テラーノベル
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千歳に組紐作りお疲れ様のチョコミントをあげたい。横浜駅近くのパパブブレ(スペインの高級キャンディのお店)が前にチョコミント商品をたくさん売り出していたので、そこに目をつけていた。
グリーンライトの仕事、つまり一日最低4時間稼働しなきゃいけない仕事は、8時から12時まで仕事すればノルマは果たせる。まあタスク片付けたところでまた追加されるんだけど、うまくリスケして、夕飯後も多少残業することにして、今日の午後はちょっと横浜駅まで行くぞ!
俺は午前仕事に集中し、お昼ご飯のときに千歳に「午後、ちょっと横浜駅まで買い物に行ってくるね」と伝えた。
『ん? 何買うんだ?』
「ちょっと、都会まで行かないとなさそうなものを……」
千歳にプレゼントをあげるまで、あまり詳細を言いたくなかったので、俺はなんとなくごまかした。別に内緒にするほどのこともないんだけど、チョコミントプレゼントを渡したときに驚いて喜ぶ顔見たいじゃん?
『ワシも午後駅ビルまで買い物行くから、スペアキー持ってくな』
「あ、そうなの。何か用事?」
『んー、お前に買ってきてもらった服、寝間着にはちょっと窮屈だから、パジャマっぽいのも欲しくて』
「あー、そうか。気が利かなくてごめんね」
確かに、ルームウェアみたいなのも買ってくればよかったな。
『いや、普段着にはいい感じだから大丈夫だ。今日暑いから、ちゃんと帽子被ってけよ』
「うん、買ってもらったの被ってく」
そういう訳で、俺は午後に横浜駅まで行き、西口近くの相鉄ジョイナスのパパブブレにまっすぐに向かった。しかし、想定外のことが起きた。パパブブレ店舗にはチョコミント商品がたくさんあると思ってたのだが、大ヒットアニメのコラボ商品ばっかりだったのだ。え、なんで!?
確認してみたら、チョコミント商品の発売開始ニュースは4月初めのものだった。現在6月下旬。くそー、フェアの移り変わりには十分な時間だ……。
それでも定番商品の中を探して、チョコミントキャンディを買ったのだが、これだとプレゼントとしてはボリューム不足だな……どうするか。追加で、千歳が喜びそうなお菓子をなんか買うか。
スイーツギフトを求めてしばらく横浜駅周りをうろつき、俺は、この辺は咲さんに振られた原因の場所なのに、それを思い出して心が痛くなるとかは全然ない事に気づいた。やっぱり俺の中で、千歳の存在が一番大きいんだな。でもそれはそれとして、咲さんには本当に悪いことをしたよな。
俺の、千歳への気持ち。千歳には伝えないで押し込めておくとしても、俺は千歳が誰よりも大事で、誰よりも好きってことはちゃんと自覚して行動しないとな、と思った。そうしないと、また誰かを不用意に傷つけてしまうことがあるかもしれないから。
いや、千歳の望みは俺が誰かと結婚して子供を残すことなんだけど! 俺は千歳と穏やかに仲良く暮らせればそれが一番いいという矛盾!! どうにかならないか、なんとかごまかして、千歳と二人で穏やかに楽しく暮らせないか!? しばらくでいいから!
悩んでも、いい案は出なかった。プレゼントのスイーツとしては、ゴディバとコージーコーナーでしばらく悩んで、コージーコーナーの焼菓子詰め合わせがこの気温で持ち歩いても大丈夫そうだったので、それにした。
家に帰ったら、千歳(朝霧の忌み子のすがた)はもう帰っていて、『お帰り、何買ったんだ?』と台所から顔をのぞかせた。料理中だったのだろう、ポニテがかわいい。
「あ、その……今、ちょっといい?」
『ん? うん』
千歳が作業中の調理台から離れてこちらに来るので、俺はパパブブレの袋とコージーコーナーの袋を千歳に差し出した。
「遅れたけど、組紐全部作るのお疲れ様。これ、チョコミントの高級なキャンディと、焼菓子詰め合わせ」
『え!? え!?』
千歳は驚いて袋を受け取り、『え、それのためにわざわざ横浜まで行ったのか!?』とまた驚いた。
「横浜でキャンディのお店がチョコミントフェアやってたから、そこ狙ってたんだけど、ちょっと時期外しちゃって空振りしちゃって。まあ、でも、おいしそうなお菓子選んだから」
『え、もしかしてワシにくれようとしてたから用事ごまかしたのか!?』
あ、横浜駅行きの用事ごまかしたのバレてた。
「ごめん、なんか先に言うのもちょっとなと思ったから……」
『でも、ありがとう!』
千歳がお菓子の袋を抱きしめて笑う。ああ、この笑顔が見られるなら、俺なんだってやっちゃうな。
でも、千歳はそれなりに鋭いから、俺の気持ちと千歳の望みが矛盾することを、いつまでもごまかし続けるのは、無理があるんだろうな……どうすれば、いいのかな……。
コメント
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# リオンからの感想 チョコミントのためにわざわざ横浜まで行く純粋な気持ちと、千歳の喜ぶ顔が見たくてごまかしちゃう感じ、すごく伝わってきました。パパブブレがコラボ商品に入れ替わってて空振りしたところで「ああ、そういうことあるよね」と共感しつつ、コージーコーナーでちゃんと選び直す誠実さがいいなと。 でも最後の「千歳の望みと自分の気持ちが矛盾する」という胸の内がグッときました。結婚して子供を残してほしいという千歳の願いと、ずっと二人でいたい主人公の想い——このすれ違いがどう転ぶのか、すごく気になります。設定の切なさがじわじわ効いてくる、いいエピソードでした。
#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
22,155
わーい
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