酒を出されれば、自分が飲んで。
バンドの話になれば、元貴に振って。
俺にもしっかり挨拶させて。
「君がリーダーかね?」
「いえいえー。リーダーはちょっと別行動でして。代わりにプロデューサーがいるので、こちらと!」
「そういや、高野とあやかは?」
二人とは、逸れたまんまだけど。
「二人でいると思うから大丈夫だよー。僕、ちょっとポケモン探してくる!」
「どう言う意味だよ。」
「やだなぁ、お花を摘みに!」
あー、はいはい、お手洗いね。
ずっと飲み続けてるし、そりゃ行きたくもなるだろう。
元貴はまだおっさんと話してる。
ポケットのスマホが震えて、メールが来たことを教えてる。
『あやかがやらかしたから、オレらは撤収。例の場所で待つ!』
高野だった。
戻って来たそいつは、ちょっと青い顔をしてふらふらしてた。
「なぁ、だいじょ…」
「わぁ、ありがとうございますぅ。それは僕がもらいますね。」
元貴とおっさんを見て、シャキッとして。
元貴に勧められてたグラスを横から受け取って、そいつはまたそれを飲み干した。
「じゃあ、またレーベルに連絡するよ。」
「お願いします。ありがとうございます。」
二人が頭を下げたから、俺も慌てて下げる。
「高野から連絡あったよ。どうする?」
「だいぶ話はできたかな。もとき、どうする?」
「疲れた!もう撤収!」
「はいはい、出入り口へレッツゴー。」
何人の人と話して、何杯こいつがグラスを空けたかは分からないけど。
だいぶ顔を売ったんじゃないだろうか。
出入り口で待ってた二人を見た瞬間、そいつは半泣きになった。
俺らを置いて、かけ出して行く。
「たかし…たかしぃー!」
「おわっ、酒クセぇ!」
「僕…頑張ったよ、頑張った…。」
高野に縋りついた瞬間に、そいつの膝がカクンと折れる。
「しょうがねーヤツだなぁ。」
縋りついておそらく泣いてるであろうそいつを、高野は抱え上げて。
「うんうん、頑張った。」
背中を叩いてやって。
「コイツ、連れて帰るわ。あとよろしくな。」
そこらに停まってたタクシーで、高野とそいつは帰ってった。
あっという間だった。
「じゃあ、オレらも帰るか。」
「だな。」
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年上組大好きで、中でもngn組大好きなのでとても嬉しいです……!頼りなく見られがちだけど頼れる2人……かっこいい✨️