テラーノベル
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──また、夢を見た。
ボロボロな英雄の服に身を包んだ彼は、フラフラと歩く。そして、目の前の本のページをパラパラ捲り、やがて、その本の後半のページをごっそり持ち、
ビリッ
引きちぎった。
✵✵✵✵✵
パチッ
すまない先生は目を覚ます。目が覚めると、自分は高級そうなソファに横になっていた。
立ち上がり、気がついた。
そこには、“本が沢山本棚に詰め込まれていた”
天井まで本棚があり、天井付近の本の背表紙なんて見えないくらい、そして、歩いても歩いても本ばかり。すると、
『やぁ、起きた?久しぶり』
と、声がヤケにリアルに聞こえ、すまない先生は振り返った。
そこには、ふわふわと浮かび、こちらをニコニコした笑顔で見ている“少年”が。
若葉のような黄緑の長い髪がふわりと浮かび、ルビーのような赤い瞳がキラリと輝く。光加減によっては紫に見える不思議な瞳。
すまない先生は直感的に“彼が普通の人ではない”と感じた。
「えっと・・・君は?」
『ん、あぁ、そっか。君“記憶無いんだっけ”』
と、彼はふわりとすまない先生の目の前に降りてくる。
“久しぶり”と言うことは、彼とは昔に会ったことあるのだろうか?と思い出を振り返るも、レッド達と出会う前の記憶は思い出せない。すると、目の前の彼は答えた。
『僕は、君たちが“世界の記憶を写す魔導書”と呼ぶものさ』
その答えに何故かすまない先生は“驚かなかった”それは、自分でも分からない。
『まぁ、気軽に話しかけてくれ。こうやって人が来るなんて何千年振りだろうね』
と、ふわりと彼は紅茶を飲む。その姿は優雅だが、どこか“異質”と感じた。
「あ、ブラック達は・・・!」
『ん?あー、あのチビ達か。大丈夫、そこから帰れるよ』
と、指を指す。そこには、黄緑色の魔法陣が描かれていた。
『その前に、君、目的があるんでしょ?ほら、着いてきて』
「え、あ、うん・・・」
すまない先生は彼の後ろをついて行く。ふと、何故か彼の背中を見たことがある気がした。だが、思い出そうとすると、まるで“元から無かったか”のように何も思い出せないのだ。
✵✵✵✵✵
『んーと・・・あ、これこれ』
と、彼は高い本棚からふわりと降り立つ。手には水色の本に金色の装飾をされている本。
すまない先生はそれを恐る恐る手に取り、そして、ページを開いた。
最初のページは自分のDNAや、ゲノム配列などと難しいことばかり載っていたページだった。すまないはそれをすっ飛ばし、めくる。
しばらくパラパラ本のページをめくっているすまない先生の瞳が丸くなった。
「・・・“ページが、抜けている?”」
そう、最初の数ページはきちんとあるのだが、その後の“自分に関する出来事”だけがごっそり抜けているのだ。
しかも、“まるでそこを引きちぎったかのように”
「・・・え、なんで?・・・どうして・・・」
すると、彼は答えた。
『どうしてって・・・あぁ、そっか・・・君、“覚えてないんだっけ”?』
「・・・覚えてない?」
すまない先生は彼の言っているのことが分からない。すると、彼は答えた。
『・・・君が記憶を失ったのは・・・“君が、この自分の魔導書を引きちぎったからじゃないか”』
「・・・え?」
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