テラーノベル
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藤白りいな…お転婆で学校のマドンナ。天然で、先輩や後輩など学校のほぼすべての人が名前を知ってる。
海と仲が良いが、最近結構意識してる
天童はるき…ツンデレの神。りいなのことが大好きだが、軽く、好きなど言えない。嫉妬深い。
男子と仲のいいりいなが誰かにとられないかと心配してる。海に嫉妬中!
佐藤海(かい)…りいなのことが昔から好き。りいなと好きなど軽く言い合える仲。
結構チャラめ(?)デートなどはゲームだと思ってる
月下すず…美人だがなぜかモテない。はるきと海の幼馴染。りいなのことは好きだが、嫉妬中(?)
はるきと海のことが気になってるが、どちらかというとはるきのほうが好きらしい(?)
藤堂透…りいなに一目ぼれした。イケメン転校生。さらっとドキッとなるようなセリフを言ってくる。
はるきと海に嫉妬されてる。(笑)
バスが山のふもとに到着すると、ガイドが「ここからは自由行動です。集合は午後4時」と笑顔で言った。 6人はそれぞれ、軽くストレッチをしながら山道へと視線を向けた。
「謎解き神社、行かない?」とすずが地図を見せると、りいなが「それって…本当に謎とかあるやつ?」と首をかしげた。
はるきが「むしろ謎しかない方が楽しくない?」と肩をすくめ、海が「じゃあ、“謎を解いたら願いが叶う”って設定でいこう」と提案。透は「その願い、誰が叶えるの?」とつぶやく。
森の入り口は、涼やかな風が通っていた。6人は歩き始める。
ひとつ目の謎:「龍の口が示す先に、願いの鍵が眠る」
鳥居の手水舎。龍の口は右斜め上を向いていた。 木漏れ日が差すその先に、海がしゃがみ込む。「これかな…」根元に小箱が埋まっていた。
中から出てきたのは、くすんだ銀色の鍵と古びた紙。
「やばっ…これガチのやつじゃん」 りいなが思わず笑うと、透が横で「その笑顔、今日の収穫かも」とささやく。
ふたつ目の謎:「願いを封じる“音”を解け」
社の奥に吊るされた鈴と風鈴。それぞれ違う音を鳴らす。
はるき:「音って記憶とつながってるよな。りいな、どの音好き?」 りいな:「…風鈴。夏って感じするから」 海:「じゃあ、この風鈴が鍵なんじゃない?」と手を伸ばすと、鈴の後ろに小さな札が隠れていた。
“願いを叶える者は、音に導かれる”と書かれていた。
すず:「これ…ちょっとスピリチュアルすぎるけど、いいね。青春ぽい」
三つ目の謎:「“誰にも言ってはいけない言葉”を口にした者に、石は微笑む」
拝殿の奥にある石段で、5人は悩む。
りいなはふと、「これって…誰かにしか言えない言葉とか、ある気がする」とつぶやいた。 はるき:「俺、あるよ。…“ほんとは怖い”って言いたかったけどさ。誰にも言ってない」
一瞬、空気が静かになる。海が少し見つめたまま黙ってる。 すず:「私は…“うらやましい”って言葉かな。使うと自分が負けた気になるから」 透:「“好き”は?」と投げると、りいなが思わず目を逸らす。
その瞬間、後ろの林から「ガサッ」と音が。
すず:「え…今の音なに?」 透:「鹿とかじゃない?」 海が「それならまだマシ。イノシシだったら終わりだよ」と言いながら、りいなを庇うように前に立った。
少しだけ緊張した時間。でもりいなの胸は、言葉以上に“誰かに守られた”という事実で揺れていた。
四つ目の謎:「願いは“誰ともいない時間”にしか響かない」
石碑が並ぶ広場。みんなで探しても、何か違う。 りいながふと、「…ごめん、少しだけひとりでいたい」と言う。
海:「うん、見つけたら呼ぶね」 はるき:「でもひとりで願うって、けっこう本音出そうで怖くない?」
りいなは小道に逸れて、草に埋もれた小さな石に気づく。
丸くて、掌にちょうど収まる石。 目を閉じて、声にならない願いを込める。 「ずっとこの時間が、終わらないで」
その背後で、透がそっと見守っていた。 「願いって、自分のじゃなくても届くんだよ」
