翌日の放課後
私は昨日、一昨日と同様図書室に来ていた 。
今日もくれに一緒に帰るのに断りを入れて、手紙のためにやってきた 。
まだまだ二日目なのに 、ここに来るのが馴染んでしまっている 。
そう思いながらも図書室の奥に進んでいく 。
いつもの本棚近くにやってくるとふと足を止めた 。
トントン
私が止まったのと同時に肩をトントンとされる 。
びっくりして振り返る 。
そこに立っていたのは ────
「 ……… 御茶屋さん !? 」
私の一個年下の二年生で 、昨日会った 麗羅さんの友達 ・ 御茶屋茶子さんだった 。
驚いたのもすぐ間 、御茶屋さんは 顔を輝かせ言う 。
「 やっぱり … !めもりさんですよね !! 本借りるんですか!? 」
御茶屋さんは前のめりに言ってくる 。
その元気良さから少し苦笑いが溢れる 。
「 まぁ そう 、ですけど … 」
目的が本の貸し借りじゃないことにしどろもどろになりつつも内心だいぶ焦ってしまう 。
そういう御茶屋さんも本を借りに来たんですかね … 。
「 御茶屋さんも本を借りに? 」
私が聞くと 、御茶屋さんも少し焦ったように返事した 。
「 あ 、えっと … まぁ そんなところデス! 」
「 あ … そうなんですね 。 」
言い方が怪しく見えてしまったけれどお互いに隠してることがあるっぽいから
特に何も言えないままだった 。
早く手紙を見たいなと思って 、私はそのまま進もうと思ったら 、
御茶屋さんに止められてしまった 。
「 ま 、待ってください めもりさん … !! わたすこの本借りようと思うので着いてきてくださいませんか!? 」
焦った様子が更に怪しく見える 。
どうして私が奥に行こうとすると 、止めるんでしょうか … 。
疑問に思いつつも聞いてみる 。
「 えっと 、構わないんですけど … 理由は? 」
単刀直入に御茶屋さんに告げると 、
偽り一つない笑顔で明るく言った 。
「 めもりさんと一緒に帰りたいなっと思ったんです!!ほら帰り道って途中まで一緒じゃないですか!! 」
それなりにおかしくはない理由かな と納得しつつも 、少し怪しんでしまう 。
でも 、そんなに明るい様子で言われると断りにくい雰囲気ができてしまった 。
「 分かりました 、それなら一緒に帰りましょう 」
私は内心残念に思いつつも 、手紙は明日に回そう 、そう思いお茶屋さんに言った 。
多少怪しさはありつつも 、こんな可愛い後輩を悲しませるのはもってのほか 。
御茶屋さんも嬉しそうに大きく頷いてくれた 。
そのまま 、貸出に行く御茶屋さんの後ろをつきながらさっきいた手紙の近くの本棚を眺める 。
御茶屋さんはどうして頑なに私を “ 奥にいかせたくなかった ” んでしょうか 。
私はそれが疑問で仕方がなかった 。
御茶屋さんが貸出を終えて 、学校を出た 。
約束通り御茶屋さんと共に下校している 。
この前とは違い 、放課後に入ってからそこまで時間は経っていないので人気は多い方 。
そう周りを見渡しながら 、御茶屋さんの横を歩く 。
「 … めもりさん 、知ってます? 」
ごく普通に周りを見ながら歩いていると 、御茶屋さんが話題を振ってきてくれた 。
流石に無言で二人歩くのはおかしいしですしね 。
それにきっと御茶屋さんも一緒に話したいから帰ろうって誘ってくれたってんもあると思いますし 。
「 何がですか? 」
「 最近 噂になってる 、好きな人との “ 文通 ” です!!
