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第16話「偽りの微笑」🔞❌
莉「……ハニートラップ、ですか」
差し出された資料に目を落とし、静かに問い返す。
コ「そう。相手は中規模組織の幹部候補。警戒心が強く、尻尾を掴めない」
莉「他に適任者はいないのですか」
三「お前が一番、成功率が高い」
即答。
莉「……」
ため息を噛み殺す。
莉「私は、その手の任務は専門外です」
三「命令だ」
短い一言。
拒否権はない。
莉「……承知しました」
資料を受け取り、静かに立ち上がる。
――よりによって、ハニトラ。
内心で舌打ちしながらも、顔には一切出さない。
指定されたバー。
落ち着いた照明と、静かな音楽。
ターゲットは、カウンター席に一人で座っていた。
スーツ姿。
整った顔立ち。
年齢は、二十代後半。
――警戒心、強そう。
深呼吸し、ゆっくりと歩み寄る。
莉「……失礼いたします。お隣、よろしいでしょうか」
男「え? あ、どうぞ」
一瞬戸惑いながらも、快く席を譲る。
カクテルを注文し、さりげなく距離を詰める。
莉「お一人ですか?」
男「ええ。仕事帰りで」
莉「お疲れ様です」
柔らかく微笑む。
――仕事モード。
相手の反応を観察しながら、会話を進める。
趣味、仕事、最近の悩み。
共感、相槌、程よい距離感。
計算された言葉。
男は、徐々に警戒を解いていった。
男「……こんなに話しやすい人、久しぶりです」
莉「光栄です」
自然な笑顔。
内心では、冷静に状況を整理する。
――順調。
だが。
男「また、会えますか」
その言葉に、ほんの一瞬だけ、思考が止まる。
莉「……」
視線が、真剣すぎた。
冗談でも、軽口でもない。
本気。
莉「……ええ。ご縁があれば」
曖昧に返す。
それで終わるはずだった。
数日後。
男からの連絡は、途切れなかった。
丁寧で、真面目で、どこまでも誠実。
――想定外。
莉「……」
メッセージ画面を見つめ、ため息を吐く。
任務上、関係は維持しなければならない。
だが。
この男は、完全に惚れている。
甘い言葉も、下心もない。
ただ、真っ直ぐ。
莉「……厄介ですね」
静かに呟く。
――殺さない。
――梵天の存在も、知らせない。
命令は、それだけ。
つまり。
利用し、情報を引き出し、最後は切る。
それだけの話。
……の、はずだった。
再び会った夜。
男は、少し緊張した様子で切り出した。
男「……正直に言います」
莉「はい」
男「あなたのことが、好きです」
真正面からの告白。
一切の打算も、下心も感じられない。
ただ、真剣な目。
莉「……」
胸の奥が、微かにざわつく。
――感情は、不要。
そう、何度も言い聞かせてきた。
莉「……申し訳ありません」
静かに、はっきりと。
男「……そう、ですよね」
それでも、男は笑った。
男「でも、出会えただけで、良かったです」
その言葉が、胸に引っかかる。
莉「……」
私は、何も言えなかった。
拠点に戻り、報告書をまとめる。
ターゲットの情報、行動、弱点。
全て、正確に。
だが。
莉「……」
ペンが、わずかに止まる。
――この任務。
思っていた以上に、厄介だ。
感情は、持たない。
そう決めていたはずなのに。
コメントは嬉しいからじゃんじゃんやっていいよ
ちなみにこれ エッッ なシーンないからセンシティブ付けなくていいよね
ハニトラだけど、
付けなくていいよね
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今回も面白かったです!ハート、フォローおさせていただきました!続き待ってます