りいなは振り向かず、でもその言葉が背中を温めていた。
五つ目の謎:「誰の手にも渡らない“最後の鍵”は、無意識に選ばれる」
集合場所近くの神社の本殿。扉に鍵穴があった。でも、鍵は誰にも渡ってない。
「これ、最初の箱にあったやつじゃない?」と海が言い、はるきが鍵を手に取る。 すず:「でも“誰にも渡らない”って…どういう意味?」
りいながふと、「じゃあ、誰かが“何も言わずに選ぶ”んじゃないかな」とつぶやく。
その瞬間、透が静かに鍵を扉に差し込む。カチリ。
中から現れたのは、“願いの冊子”。白紙のようで、うっすらと誰かの筆跡が浮かんでいた。
『この瞬間が、君の願いであるなら、それだけで十分』
静かな感情。でも、確かに胸に残る言葉。
バス停に戻る途中、夕日が差していた。
はるき:「謎って、解いたら終わりじゃなくて、話したくなるよな」 海:「俺は…“手を握られたこと”、ちょっと忘れられないな」 すず:「その石、まだ持ってる?」とりいなに聞くと、りいなはポケットから出して「持ってる。でもまだ願いは叶ってない」と笑う。
透:「それでいい。願いって、叶いそうな状態が一番きれいだから」
りいなは空を見上げる。ひとつだけ、願いをこっそり胸にしまう。 “この5人で、またどこかへ行けますように”
温泉に肩まで浸かりながら、自然と恋バナに流れていく男子たち。 テンションはふわっとしていて、いつもより少し本音が漏れる夜。
はるき
「なんか…隣だったの、たまたまだと思ってたけどさ」 「でも今思うと、“落ち着きすぎた”んだよ、あの時間」
「俺、無口になるタイプじゃん?でも、りいなが喋ってくれると、言葉がほどけるっていうか」 「あのテンポ、あれが“好き”ってことなんかなって、後から気づいた」
海
「手を伸ばす時、ためらいなくこっち見てくれるんだよね、りいなって」 「なんか、“隣にいる自分も認めてもらえた”感じがしてさ…」
「席とか班とか、全部偶然だったのに、“選ばれた感”があるのって反則」
男子A(普段はゲーム好きのツン系)
「俺、あんま人のこと褒めないけど…」 「りいなの“ツッコミのキレ”、あれは芸術だと思う」
「スベっても、りいなが拾ってくれたらそれが笑いになる。俺の人生、救われた瞬間あるもん」
男子B(写真係)
「ぶっちゃけ、班行動のフォルダ…りいなの笑顔ばっかだよ」 「カメラ越しだと、自然と“りいな追っかけ”になってて」
「他の人がいても、真ん中にりいながいると“青春”っぽくなるんだよな」
男子C(真面目で口下手)
「…あの日、班行動の後、体育館の階段で偶然一緒になったじゃん」 「“疲れた〜”って笑いながら座ったとき、俺、世界終わってもいいって思った」
「話したの、3分くらいだったけど、あれが一番、胸がぎゅってなった」
男子D(おちゃらけ担当)
「俺はさー、りいなの“照れ笑い”を推すね!!」 「冗談言った時に、手で顔隠して“ちょっと!もう!”っていうあれ」
「なんだかんだ言って、りいなに照れられた時の幸福度は、全男子トップレベルだと思うんすよ」
そしてその声は——女湯の露天風呂にも、そっと届いていた。
すず:「…あれ?聞こえてる、よね?」 女子:「絶対りいなの話してる!てか、男子たち、好きすぎ問題発生してない!?」
りいな:「ちょっ、ちょっと待って…聞こえてるの…!?///」
女子たちは興奮で湯船をバシャバシャ、まるで祭りの夜の屋台みたいな盛り上がりに。 「“照れ笑い推し”って何!?え、そこまで分析してるの!?」 「はるきと海、隣だった時の話してたじゃん!きゃーー!!」 「りいな、絶対選ばれし者だから!!!!」
りいなは顔を真っ赤にしてタオルを被るけど、にじむ笑いが止まらない。 この瞬間、女子たちの心は完全に“キュンの渦”に巻き込まれていた。
はるき:「てか、昨日の露天風呂の話って……聞こえてたらヤバくない?」 海:「え?いや、露天って、柵あるし、距離あるし——」 男子A:「でも風通ってるし、湯けむりって音通すって聞いたことある…」 男子B:「え、じゃあ俺が“りいなの照れ笑い、マジで好き”って言ったの……録音されたとか!?」