とある有名の少女漫画に出てきてて … それが原因で今超流行ってるんですよ✨️✨️ 」
御茶屋さんが目を輝かせながら言う 。
御茶屋さん 、そういう流行り系結構好きなタイプでしたもんね 。
噂程度では聞いたことありますけど…………… 文通って今私がしてるやつ手紙の交流?なんですよね 。
どうして今このタイミングで……御茶屋さんが…
妙にタイミングが噛み合っていて疑問と怪しさが増す 。
「 噂程度で聞いたことはありますけど … 。ピンポイントで好きな人と文通ができるなんて青春ですよねぇ 」
私は様子を探りつつもごく普通の返事を返す 。
御茶屋さんが思いついたかのように質問してきた 。
「 そーいえば … めもりさんって好きな人とかいるんですか !? 」
余りの爆発発言に私の心臓がドッキーンと跳ね上がった 。
… す 、好きな人 … ??
身に覚えのない感覚に私は焦ってしまう 。
「 いや … 私に好きな人とかいるわけないじゃないですか … 。恋愛もしたことないので 、好きって気持ちとか未だあんまし理解できてないんですよね 。 」
「 あぁ ~ なるほど?めもりさん美人ですし頭もいいのでモテそうですけどね!! 」
なんて御茶屋さんが褒めてくれるのに少し照れつつも 、考える 。
“ 好きな人 ”
今まで …… 考えたことなかったし 、気になってる人とかもいないし 、私には遠い存在 。
なのにどうしてだろう 。
過去は 、はっきりいないって言えるんたんだけど 、今はなんか … 。
そうじゃないようにも感じてくる 。
だからって気になる人とかは思い当たらないんだけど 。
「 あれ 、めもりさん 。なんか悩んでますね? 」
うんと悩んでいると 、御茶屋さんが顔を覗いてきた 。
まぁ 、そう見えますよねぇ 。
「 … ま 、まぁ 別に話すような内容ではないんですけどね 笑 。 」
そう笑ってみせると 、御茶屋さんが自信げに微笑んだ 。
「 もしや 、乙女さんってやつですか!?
…… でも 、なにか悩むことがあったら行ってくださいね!こちらには自慢の陽夏ちゃんがいますから!! 」
乙女さんっていうのは 、恋してるってことだよね?って内心呆れる 。
ちなみに 陽夏ちゃん っていうのは 、柊木 陽夏( ひいらぎ ひな )ちゃん 。
御茶屋さんや麗羅さんと同じ二年生で 、恋愛面が好きな子 。
気付いた人もいるかもだけど 、私のクラスメイトである 柊木 瑠夏( ひいらぎ るか )の妹ちゃん 。
恋愛面が好きなため 、恋愛相談を受け付けてるんですよね 。
二年生なのに凄いですよねぇ 。
「 まあ何かあったらまた相談させてもらいますよ 。… って先輩が言うのもなんですが 、笑 」
「 めもりさんより頼りないところはあるかもですが、ぜひ頼ってくださいね!
… とここでお分かれですね 。 」
御茶屋さんが一区切り着くと 、T字路で立ち止まる 。
ここで 、私達の家は別々の方向 。
「 … そうですね 。今日はありがとうございました 。また学校で 。 」
「 はい!!こちらこそありがとうございました 、一緒に帰れて嬉しかったです!! 」
御茶屋さんとそう笑い合い 、私達は二手に分かれた 。
そこで私は一人になってもさらに考える 。
やっぱり気になってしまう 。あの御茶屋さんが私を奥を行かせたくない理由が 。
一つ嫌な予感をすぎるのは 、手紙について “ 気付いている ” ってこと 。
今考えたけど 、挟んだ本って分かりやすい不自然な場所に置いている 。
手紙の相手に分かりやすいようにとは思ったけど 、他の人にも手に渡ってしまう可能性がある 。
つまり … 御茶屋さんも … ??
悩みに悩んだけど 、正解らしい考えがまとまらなかったので諦めることにする 。
明日こそは手紙を見たいなと思い 、家へ走った 。
✎*【 自己紹介 】
名前¦紫咲 麗羅 / むらさき れいら( rir- )
クラス¦2 年 A 組
委員会¦図書委員
名前¦御茶屋 茶子 / おちゃや ちゃこ( tyk )
クラス¦2 年 B 組
委員会¦美化委員
名前¦柊木 陽夏 / ひいらぎ ひな( hn )
クラス¦2 年 B 組
委員会¦給食委員
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