「果穂!」
私は、授業が終わって帰ろうとしてた。
「お疲れ~今日はバイト?」
「ううん。今日は行かない」
「だったらカフェ行こ」
「そうだね~行こっか」
友達はたくさんいる。
めんどくさいくらい絡んでくる。
カフェか……
行きたいような行きたくないような。
だって……
私が行きたいのは友達じゃないんだもん。
一緒に行きたいのは、慧さん。
東堂 慧さん。
2人でお茶して、いっぱい話せたら、どんなに楽しいだろう。
「そういえば~立花がさ、果穂にデート申し込みたいんだって。健太が言ってた。すごいじゃん、立花イケメンだし」
「そっかな~? 立花って雰囲気イケメンだし」
慧さんを超えるイケメンなんて、この世にはいない。
普段はちょっとクール。
でも、たまに笑う顔がすっごい可愛い。
声も優しくて、性格もいい。
髪型もスタイルもめちゃくちゃ素敵だし。
ダメなとこなんて1つも無い。
立花とか、健太とか……
東英大にたくさんいる男子達が何人束になったって、絶対に慧さんには敵わない。
「立花の誘いを断るなんて、果穂は理想高すぎじゃない?」
「断るよ。誰に言われても」
「うわぁ~果穂、言うね~モテる女は違うわ」
なんかウザいよ、その言い方。
私は……ただ、慧さんが好きなだけ。
好きで好きで仕方ないだけ。
他のやつなんて、どうでもいいよ。
その時、知ってる顔が私の視界に入ってきた。
あの子、ひときわキラキラして太陽みたいなオーラが出てる。
雫さんに会いにきた大学生君だ。
確か……希良って名前だったな。
「ごめん、ちょっと用事。さっちゃん達もカフェ行くんでしょ? 先にみんなで行ってて」
「わかった~後で絶対来てよ」
「はいはい」
私はすぐに彼を追いかけた。
「ちょっと!」
「え? あ、あなたは……」
私を見て驚いてる。
「君、希良君だったよね。『杏』に雫さんに会いにきてた」
「あっ、はい。あなたは確か『杏』の……」
「え~! 私の名前、覚えてくれてないんだ~」
わざと可愛子ぶった。
「す、すみません。えと……」
「果穂。直江 果穂」
「あ……直江さん」
何でそっちよ。
私は苗字で呼ばれるタイプじゃないでしょ。
「果穂でいいよ~ところで君、雫さんと会ってるの?」
そう聞かれて、希良君は戸惑ってる。
「この前『杏』にパンを買いにいって……少しだけ会いました」
ちょっと元気なさげ。
「ねえ、希良君って、雫さんのこと好きなんだよね?」
ストレートに質問をぶつけてやった。
困惑した表情。
「……」
黙る希良君。
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