透(静かに枕に顔埋めながら):「…録音はないだろ」 はるき:「じゃあ盗聴は?“湯聴”…?え、待って待って!!」
海:「あの、“手握り返した瞬間落ちた”って発言…やばいじゃん」 男子C:「俺なんて“世界終わってもいい”って言っちゃったよ!?3分の雑談で!」 男子D:「てか女子が露天の隣って、知らなかったよな!?それ、俺だけ!?」
はるき:「やばいって…このままだと、明日から“告白露天風呂事件”って呼ばれる…」 透:「…笑われるだけならいいけど」 海:「うわ、なんか透がマジ顔になってる。これはほんとに聞かれてたわ」
すず:「証言まとめると、はるきは“隣のテンポ”に落ちた。海は“握り返しに沼”。透は“意味変わった”とか言ってて、あと、Cくんが世界終わるって言ってた」 女子全員:「証言って!やばっ!!!」 りいな:「…なんかごめん、空気になってて……」 すず:「違う、空気じゃない。“空気を変えた本人”だよ」
女子E:「てか男子、全員片思いしてた説ない?」 女子F:「うちらの露天、ただのサウンドライブだったよね。リアル恋のステレオ」 すず:「りいな、明日から“隣の席、抽選式”になるよ、絶対」
りいな(布団に顔埋めながら): 「……ほんとに聞かれてたって、男子気づいたら、どうなるのかな」 すず:「逆に告白されるの早まりそう」 女子たち:「こっちが混乱してるって伝えてくれーー!!」
はるき(こっそり男子席で):「あれ……りいな、めっちゃ浴衣似合ってね?」 海:「しかもいつもよりちょっと静か。逆に……効いてる」 透:「……そういうタイプの“可愛い”は、逃げられない」 男子B:「え、俺、見すぎて米食えてないんだけど」
女子C:「男子たち、全然箸が動いてない……」 すず(小声で):「そりゃね。りいな、今夜“恋の味付け”してるもん」 りいな(小さな声で):「やめて……気づいてないふりしてるんだから……」 女子たち:「逆に気づかれてるっていう演出なの、それ〜〜!!!」
はるき:「あの浴衣、色選んだの本人かな。だったらもうセンスも好き」 海:「俺さ、たぶん今日落ちる。てかもう落ちたかも」 透(ぽつり):「…湯上がりの顔って、いつもより素直に見えるよな」
男子C:「……え、なんでそんな“風の精霊”みたいな出方してくるの?」 男子D:「歩くだけで浴衣が空気を生むって……なに?」 はるき(小声で):「もう完全に“好き”通り越して“尊い”なんだけど」 海:「俺、湯冷めしてもいい。その後ろ姿、焼き付けたい」
透(静かに): 「……りいな、今日、何か違うね」 りいな(少し恥ずかしげに笑って): 「浴衣、すずに選ばされたんだけど……変かな?」 透(目をそらさずに): 「違う。見慣れないだけで……好きかも」
男子たち:「うわ、透、今日の告白が一番効くやつ!!」 女子たち(物陰から観察中):「記念日だこれ。浴衣で心変わり起きた」 すず(そっとつぶやく):「りいなは、何もしてない。なのに何か起こしてる」
はるき:「もう正直、風呂よりキュンだった」 海:「あれは“浴衣マジック”じゃない。“りいなマジック”だよ」 透(布団に倒れ込みながら):「……このまま夢に出てきてくれたら、全部叶う気する」
海:「うわ、マジで?また一緒?偶然すぎて運命感じるんだけど」 りいな:「運命って言えばなんでも許されると思ってるでしょ〜」 海:「だって、許してくれる顔してるし」 りいな:「なにそれ〜…許すけど」
男子A:「あれあれ?始まる前からいちゃついてるぞ〜」 すず(横目で): 「りいなの笑い方、海の前だと3割甘くなる説ある」
海(横に来て、肩に手を置く): 「歩こう。俺がついてる。ちゃんと隣、いるから」 りいな(目を泳がせながら): 「……怖い。ほんとに無理かも…」 海(優しく笑って): 「じゃあ、手つなご?ぎゅってしてていいから」
りいな(小さく頷いて、そっと海の手を握る): 「……ごめんね。弱いの、バレる〜」 海:「そういうりいなが見れて、逆にラッキーなんだけど」
