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【短編︰残業のあと】
⚠部下攻め×上司受け⚠
苦手な方は回れ右!
それではドゾッ👉🏻🚪
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夜十時を過ぎた会議室。
蛍光灯の半分が落とされ、広い会議室に残っているのはふたりだけ。
「課長、まだ帰らないんですか」
デスクの向こうから低い声がした。
顔を上げると、いつも完璧にネクタイを締めた彼
——部下の結城が、
上着を脱いで袖をまくっていた。
シャツの胸元にうっすらと汗が滲んでいて、妙に視線が吸い寄せられる。
「…あと少しだけ、資料の確認を」
「俺、手伝います」
「いや、大丈夫だよ」
「大丈夫そうに見えませんけど」
いつもは礼儀正しい口調の奥に、
今日はどこか含みのある声色が混じっていた。
結城が机の上に手をついて、身をかがめる。
パソコンの光が彼の横顔を照らして、
睫毛の影が頬をかすめた。
「……そんな顔で頑張られたら、放っておけないじゃないですか」
鼓動が、不自然に早い。
近い。距離が。
椅子の背に腕をまわされ、逃げ道を塞がれる。
結城の体温が背後から伝わって、息ができない。
「仕事だけじゃなくて、俺のことも少しは頼ってほしいんですよ」
「ゆ、結城……」
「課長、ほんとに無防備すぎます」
耳元に、かすかな息がかかる。
一瞬の沈黙。
空調の音さえ遠のく。
「……今、心臓の音聞こえてますよ」
低い囁きが、背筋をなぞった。
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結城の腕が、椅子の背を回っていた。
逃げようと思えば逃げられる。
けれど、動けなかった。
「……俺、知ってるんですよ」
「なにを」
「課長が、困った時ほど“平気なふり”をすること」
低い声が耳に滑り込んでくる。
まるで呼吸を測っているみたいに、近い。
「俺がそばにいる時も、目を合わせようとしない」
「そんなこと──」
「……今も、ほら」
顎に指が触れそうになって、反射的に身を引く。
だけど結城の手は止まらなかった。
触れる寸前で止まり、ほんの数ミリの距離に留まる。
「動かないでください」
「……」
「このままじゃ、俺、何するか分からないから」
息が詰まる。
けれど、不思議と怖くはなかった。
彼の声は静かで、熱を孕んでいる。
“支配”というより、“懇願”に近い。
「いつも俺を頼らないのに、それでも、ここに残る理由……知りたいんですよ」
一拍置いて、視線が絡まる。
モニターの光が二人の瞳に映り、
夜の会議室がまるで別の場所みたいに感じた。
「……結城」
「はい」
「……おまえ、こういうの、ずるいな」
結城は小さく笑った。
「ずるいって言葉、褒め言葉に聞こえます」
背を押されるようにして立ち上がる。
けれどその腕が、まだ離れない。
「今夜は……もう、無理して残業しないでください」
「……うん」
ほんのわずかに指先が肩をかすめて、
それきり、結城はオフィスのデスクに戻っていった。
蛍光灯の下、彼の背中を見送る。
体温の残る空気が、まだ離れなかった。
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会議室の鍵が閉まる「カチ」という音が、やけに重く響いた。
「っ、なんで…」
さっきデスクに戻ったと思っていた結城が会議室の鍵を閉め、こちらに近ずいて来ていた。
「……誰か来たら——」
声が震える。
ネクタイはすでに緩められ、ワイシャツの胸元は荒く掴まれた跡で少し皺になっていた。
「来ないですよ。俺が全部押さえてるんで。」
部下——結城は低く囁き、片手で俺の腰を引き寄せる。
その腕は余裕と自信に満ちていて、逃げる隙なんて最初から与える気がない。
「課長、そんな顔するなら……最初から俺に素直にしてくれればいいのに。」
唇が触れるか触れない距離。
小さく息を呑んで、しかし否定の言葉を探そうとして——みつからなかった。
「ここ、さっきから震えてますよ?」
結城の指が、上司のシャツ越しに腰の敏感な場所をなぞる。
ビクリと跳ねた体が、雄弁にすべてを告白してしまう。
「……や、だ……職場で、なんて……っ」
「じゃあ言わないでください。俺、止められなくなるんで。」
次の瞬間、背中が壁へと押しつけられる。
衝撃よりも、結城の体温の近さの方が俺の思考を奪っていった。
「課長、俺……ずっと我慢してたんですよ。」
熱のこもった声。
指先が腰から太腿へ、執拗に落ちていく。
「あなたが、俺を見下ろすときの顔……たまらなくて。」
耳元を甘く噛まれ、俺の膝が崩れかける。
それをしっかり支えながら、結城は優しく、しかし逃がさない力で抱きしめる。
「大丈夫。俺が全部してあげますから。」
[END]
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