて私を抱きしめた。


抱きしめられた温かさや感触までがリアルすぎて感動すらしていると、一旦体を離した亮平くんから怒涛の質問攻めが飛んできた。


『〇〇大丈夫!?気分どう?食欲は?何かしてほしいこととかある!?』


「え、えっと…?」


待ってこれ絶対夢じゃない。現実だ。


「亮平くん…?え、夢…じゃないよね?」


『現実だよ!朝にメッセージ送られてきて以来、こっちから送っても既読つかないし電話も出ないしで心配になって来ちゃった。

探してみたら、ここで布団もかけずに倒れ込んでて心臓止まるかと思ったよ。 とりあえず寝てるだけみたいだったから寝かせ直して布団かけて、自然に目が覚めるまでは起こさないでおこうと思ってリビングで待機してたんだけど…』


「それはどうもご心配とお手数かけまして…」


ああやっぱり布団かけてなかったのか私。 私の怠惰のせいで余計に心配をかけてしまったようなので反省していると、亮平くんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。


『思ったより顔色は良さそうで安心したけど…かなり体調悪いんだよね?お腹痛かったり気持ち悪かったりする?』


「え…?」


『会えないって送ってきたでしょ?普段我慢強い〇〇がそう言うってことは相当なんだろうなって』


「あ…ううん、体調は大丈夫。元々生理痛は重くない方だから。初日だからまだ出血量も多くないしね。

でも…今日は会っても何もしてあげられないから」


『何もしてあげられないって…?』


「え?えっと、その…」


言いづらくて口ごもる私を見て、亮平くんは何となく察したらしい。


『…あのね、〇〇。

俺は〇〇に会って、こうやって傍にいるだけですごく嬉しいんだよ。

何もしてあげられないとか、そんなこと考えないで。

俺にとって、〇〇はそこにいるだけで幸せを与えてくれる存在なんだから』


元カレとは真逆の優しい言葉に、女の子の日のせいか緩んでいる私の涙腺はいとも簡単に崩壊してしまった。


「…私、前に別の人と付き合ってた時、こういう時は会う約束自体なしにされてて」


『…そうだったんだ』


「だから、男の人ってみんなそういうものなんだって思っちゃってた。亮平くんはこんなに私のこと考えてくれてたのに。ごめんなさい」


『…〇〇は悪くないよ。悪いのはその元カレだから』


今からでもそいつのことぶっ飛ばしてやりたい…あ、でもそいつが〇〇を手放してくれたおかげで俺が〇〇と付き合えてるんだから感謝もしないといけないのか…なんて真剣な顔で色々呟いている亮平くん。

その言葉たちからは亮平くんがどれだけ私を想ってくれているのかが伝わってきて、嬉しくて思わずニヤけてしまう。


『…何で笑うの。俺本気だよ?』


「わかってる。亮平くんの気持ちが伝わってきて嬉しくて」


ありがとう、大好き。満面の笑みを浮かべながらそう伝えると、亮平くんはまたぎゅっと私を抱きしめた。


『…どうしよ、また好きになっちゃった。その笑顔は反則だって…』


今日はもう離せないかも。〇〇さえ良ければ、このままお家デートにしない?


そんな素敵な申し出に笑顔で頷いてみせると、亮平くんは私の大好きな笑顔を浮かべて優しく頭を撫でてくれるのだった。

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