海(手を離さず、そっと腕をりいなの肩に回す): 「怖かったら、ここで一旦止まってもいいよ」 りいな:「…ううん。海がいるなら、進める。てか、“海がいないと無理”かも」 海(静かに笑いながら、りいなを少し引き寄せる): 「……その言い方、惚れるやつ」
木の陰から不意に落ちる枝の音——りいながびくっとして、思わず海の胸元に顔を埋める。 海(手でりいなの背中をさすりながら): 「……大丈夫、大丈夫。ほら、怖くない。俺の心臓の音聞いてて」 りいな(顔を離さず): 「…なんか鼓動、早くなってない?」 海:「そりゃ、りいながこんなにくっついてるんだもん」
男子A:「あーー!リアクションしてよ!無反応って逆に泣ける!」 海:「りいなの安全確保で忙しいんだよ。おばけ役はご苦労様」 男子A:「あの抱きつき方、青春の正解だった気がする…」
りいな:「……なんか、恥ずかしかった。でも、安心した」 海:「俺はむしろ、めっちゃ幸せだった」 りいな:「そっか……じゃあ、また怖いイベントあったら、ペアになってね」 海(りいなの髪をそっと触れながら): 「うん、怖い時も嬉しい時も、全部ペアになりたい」
女子たち(見守りながら): 「あれ……?甘えたキュン、最強じゃない?」 すず:「りいな、“怖がり属性”で恋を育ててるわ……」
男子A:「昨日の肝試しで一番甘かったペア、間違いなく海とりいな」 男子B:「りいなの“抱きつき→鼓動チェック”は伝説」 男子C:「“怖がりなのに可愛い”ってずるすぎる…」
すず(お茶を入れながら): 「つまり…今夜のりいな、“恋の天然兵器”だったってことだね」
女子たち:「出たーー!!すずの命名!!!」 男子たち:「わかりみが深すぎる…」
海(小声で): 「じゃあ俺、昨夜……被弾したわけか」 りいな:「撃った覚えないけど…でも、反応は良かったかも?」 海(爆笑しながら): 「え、それ、自覚あるってこと!?!」
すず:「命中率100%、破壊力∞、反応速度が“照れ”ってところがまた最高なんだよ」 女子B:「完全に“恋の兵器庫”じゃん…!」 男子たち:「じゃあ、俺にも一発……!」
りいな:「なにその“甘え被弾希望者”たち!?」 すず:「りいなが素でいるだけで、恋が起きる世界線。最強」
女子部屋。布団が並ぶ中、男子7
人がこっそり潜入。持ち込んだのはジュースとプリングルス。そして——アイスの棒。
海:「はい、王様ゲーム用アイス棒ね。ちゃんと“王”って書いてある」 はるき:「ルール説明しようか?まぁ“王様の命令は絶対”ってこと」 透:「命令って、“掃除当番交代”とか…?」 女子たち:「甘すぎる!!もっと青春崩壊系命令ちょうだい!!」 すず(じっとり笑いながら): 「そもそも“命令”って、りいなが受ける前提で進みがちなの、なに?」
第一回戦——王様は、海。番号はすずと男子B。命令は「10秒間見つめ合う」。
すず:「あ、余裕。恋愛感情ないので目見て秒数カウントするだけです」 男子B:「逆に怖い」 透:「目を逸らしたら恋心があるっていうルール、追加しない?」 女子たち:「やめて!関係ない人まで心揺さぶられる!」
第二回戦——王様は、りいな。番号は海と男子C。命令は「“キュン”って思ったエピソードを告白」。
海:「昨日、りいなが浴衣の帯ちょっと直してた時。あれで5年分くらい恋進んだ」 男子C:「帰り道の“またペアになろうね”が、ちょっとだけ効いた…」 女子たち:「え!その発言、初出しじゃん!?」 すず:「りいな、今日だけで“自覚なし名言”何回打ち出してるの?」
第三回戦——は、はるき。番号は海とりいな。命令は「おでこコツンして“好き”って言う」
はるき(ニヤリと笑って): 「これは“照れの神回”確定。逃げられないやつ」 海:「じゃあ、いきます…りいな、好き」(おでこ軽くコツン) りいな:「……好きって何回目!?!?さっき聞いたばっかでしょ!!」 女子たち:「でも声の温度違った…今日の一番キュン、来たかも…」 すず:「この回、“天然兵器再起動”ってことでOK?」
