涼ちゃん続き。
仕事の時は頭を切り替えて普通に接する。これは今までと同じ。でも誘いを断る時は毎回ほぼ同じ理由で、ほんの少しだけ違和感を感じる程度で断るように気をつけた。それでも俺の異変に気づいてくれるか試してみたのだ。
そうやって元貴の誘いを断り続け、2人で会わない日が続くにつれて俺の気持ちに気づいてくれないイライラと、最初にあった怒りよりも元貴と会えない寂しさが襲ってくるようになってきた。
ああ、元貴とキスしたいなぁ。優しく抱きしめ合って、激しく求め合って…。
自分で自分の身体をギュッと強く抱きしめてみる。…こんなのじゃ足りない。
自分の部屋にいると元貴との思い出が多過ぎてどうしても元貴の事が思い出され、1人で部屋にいるのがつら過ぎて仕事が終わった後は昔よく行っていたバーに飲みに行くようになった。
バーで軽くカクテルを飲みながらマスターとお喋りして時間をつぶして家では寝るだけ。
何回か声をかけられてこっちも浮気してやろうかと一緒に飲んだりしてみたがどうしてもその気にならなかった。
そんなある日、元貴からどうしても家に来て欲しいとお願いされた。きっと誘いを断り続けていたのにやっと気づいたのだろう。
どうしようかなと思ったが、元貴の必死な様子と俺自身ももう限界が近かったのでついて行く事にした。
元貴の部屋…。久しぶりだな。そう思いながら少し距離をとってソファーに座る。
「最近俺の事避けてるのはどうして?」
元貴から聞かれるのはわかっていたはずなのにいざとなるとなんと答えていいかわからない。
昨日家にいなかったと、もしかして最近断り続けていたのはウソをついて遊び歩いていたのかと非難された。
でも元貴がいない部屋に耐えきれず、毎日バーで飲んでいたなんて言えるわけがない。
「うるさい!元貴には関係ないだろ!」
「関係ないわけないだろ!俺にウソついてどこに行ってたんだよ!」
イライラが限界に達してつい大きな声を出してしまった俺に、元貴も興奮したのか詰め寄ってくる。
「うるさい、うるさい!元貴なんか俺が避けてる事にすら気づかなかったくせに!」
そうだよ。よそ見して俺の事なんてちゃんと見てもなかったくせに!…涙がにじんできた。
「なんだよ!元貴の浮気者!」
そんな元貴に俺の中の何かがキレた。
涼ちゃん、もっくんへの不満爆発しました。
浮気はもちろん嫌だし許せないけど、付き合いが長くなるとちゃんと自分の事を見てくれてるか、小さな変化に気づいてくれるかってすっごく気になるよね。
コメント
3件
うん!確かに! 少しの変化に気付くって、ちゃんと相手を見てるってことだしね。 藤澤さんの理由は真っ当だった! よし、来いっ!大森さんの理由!