講義が終わると、明那はぴんと指先まで張った両手に、
シャーペンと消しゴムを乗せて返してきた。
akn「ほんっとーにありがとうございます!!! 菜央様様です!!!」
『声でか! いいよハーゲンダッツじゃなくてパピコで』
akn「じゃあ菜央がパピコ吸ってる横で俺がハーゲンダッツ食うわ」
『いやなんでやねん!!!』
akn「なんでやねんの発音がちょっと違うな。菜央のはナン・デヤネン。正しくは」
『発音警察!』
私も明那も4限で終わりだったため、とりあえず二人で食堂へ向かう。
ハーゲンダッツが売ってある方の食堂へ行こうとしたら、
「いやそっちじゃない」と向きを変えられた。
パピコは売り切れていたので、大学に来ているキッチンカーでから揚げを買ってもらった。
三つずつのはんぶんこだったけど。
『必修の課題終わった?』
akn「んや全然まだ」
から揚げを頬張りながら、明那が答える。
akn「来週までじゃん?」
『今週末までな』
即座に訂正を入れると、「エ まじ!!?!?!?!?」と驚いてから、明那が咽せた。
『焦りすぎでしょ』
笑いながら、私はあることを思いついた。
『じゃあさ一緒に__』
やろうよ、と言おうとしたとき、別の声がそれを遮った。
「ごめんね、お話中に」
声の主は、同じ学科の、あまり話したことのない女の子だった。
顔と名前は一致している程度。それは明那も同じようで、
「お〜榎本さんじゃん、おつかれー」と挨拶を交わしていた。
「ちょっと菜央ちゃんと話したいことがあって……」
なになに? と尋ねると、榎本さんは明那の方をちらちらと見る。
akn「あ、そうなん? じゃあ俺行くわ! おつかれー!」
視線に気づいたのか、明那はどこかへ行ってしまった。
私はなんだか 嫌な予感がしていた。
心臓の裏あたりに、冷や汗が垂れている。
コメント
6件
見るの遅れた.ᐟ新作嬉しい.ᐟ狙ってる感じ?
明那と関わるなとか言われちゃう...! ? 今回の話も大好き~!ありがと~!