第五回戦——りいなが王様。番号は海と——自分。命令は「ひとこと甘えて」
海:「え、甘える?逆じゃなくて?」 りいな(もじもじしながら、海の袖をちょっと掴む): 「…海、となり、いて……離れないで?」 女子たち:「きたああああああ!!!声のトーンが100点!!!!」 はるき(横で布団をかき抱えながら): 「ちょ、待って待って、それ本気甘えじゃん!?!?」
第六回戦。王様は男子C。番号は海とりいな。命令は「頭ぽんぽんして“お守り宣言”」
海(照れながら頭をなでて): 「りいなは俺が守るって、昨日決めたから。もうお化けとかも怖くないでしょ?」 りいな(瞬間的に顔赤くして、目そらす): 「……怖いのは海がいなくなること、かも」 女子たち:「言ったーーー!!!りいな語録更新ーーー!!」 すず:「現在、心拍数上昇中。画面の前の読者もやばいと思う」
はるき、堪えきれずに“王様乱入”発動。棒を勝手に持って「俺が王様だ」と宣言。命令は「りいな、俺を10秒間見つめて」
はるき:「今夜、俺のターン、来てもいいだろ?」 りいな(戸惑いながらも、じっと見つめる): はるき(目をそらさずに、急に真剣な声で): 「……好きなんだけど。それ、聞こえても無視されるの、きつい」 女子たち:「えっ、えっ!?今の告白回だった!?!?」 すず:「王様ゲームで“ガチ感情”混ぜるの反則では?青春、混乱中」
空気を変えるため、最終回戦突入。王様は透。命令は全員「今日一番キュンした瞬間を発表」。
女子F:「海が“鼓動聞いてて”って言ったとこ!あれで膝崩れた!」 男子D:「りいなの“怖いのは海がいなくなること”発言、殺傷能力高すぎ」 はるき:「りいなの“見つめ返し”が、俺を10年分揺らした」 海:「俺は、りいなが袖つかんだ時。あれで、“甘えられる嬉しさ”全部知った」 すず:「まとめると——今夜のりいな、“恋の天然兵器・改”。進化した」
最後、布団の真ん中でりいながちょっと笑う。男子たちは全員、黙って見つめる。
りいな:「……ごめん、甘えてばっかで。みんなのことも、大事なのに」 海:「だから、りいなの“甘え”は守るべきって思ったんだよ」 はるき:「ちょっと分けてほしいわ、その甘え力」 女子たち:「りいな、今夜の主役すぎて照明当てたくなる」 すず(小さくつぶやいて): 「この夜、きっと誰かの“好き”が変わったね」
王様ゲーム終了直後。女子部屋の空気は笑い混じりの余韻。でも、りいなの周りに男子がそろりそろりと近づいてくる。
海(小さく手を振って): 「ねえ、ちょっと、あっちの隅…話そう」 すず(すかさず実況モード): 「きた。“話したい”の連鎖。恋の余韻に引きずられてるわ」
海と布団の端で並んで座るりいな。
海:「さっきの“離れないで”って言葉…なんかずっと響いてる」 りいな:「……照れた勢いで言っただけなのに、そんなに?」 海:「うん。たぶん、俺その一言だけで数日分好きになった」 りいな:「その数え方、ずるい…」 海(笑いながら、そっと手の甲を触れる): 「でもね、俺はずっと、りいなが“素で甘える”の、待ってたかも」
次に声をかけたのは——はるき。すずの目が光る。
すず:「ほら来た。“ジェラ部隊”出動」 はるき(海と入れ替わるように隣へ座って): 「……ねえ、王様ゲームって“冗談”って言ってたけど、俺は本気だった」 りいな(目を見ながら): 「うん……なんか、わかった気がする」 はるき:「じゃあさ、あの“見つめて”って命令、もう一回して。命令じゃなくて、希望で」 りいな:「……じゃあ、“見つめて”」 はるき(目をそらさず、言葉を添える): 「……好き。やっぱ、言わないと伝わらないって思った」
最後にひそかに近づいてきたのは——透。少しだけ距離をあけたまま。
