コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌日 。
私は通常通り 、くれと登校した 。
でも心の中は 、お手紙のことを考えて 。
「 … そういえば 、昨日の委員会 間に合ったん ? 」
くれが話題を振ってくる 。
昨日は私が急いで帰ったせいであの後は 、特に話しもできてないしね 。
「 あ ー そんはね 、紗緒が来てくれてて 。
返却したい本があったらしく 、ほんといたのは偶らしいんですけど 。しかも 、貸し借りの仕事やってくれたし 。 」
「 おぉ ~ どっかの書記さんとは違うねぇ 、笑 」
「 うっさいわ!笑 」
紗緒は 、うちの学年で知らない人がいないくらい 、有名で優等生 。
仕事はきっちり熟すし 、勉強もできるし 、運動もそこそこ!
友達関係も広いし 、私とは違ってすごいんですよねぇ … 。
と二人並んで通学路を歩いていると 。
「 めもさん 、くれさん 。おはです! 」
後ろの方から姿を表したのは 、
同じクラスで親友の 柊木 瑠夏( ひいらぎ るか )さんだ 。
「 あれ ? 瑠夏 、今日は 伊江いないんだ ? 普段いつも一緒に登校してんのに 」
「 確かに 」
というのも 、瑠夏さんは友達の …
おんなじクラスで図書委員の副会長の茶柱 伊江(ちゃばしら いえ)さんとよく一緒にいいるんだけど 、
今日は瑠夏しか見当たらない 。
私は大した関わりがないから 、詳しく知らないんだけど … 。
「 あ ~ あいつねぇ 、なんか先行くって連絡あってさ 。なんか用があるらしいんだよね 。 」
「 ふーん … 珍し 。 」
確かに 、伊江さんってあんまり一人好きじゃないみたいで 、大体瑠夏さんといることが多いのに 。
… あんまりそればっか考えてても良くないですよね 。
「 そういえば ~ 、昨日の図書委員の当番の時に … 」
そう思い別の話題を振ろうと 、昨日の手紙のことを言おうとしたけど 、ふと止める 。
秘密のお手紙 、なんだから言わないほうがいいかも … 。
と改め直し 、急遽別のことに変える 。
「 やっぱりこの話じゃなくって… 〜〜〜〜〜 。 」
変かなと思ったけど 、二人共特に違和感も何も持ってなさそうだから 、
話を続行した 。
「 〜〜〜? 」
「 〜〜〜〜。 」
そのまま 、いつも通りの会話を往復してると 、
学校が見えてくる 。
「 あ”あぁ … 学校だるぅー 」
いつものようにくれが嘆いているのを横にし 、私は密かに学校が楽しみだと心の内で繰り返す 。
だって今日は … 秘密のお手紙 、ありますから 。
「 めもさんはやけに楽しそうですね ? 」
「 それな 。絶対 今日いつもよりテンションというか気分良いいよね 。 」
自然と笑みが溢れていたらしく 、学校を前にしていたため不思議がられる 。
うーんでも 、理由は言えないんですよねぇ … 笑
「 私には 、ちょっとした楽しみがあるんですよ !! 」
自信げに答えるなり 、更に驚いた様子を見せる くれ と 瑠夏さん 。
まぁ 、学校って誰だって嫌がるようなところなのにお楽しみがあるなんて不思議ですしね 。
自然と口元が緩くなるのを抑えながら 、平然と歩く 。
さぁ、校門をくぐって 。
お手紙 、あるかな♪
そうドキドキしながら 、いつも通り教室へ向かった 。
キーンコーンカーンコーン
二時間目の授業が終わり 、間の休み時間に入った 。
「 次の三時間目の国語・古典は図書室で行いまーす!間違えないよう 、移動してきてください 。 」
国語の先生が 、教室の扉から上半身をひょっこりと出して 、教室全体に言い渡した 。
放課後に行こうと思ってた図書室だけど 、授業で行けるなら絶好のチャンスなのでは !?
