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ある街でこんな噂があった。
それは選ばれし者が訪れられる
があるらしい
子供らしいとも思われるかもだけど
本当にあるんだよ
さあ、教えて?
………………………………………………………………………
僕は中学二年生の海川 台楽《うみがわ たらく》
最近ここに引っ越してきて、今では転校して二ヶ月目のただの中学生だ。
ちゃんと友達もいる。
喜川と守内《きがわともりうち》というゲームで仲が深まった友達だ。
今日の休み時間も趣味の話になっていた
…はずだったのだが
「なぁなぁ!たらくこんな噂知ってる?」
喜川が話題を変えてきた
「俺達の住んでる街の噂話…
僕は思わず首をかしげた。
「やっぱりたらくは知らないんだね」
と守内が言う。
守内は僕に噂のことを説明してくれた。
「そこは選ばれし者が訪れられる不思議なおもちゃ屋さんなんだ。そこに行けば何でも願いを叶えてくれるんだ。…でもね」
守内は真剣にこう言った。
「少しでも扱いを間違えると
僕は背筋が凍った。だって行動一つで死に至る可能性があるのなら…もう後戻りなんてできやしない。
「まぁ噂だからあんまり気にしない方がいいよ」「そーそー!噂だからな!」
二人はそう言うけど
僕にはそんなフォローなんて頭にも入らなかった。
もし本当だったら…
そう思っていたら休み時間の終わりのチャイムが学校に響いた。
………………………………………………………………………
もう僕は午後の授業には集中できなかった。
噂が気になりすぎて、内容が頭に入ってこない…
放課後
僕はゲームをするために早く帰ることにした。
後でチャットしながら二人とゲームができるなとか何しようかなとか思っていた
それでボーッとしていたのだろう…
いつの間にか商店街にきていた。
「あれ?道間違えたか?」
そして何事もなく引き返そうとした瞬間
オルゴールの音が聞こえた。
急に聞こえたもんだったから僕は固まってしまった。
(こんなところにオルゴールなんて売ってる場所あったかな…?)
眠気を誘うような心地よい音色に連れられて、僕は音が聞こえる場所を探した。
だんだん音が近づいてきた。
ここか?と思ったとき、見覚えのない店を見つけた。
アンティークなおしゃれな雰囲気を漂わせており、窓からは飾ってある手縫い人形が見える。
(新しくできたお店かな?)
そう軽々しく思ってしまった自分を悔やむ
何故なら僕は今まさに
ゴクリと唾を飲み、金属製のドアノブに手を伸ばす。
カチャリと小さな音がした。
………………………………………………………………………
チリンチリン
「うわぁ!?」
不意になった鈴に僕は驚いた。
しかもとてつもなく大きい声で叫んでしまった。
恥ずかしさがこみ上げてきた…
中は暗くて怪しい雰囲気が漂っている。
(ホラーゲームに出てきそう…)
たくさんの人形達と色々な音を奏でてぐちゃぐちゃな音になっている複数のオルゴール…恐怖でしかなかった。
天井のシャンデリアは蜘蛛の巣を張られて、棚はホコリを被っている。
「廃墟かな…新しいお店じゃなさそう…」
ビクビクと弱気になっていた僕は勇気をだして
「すみませーん…誰かいますか?」
と言ってみた。
もちろん反応はなく、僕の声が響くだけだった。
気味が悪いから帰ろうと思って、振り返ろうとした瞬間
「うわぁぁぁあ!?」
目の前に女性が現れたのだ。
彼女の茶色のアシメにした髪と漆黒の紫色の瞳が揺れる。
僕より身長が大きい…年上?
と思っていたとき、女の人が口を開いた。
「ようこそ…本日のお客様!ここは願いを叶えるおもちゃ屋さんです!
「え」
僕は固まってしまった。
そんなこと言われて頭が混乱しない人なんていると思うか?
しかもここが
ありえない
僕は死ぬ運命になったのか?
死ぬなんてごめんだ。
怖さで何も話せずにいると
「お客様…ここが怖いんですね」
心を読まれたぐらいに的中した。
僕顔に出てた?と顔をペタペタ触っていると
「あなた様は願いを叶えられます…例えば」
と言うと彼女は両手を広げて数え始めた。
「人を殺したい?自分の運を上げたい?他人を幸福にしたい?呪いをかけたい?…まあそんなことでも構いません」
(内容怖すぎる)
そして“そんなこと”と言えるだけでも凄かった。(度胸あるんだな)
「それでは…貴方の願いは?」
彼女はにっこりと微笑んだ。
漆黒の紫色の瞳が輝く。
それは…とても怖い物だったが
僕はもう決断した。
「僕の願いは…
そう決めたんだから。