透:「…俺はね、“好き”って言葉が苦手だから、“好きになっちゃう”って形で伝えたい」 りいな:「それ、すごく透っぽい…」 透:「りいなを見てると、どうしても自分の心が動く。それを止めたくない」 りいな(少し微笑んで): 「……その言い方、すごく響く」 すず(ぼそり): 「この夜、感情の打ち上げ花火止まらん」
全員が話し終えたころ、りいなはちょっとだけ布団に顔を埋めて小さく笑う。
りいな(心の中): 「こんな夜、ずっと続かなくてもいい。でも——忘れられないって、思える」 女子たち:「りいな、今夜、“青春の主人公”だったよ…」 すず:「名言まとめるわ、“甘えた一言で世界揺らす少女”ね」
朝ごはん会場。りいなが席につくと、男子たちが順に入ってくる。海は一番に来て、何気なく隣に。
海:「おはよ。……眠れた?」 りいな:「ちょっとだけ。夢に海いたし」 海:「え、マジで?内容、聞きたいけどちょっと怖い」 りいな:「“守ってくれる”夢だったよ。昨日の言葉、出てきた」 海(微笑んで): 「俺もさ、“甘えられる夢”見た。たぶん、現実だったけど」
はるきが反対側の席に座る。表情はいつもより静か。
はるき:「昨日、俺たち……ちょっと本気すぎたか?」 りいな:「ううん。どれも“大切”だった」 はるき(じっと目を見ながら): 「ならその“大切”、俺にも含まれてたなら……ちょっと嬉しい」
透は端の席に座って、手紙らしき紙片を持っている。すずがすかさず、りいなの耳元で囁く。
すず:「告白ダービー、動いてるよ。今朝、倍率変動した」 女子たち:「透、ファイナルターンで逆転くるか!?」 りいな:「なにその実況……!」 すず:「りいなって、今“恋の受付担当”だから。食堂が舞台」
りいなが箸で卵を割る。海の手が軽く触れて、さりげなく味噌汁を寄せる。
海:「遠くて取りづらそうだったから」 りいな(照れ笑い): 「昨日の“お守り宣言”の続き?」 海:「うん。今日は“朝の守り担当”」
女子たち:「そのふたり、朝から恋してて尊い」 はるき(苦笑しながら): 「俺は、りいなの笑い声を守っていこうかな。……今日も、全力で」 女子たち:「うわ、それも良い。なんなのこの“朝告白会場”」
りいなは味噌汁を飲みながら、ふと空を見上げる。
りいな(心の声): 「今日も、みんな優しくて。でもどこかで、選ばなきゃって思い始めてる……」 すず(となりで無言でうなずきながら、スケッチブックに“告白祭予告編”と書き始める)
甘味処で、甘いものより甘くなるふたりの寄り道
修学旅行の延泊組、旅館の朝。畳の上で寝ぼけたままぼんやりしているうちに、女子たちは浴衣に着替え始めていた。ピンク系、水色、淡い藤色……みんなの選ぶ色が性格と重なるようで、並ぶと風景の一部みたいだった。
りいなは白地に小さな椿柄の浴衣を選んだ。「和スイーツに合う映え狙い」で、すずが勧めてくれたやつ。帯を結んでもらって、髪をふわっとまとめて、鏡に映った自分にちょっとだけ照れ笑いする。
「……浴衣姿で甘いもん食べるとか、もう恋する準備じゃん」
すずがそう言って笑いながら写真を撮ってくれた。その隣で海がふと口にした。
海:「それ、保存しといて。俺、待ち受けにしたいかも」 りいな:「絶対しないくせに〜」 海:「いや、“照れてる顔”の破壊力、やばいから。保存したいのは記憶かも」
軽いからかいなのに、言葉の温度だけ少しだけ高い。りいなは目をそらして「どうせ“誰にでも言うやつ”でしょ」と言ったけど、海の視線はひとつも逸れてなかった。
甘味処は、旅館の裏手の路地にある。引き戸を開けると、和紙のランプと木の匂いがふわっと出迎えてきた。座敷には低い机が並び、すだれの向こうから夏の光がこぼれてる。
ふたりは小さな丸卓に並んで座った。浴衣の裾が机の脚にふれて、すこしだけ気恥ずかしい。店内は静かで、他の班の子たちの笑い声が遠くに聞こえるだけ。
海:「あんみつと、抹茶アイスセット……どっちがいいと思う?」 りいな:「それ、海が“どっちが俺と食べたいか”で選んでるでしょ」 海:「そういう読み、嫌いじゃない」 りいな:「もっと照れてよ〜〜〜」
