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2件
4限はグループディスカッションの講義で、
出席カードを集めてランダムに班が組み分けられるシステムだ。
今日、明那とはたまたま同じ2班になった。
akn「お、菜央おるやん」
荷物を持って席を移動するとき、明那から声をかけられた。
『三枝くん、どうも〜』
にこにこ笑いながら返して席につく。みんなの前では、というか、
グループワークのときは苗字で呼ぶことにしている。
なんかいろいろ 面倒かもしれないから。
明那は私の隣の席に座り、「あ やべ筆箱ない」とリュックを漁っていた。
akn「まって、ファイルもない。プリント忘れたわ詰んだ」
『今日何しに大学来たの?』
akn「……菜央様に、会いに」
『はいはい。私が履修しててよかったね』
消しゴムとシャーペンを渡し、プリントを長机の真ん中に置く。
グループワークがはじまると、挨拶も司会進行も発表も、明那は率先して発言をする。
明那が同じ班だと助かる、と言われていることを、本人はおそらく知らない。
akn「じゃあ菜央が書記係やってくれる?」
『あ、おけ』
akn「さんきゅ、助かる! じゃあさっそく47ページの7行目だけど……」
明那は、みんなの前でも私のことを名前で呼ぶ。
そういうところも好きだ と、ふと思う。