side.Kt
今日は会議。安定に僕が1番最初に来てとてつもなく暇。資料のファイルも議題も万全。暇を潰すためにスマホでエゴサする。応援の声に放送の感想にイラスト、全部目を通す。やっぱりこの活動が好きだ。
「こんちゃーす」
「あ、まぜち!!やっほー!!」
声の主を見れば世界一大好きなまぜち。ついつい衝動で抱きついてしまう。かなりの勢いでタックルしても受け止めて頭を撫でてくれるとかかっこいい以外の何物でもない。
「どうした?寂しかった?」
「いや、まぜちが好きすぎて抱きついちゃった!!」
「本当に可愛いなぁ…」
「えへへ〜」
嬉しすぎて頭をぐりぐり押し付ける。リスナーのみんなから褒められるのも好きだけどまぜちに褒められるのが1番好き。優しい声でいっぱい甘やかしてくれるから溶けてしまいそうではあるけれど。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「行ってらっしゃーい」
まぜちはショルダーバッグとスマホを置いてハンカチだけ持ってトイレまで行った。元いた場所に戻ろうと思うと、目線には開きっぱなしのスマホ。どうしても気になってしまいそっと手を伸ばす。
「女と連絡とってないよね…?」
不安と好奇心でLINEをタップする。男にしては華奢な方だと思うけど女と比べたらまだ体格はあるだろう。僕には折れそうな細い腕もスラリとしたスタイルも胸もない。いつほかの人に盗られてもおかしくない。ありとあらゆる手を使ってでもまぜちの愛情を繋ぎ止めないと僕はきっと生きていけない。
「取ってない…良かった…」
少し安心してLINEを閉じる。ふと気になって検索タブを見てみる。特に何も無いと閉じようとした時、見えてしまった。
「え…?」
高校生もののビデオ。途端に血の気が引いていく。まぜちって本当はこういうのが好きなの…?
捨てられる?振られる?もうまぜちと一緒にいられなくなる…?やだ、やだ、そんなの嫌だ!!
スマホを元通りに置いて平然を装う。でも心は大荒れ。まぜちが戻ってきてからみんなが来て会議が始まってからもなんとか荒れる心を鎮めていつも通りの僕を演じ続けた。
「けちゃ?なんか顔暗いけどどうかしたの?」
会議終わり、ちぐから指摘されてぎょっとする。バレてたとは…。ちぐとは僕の片思い時代から相談しつつされつつの関係だった。今回のことも相談しようと思ったがみんないるため小声で「外で話そ?」と言い2人で会議室を出た。
「んで、けちゃが顔暗い理由はまぜたん?」
「うん……」
「なにされたの?変なプレイとかのせいで心折れた?」
ちぐの過激思想が怖い。今にもまぜちを引っ張り出して殴りかかりそう。僕がおずおずと口にすると、
「はぁぁ?!スマホから高校生もののビデオォ?!」
「しー!!しーーー!!聞こえるから!!」
「んぁ、ごめんね。それで悩んでたってこと?」
「そう…。僕やっぱ魅力ないのかな………」
自分で言っておきながら目の前が霞む。こんな小さな事で悩む自分も嫌だ。
「話は聞かせてもらった!!」
「悩むのはまだ早いよ!!」
突然現れたぷりちゃんとあっきぃに呆然とする。なんでここにいるんだろう?
「けちゃお、お前は十分魅力的だよ。なのにそれを卑下しちゃダメだ。誰がどう見てもまぜ太はお前にぞっこんだから安心しろ」
「そうそう!!けちちは何も心配しなくていいんだよ!!」
「ぷりちゃん…あっきぃ…」
2人ともなんて優しいんだろう。2人の言葉にはパワーがこもっている。
「あいつのスマホに高校生ものの△▽がある理由、それは……」
「それは?」
「けちゃおにやって欲しいからやーーー!!!!」
「そ、そうなの?」
いまいちやって欲しいと思う理由が分からない。そもそも僕に制服なんてもう似合わないだろうし。
「いいか?△▽はプレイの宝庫や。参考にしたくなる動画も多い。まぜ太もそういうところで探すくらいするんやないか?」
「な、なるほどぉ……」
「そうなるとまぜたんはけちゃに制服着て欲しいって事?」
「そういうことやな」
それからあれやこれやありその場で制服コスプレ衣装(スカート版)を買いその日の集まりは終わった。最近の通販はすごいもので3日後にはもう届いていた。中身を確認すると制服のついでにカートに入れられた玩具。
「はずっ………」
制服のシャツを着てスカートを履き、ネクタイを締める。とはいってもシャツは前ががら空きでネクタイはほぼ飾り、スカートの下に下着は履いていない。おまけに丸見えの乳首にはマステで留められた玩具。
「ただの痴女じゃん………」
とかぼやきながら姿見の前に座り込んで自撮りする。すごく違和感しかない。
『割とエロい体勢しろよ!!食いつきいいぞ!!』とぷりちゃんに言われたことが蘇る。好奇心でスカートをちらっとめくってみた。
「これを送信…っと」
ものの数秒で既読がつき、嫌な予感がする。返答には『もうベッドの上いろよ?すぐ行くから』と。
僕終わったかもしれない。さよなら僕の腰。明日は動けなさそうだ。
数時間後
「けちゃ、なんで煽るようなことしたの?」
事後、もう動く気力すらない僕に甘ったるい声で話しかけてくるまぜち。優しく寝かしつけるように頭を撫でてくる。
「まぜちのスマホに制服プレイの動画が履歴にあったから…。僕じゃ物足りないんじゃないかって不安になった……」
「バカだなぁ、けちゃは。こんなにも可愛くて人のために頑張れるのに俺が物足りないって思うか?俺はけちゃしか愛さないよ」
僕が不安になりすぎていたみたい。きっともう心配無いと思う。ちぐ、ぷりちゃん、あっきぃ、ありがとうね。今度なにか奢るよ。
「ちなみになんで制服プレイの動画あったの?」
「え、なんか背徳感すごそうじゃね?まだ純情なけちゃを俺で穢すっていう」
「え、こわ」
コメント
2件
やっぱ、まぜけちゃはいいな 最高( ・́∀・̀)グヘヘ