甘味が届いた。白玉、寒天、つやつやしたあんこ、抹茶アイスにきなこが添えてある。見た目も映えるけど、りいなの視線はスプーンを持つ海の指先に吸い込まれていた。
海:「一口、いる?」 りいな:「スプーンで差し出すの反則じゃん」 海:「じゃあ、フォークにする? それとも口で……」 りいな:「絶対にやめて」
笑いながら、海が白玉をすくって小さく差し出してくる。りいなはそれを、照れくさそうにスプーンごと受け取って口に運ぶ。
りいな:「……甘い。けど、海の“言い方”のほうが甘い」 海:「じゃあそれ、“言い方味”ってことで」 りいな:「やだ〜その言葉、キュンポイントに保存する」
外では風が吹いて、すだれがゆれる。ふたりの間の空気が、甘味よりもとろっとしてきた。誰かが写真を撮っている気配がしたけど、りいなはもう、それどころじゃなかった。
海:「この店、俺が好きな“時間の遅れ方”してる」 りいな:「……どういうこと?」 海:「りいなが隣にいるってだけで、甘味も時間も全部“やわらかくなる”って感じ」
一瞬、言葉が止まる。りいなはスプーンを持ったまま、海の言葉をそのまま心に落とす。とけかけてた抹茶アイスよりも、自分の鼓動の方がよっぽどとろけそうだった。
りいなが立ち上がったとき、浴衣の裾が少し崩れて、海がすっと直してくれた。
海:「ほら、“映え”が崩れると、俺の今日のしあわせまで減るから」 りいな:「……それ、“好き”って言葉の代わりに使ってる?」 海:「だったら、“好きな浴衣の人”ってことで受け取って」
ふたりで店を出るとき、すずが写真を見せてくれた。ふたり並んでスイーツを食べてる瞬間。りいなは小さく笑っていた。
でも、カメラの外側にあった“海のまなざし”は、写真には写ってなかった。 そしてそれこそが、甘味処で過ごした“本当の寄り道の記憶”だった。
お土産屋にて、選ばれるものと選ばれたい気持ち
旅館の近くにあるお土産屋は、ひとりで歩いても静かで、誰かと歩けば恋に近づく気がするような、そんな距離にあった。延泊が決まった修学旅行の二日目、班ごとにゆるく動いていたみんなは、それぞれの目的を持って店を訪れていた。
海とりいなは、少し遅れてその古い店の暖簾をくぐった。風に揺れる木札に“思い出と、お持ち帰り”と書かれているのが、少し茶目っ気のあるセンスで、りいなは小さく笑う。
りいな:「それ、なんか海のセリフにありそう」 海:「言われる前にパクっとくわ。“りいなを思い出として持ち帰りたい”ってね」 りいな:「ねぇ!ほんとに使ってくるの反則〜!」
そう笑い合いながら、ふたりは風鈴のコーナーに立ち止まる。棚には、透明なガラスの風鈴、陶器でできた丸いタイプ、そして色とりどりの短冊が揺れている。小さな音が店内をくすぐるように鳴るたび、りいなの目線はその“響き方”に引き込まれていった。
海:「どれにする?自分用?誰かへのお土産?」 りいな:「うーん……自分には青かな。落ち着くし、きれい」 海(桜色の風鈴を指差して): 「でも俺、りいなにはこっちかなって思った」 りいな:「桜色?理由聞いてもいい?」 海:「たぶん、“強がってるときの顔”って、この色にちょっと似てる」
その一言に、りいなは思わず笑う。でも、すぐには言葉が出なかった。強がってるときの顔——自分でも気づいてなかった部分を、海に見透かされたみたいで、くすぐったくてちょっとだけ怖くなった。
りいな:「……あんまり見ないでよ、そういうとこ」 海:「いや、見ちゃうよ。見るから、渡したくなるんだって」 りいな:「この風鈴、もらったらずっと海の声が思い出されそう」 海:「それ、ちょっと嬉しい」
棚の奥には、“ふたり用のお守りセット”が並んでいた。お揃いの色違いで、ひとつが“距離をつなぐ”、もうひとつが“気持ちを重ねる”。ちょっとこそばゆい言葉が書かれていて、りいなは冗談めかして指を伸ばす。
りいな:「ねえ、“気持ちを重ねる”って、海がつけたら逆にふざけて見えるんじゃない?」 海:「……俺、真面目につけるけど?」 りいな:「うそでしょ〜」 海:「まじだって。つけるのに照れてる時点で、すでに気持ち重なってるでしょ」