心の中でビックチャンスに喜びつつ 、国語の教科書等を用意する 。
「 愛萌 、行こー 」
「 ん 。 」
ちゃんと忘れ物がないように荷物を持って 、くれと廊下を出る 。
今は 、休み時間から2分経っちゃってるけど 、
私達三年生の教室は図書室とそこまで距離がないため 、手紙を確認する時間は全然あるはず 。
そう思いながら歩いていると 、図書室に着いた 。
先生の指示で指定された席に荷物を置く 。
「 あ 、時間あるからお花摘みに行ってくるわ 。 めもは? 」
くれが 、廊下を指さしながら言う 。
お花摘み ── トイレに行きたいわけでもないし 、せっかく一人になれるなら 、と思い私は断る 。
「 私は大丈夫です 。待ってますね 」
そういうのを確認し 、くれがトイレへ向かった 。
私はそのまま 、あの手紙を挟んだ本の方へ向かう 。
「 〜〜〜でさ… 」
「 なるほどねぇ 、〜〜〜〜 かぁ 。 」
本棚の方へ近づくと 、男子の声が聞こえてきた 。
この声は ……… 瑠夏さんと 、例の友達 伊江さんだ 。
人がいるし 、これだと確認できない … かも 。
ちょっと残念に思いながらも引き返し 、自分の席の方へ戻る 。
「 あ 、くれ 。おかえり 」
丁度タイミングよく 、くれがお手洗いから戻ってきた 。
しかも 、予鈴が鳴るまで後 1分くらいしかない 。
これならもう 、ここで待機かな 。
「 もうすぐ予鈴なりそうだし 、席ついとこ 」
「 そうですね 」
くれも同じ事を考えていたみたく 、頷いて席についた 。
そのまま 3 、4 、5 、6 時間目と時が経った 。
HRも終わり 、今日もようやく放課後に入った 。
帰りの準備を終え 、くれのところへ駆け込む 。
「 ごめん 、今日も図書室行こうと思ってるんですけど 。ほんとすんませんっ 」
「 ん 、了解 。…… もしかしてだけど 、朝言ってたお楽しみってそれ? 」
「 んーまぁまぁ 、そうかも知れませんね? 」
帰りのことは申し訳ないけど 。
くれに少しだけ勘付かれたのは 、それっぽく答えておいた 。
「 じゃ 、また明日 。 」
「 ん 、明日〜 」
そうして 、くれと別れて図書室に向かった 。
少し歩いて図書室に着く 。
すると 、図書委員の仕事をしてる人から声をかけられた 。
「 あっ 、ししょ〜!本の貸し借りですか? 」
声をかけてきたのは 、同じ図書委員で 2年生 確か A 組 の 私の弟子である 、紫咲 麗羅( むらさき れいら )さんだ 。
麗羅さんは 、入学式に私と廊下でぶつかってしまい 出会ったんだけど 、麗羅さんが「 運命! 」だとか言って毎日のように教室に押しかけてきたんですよね 。
それから話すうちに 、「 弟子にさせてください! 」なんて言い出して 。
今では私公認の一番弟子 。
2年生ながらしっかりしていて 、こうして昨日の私みたいにならずちゃんと仕事もしている 。
「 麗羅さん 。でも 、今日は別件で来ていて 。時間があれば本も借りようとは思ってますけど 。 」
「 そうなんですね!…っとすみません 、人が来たみたいなので 。 」
本を借りようとしている人が来たので 、お喋りもこの辺に 。
麗羅さんもちゃんと仕事をしているのを見て 、私より偉いんじゃないかと思えてくる 。
そうは思っても 、今は目の前のことに集中しないとね 。
ずっと麗羅さんを見てて 、邪魔しちゃ悪いし 。
そう思いながらも少し歩いて 、例の本棚へ着く 。
昨日のあの本があったのは確かこの辺 …… 。
って少し配置変わってますね … もしかして手紙書いてくれてるのでは !?
更なる期待が置い寄せてくる 。
本を手に取りパラパラとページをめくる 。
「 あった!! 」
数回に折られた紙を見つけ手に取る 。
確かに昨日挟んだ場所とは違う場所に挟まれてる気がするから 、
本当に書いてくれてる可能性ありますね … 。
そう思い 、いざ紙を広げる 。
「 元気ですよ 。
まさかお返事が来るとは 。 」
………っ!!!
ほんとにお返事が書いてあった 。
この丁寧な文字からすると同じ人が書いてるし 、きっと書いてくれたんだ 。
相手もお返事が来るとは思ってなかったみたい 。
さっそく胸ポケットに入れたシャーペンを取り出し 、紙に滑らせる 。
「 こちらこそ 、私もこの本に手紙が挟んであるなんて
思いもしなかったです 。 」
書き終えるとそのまま 、元の本へ挟んでまた 、
わかりやすい棚の手前っ側に置いておく 。
そのまま何事もなかったかのように棚から離れ 、借りようと思っていた本を手に取る 。
「 麗羅さん 、この本借ります 。 」
「 了解です!ししょーは B組 でしたよね 。 」
そう言って貸出の手続きをしてもらい 、カバンへ直す 。
「 麗羅さん 、私はこれで帰りますが 、仕事頑張ってください!ではまた 。 」
「 はい 、ししょーに言われたからには頑張ります!!!ありがとうございました! 」
そう言って カバンを背負い 、図書室を出る 。
まさか 、今日もお返事があるとは 。
毎日来たら 、毎日ちゃんとお返事が書いてあるのでは?
相手の方がどんな方で 、いつ書いているのかわかんないけど 。
この淡い期待と嬉しさ 。
初めての感覚だけど 、私はどこか一つの楽しみに思えてきた 。
しばらくは くれ と一緒に帰ることはできないかもしれないけど 、毎日図書室に通ってみようかな 。
そう決心し 、軽い足取りで家へ向かった 。