ソファーに座りワインを飲む。
互いに黙ったまま、不思議と落ち着いた時間が流れていく……。
「……先生は、今まで恋をしたことはないんですか?」
酔いにまかせるようにして、ふと尋ねた。
「恋…ですか。どうでしょうね…そんなことを思う暇もなく、女性にはいつも取り囲まれていたので」
彼がワインを口に含んで、
「恋をする必要性を感じたこともありませんでした……。私を好きにならない女性など、いなかったので……」
こちらへちらりと視線を寄越すと、
「……なのに、あなただけが、なびかない。……身体を許しても、心までは許さないとまで言って……」
眉間に僅かにしわを刻んで、
「……歯がゆいのですよ…私に、落ちないあなたが……」
私の目の奥をじっと覗き込むように見つめた。
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