りいなは笑ったけど、その笑いが少しだけ震えてることに、海は気づいていた。
隣のコーナーでは、透がポストカードを見ている。筆跡の綺麗な旅先メッセージ入りのカードたち。すずは、あちこちで写真を撮りながら、「はい、“キュンを探す旅”再開〜!」とふたりに向かってピースを送ってくる。
りいなはそっと、海の腕に袖の先がふれる距離で立ち止まる。ふたりの間には風鈴の音しかなくて、だけどその無音に近い空気が、昨日の肝試しや王様ゲームでの“甘え”よりもずっと静かに深く染みていた。
りいな:「……海、誰かにちゃんと“あげたい”って思ったことある?」 海(風鈴を見ながら): 「あるよ。“あげたい”っていうより、“残したい”って思ったんだけど」 りいな:「それ、誰?」 海:「……この風鈴、たぶんりいなにあげたいって思ってる自分が、“誰”かも教えてくれる気がしてる」
ふたりで並んで選んだ風鈴は、透明なガラスにうっすら桜の模様がついているやつだった。短冊の端に、“響いたぶんだけ、伝わる”と書かれていて、りいなは海の目をそっと見る。
りいな:「このお土産……“気持ち”ってことで持ち帰っていい?」 海:「それ、“全部”ってことだよね」 りいな:「……うん。全部、ってことで」
すずが遠くから叫ぶ。「きゃーー!風鈴カップル成立ですぅぅ!!!」と。はるきも「俺の短冊、誰にも読まれないんだけど」と呟いて、透は「感情が文字に変わるまで、今日中には書けないかも」と静かに笑った。
風鈴の音は、笑いと照れの上を静かに流れていった。
そしてりいなは、その音の先に、海の“贈ろうとする気持ち”だけがまっすぐに鳴っているのを感じていた。
透からのポストカード/選んだ気持ち、選ばれない言葉
お土産屋を出た夕暮れ、海が「先に戻る組」と合流してしまい、りいなはぽつんと風鈴の余韻に包まれながら、透とすずとゆるく歩いていた。
透はさっきからポストカードの陳列棚の前で立ち止まり、何枚かを手に取っては戻し、戻してはまた見つめていた。りいなが近づくと、彼は一枚だけそっと選んだようで、小さな封筒にそれを忍ばせているところだった。
りいな:「誰かに送るの?」 透(少しだけ戸惑って): 「……まあ、誰かには」 りいな:「へぇ〜、透にもそういうのあるんだ」 透:「……“そういうの”って?」 りいな:「照れる想い、隠す系のやつ」 透(目をそらして): 「……隠すつもりはないけど、ちゃんと言えないってだけで」
その言葉に、りいなは少しだけ、胸の奥がきゅっとなる。透が渡そうとしているその“誰か”が自分なのかどうかはわからないけど、その瞬間だけは少しだけ、期待してしまった。
夜、旅館のロビーの片隅で、ジュース片手にみんながぐったりしていた。海は「りいな〜浴衣似合ってたな〜」と半分寝ながら呟き、すずは「はい、今日のベスト照れ顔賞は海〜」と冗談を飛ばしている。
その喧騒のすみっこで、透がりいなの隣に静かに座った。声はなく、ただポケットから、あの小さな白い封筒を取り出す。
透:「……これ、帰ったあとに開けて」 りいな:「えっ、私に?」 透:「うん、たぶん俺が“今日一番言えなかったこと”が、ここにあるから」
渡された封筒は、薄いピンクのふちどりがされたやさしい紙質で、裏には小さく、“透より”とだけ書かれていた。
りいな:「……怖くない?渡してしまったら、もう元には戻れないよ?」 透:「怖いよ。でも、それって、“言葉にしたい気持ち”を持ってるってことでしょ」 りいな:「透の言葉って、なんか……追いかけたくなるね」 透:「でも、置いてくから。あとは、りいなが自由に見てくれていい」
そのまま、透は何も言わずに立ち上がり、すずと何かくだらない遊びの話をしながら去っていった。りいなは封筒を見つめながら、今日一日が、少しだけ別の色になったような気がした。
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